心血管リハビリテーション科
研究活動の概要

心血管リハビリテーション科は、心疾患患者の社会復帰・QOL向上・再発予防をめざして、運動療法・患者教育・カウンセリング等を実施する中で、臨床研究を推進しています。研究テーマは、虚血性心疾患患者における心臓リハビリテーションの多面的有効性の実証、心不全に対する運動療法の有効性の検証と機序の解明、補助人工心臓(LVAS)装着中の重症心不全および心臓移植後患者に対する心臓リハビリテーションの効果、ICD/CRT-D植え込み患者における心臓リハビリテーションの安全性と有効性、心不全患者の運動耐容能と骨格筋量の関連、心疾患患者における抑うつの実態と方策、心臓リハビリテーションの全国的普及促進、急性心筋梗塞地域連携パス、などです。また厚生労働科学研究事業課題の「疾病管理プログラムとしての外来心臓リハビリテーションの有効性に関する多施設研究」の主任研究者施設として多施設研究を推進しています。また心臓血管内科、心臓血管外科、移植部、生活習慣病部門などと連携して診療・研究を実施しています。さらに医師のみならず、看護師・理学療法士の研究・研修活動も活発に展開しています。

具体的な研究テーマ

  1. 各種心血管に対する心臓リハビリテーションの有効性に関する研究
  2. 心不全患者の運動耐容能低下機序と運動療法効果に関する研究
  3. LVAS装着中および心臓移植後の心臓リハビリテーションの効果に関する研究
  4. 虚血性心疾患患者の退院後疾病管理プログラムとしての外来心臓リハビリの有効性に関する多施設研究(J-REHAB研究)
  5. わが国における外来心臓リハビリの実態調査と普及促進に関する研究
  6. 豊能医療圏急性心筋梗塞地域連携パスの普及と効果的運用に関する研究
2012年の主な研究成果
  • 巨大急性心筋梗塞(CK最高値≧5500 U/L)に対する回復期心臓リハビリは、運動耐容能を改善するが慢性期のBNP下降不良は引き起こさないことを明らかにした。
  • 若年急性心筋梗塞患者は短期予後は良好であるが、生涯リスク(Lifetime risk)は高く、外来心臓リハビリへの参加によりこれが軽減することを明らかにした。
  • 心臓リハビリに関する全国実態調査結果を解析し、心臓外科を有する医療機関における外来心臓リハビリ実施率が24%と低いことを明らかにした。
  • 退院後の急性心筋梗塞後患者に対して、急性期病院・かかりつけ医・外来心臓リハビリ施設をつなぐ地域連携パスによる管理が可能であることを明らかにした。
  • 急性心筋梗塞後患者において、抑うつと判定される症例が高齢患者で25%、若年患者では33%存在することを明らかにした。
研究業績
  1. 後藤 葉一. 心血管治療としての心臓リハビリテーション 過去・現在・未来. 心臓リハビリテーション 17, 8-16, 2012.
  2. 中西 道郎, 後藤 葉一. 【慢性心不全の非薬物療法】 治す 運動療法をどのように行うか. Heart View 16, 516-523, 2012.
  3. 後藤 葉一. 循環器病予防介入としての心臓リハビリテーション. エビデンスに基づく循環器病予防医学―慢性心不全を防ぐ予防戦略とは?- , 311-317, 2012.
  4. 後藤 葉一. 三尖弁、肺動脈弁. カラー版内科学 , 628-630, 2012.
  5. 後藤 葉一. 心臓リハビリテーションの最近の動向. 心臓 , 253-254, 2012.
  6. 後藤 葉一. 第17回日本心臓リハビリテーション学会学術集会を終えて. 心臓リハビリテーション(JJCR) 17, 5, 2012.
  7. 後藤 葉一. 平成23年度YIA選考結果について. 心臓リハビリテ―ション(JJCR) 17, 165, 2012.
  8. 熊坂 礼音, 後藤 葉一. ACS・心不全の長期疾患管理プログラムとしての外来心臓リハビリテーション. 心臓 44, 261-267, 2012.