国立循環器病研究センター研究所

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組織・各部の紹介 再生医療部

脳循環研究(神経機能再生に関する研究)

脳梗塞が治る時代になります。

なぜ新しい治療法が必要なのか?

現在わが国においては、他の諸国においては類を見ないほどの急速な高齢化社会を迎えており、脳梗塞後遺症や血管性痴呆症に起因する要介護者の急激な増加は、日本の社会構造を根底から揺るがす極めて深刻な社会問題となっています。これらの疾患に対し様々な研究が積み重ねられてきましたが、脳梗塞に対する有効な治療法は発症後数時間以内の血栓溶解療法以外になく、脳血管性痴呆に対しては全く有効な治療手段がないのが現状です。また、予防的外科的治療法に関しても、適応症例が限局されていると共に、その脳卒中発症予防効果も不十分であるのが現状です。当センターではこれらの疾患を克服するため、従来の手法とは全く異なった手法である再生医療技術を用いて、新しい治療法の開発を進めています。

血管再生と脳梗塞は密接に関連しています。

当センターでは四肢虚血性循環障害患者に対して、血管血球系幹細胞を含む自己骨髄単核球細胞を使った血管再生療法を行っています(文献1)。これらの血管血球系幹細胞は脳においても血管再生や既存血管の維持に重要な働きを持っていることが知られていますが、私達は末梢血中に存在する血管血球系幹細胞の減少が、脳梗塞発症や脳代謝の低下にも関連していることを明らかにしました(文献2)。

脳の再生は血管再生から始まります。

神経幹細胞の発見以降、脳神経領域の基礎研究の分野では、神経幹細胞を使った移植研究が盛んに行われています。しかし、脳梗塞治療に関しては移植した神経幹細胞が生着しない、あるいは、必要とされる神経細胞に分化しない、などの理由で移植神経幹細胞が神経ネットワークを形成する神経細胞として全く機能していないのが現状です。私達は胎生期あるいは成体(Song Birdなど)においても、神経発生や神経再生およびそれに引き続いて起こる神経の分化、成熟は必ず血管新生、血管再生と同時に起こっていることに注目し、脳梗塞後の血管再生と神経再生の関連についての研究を続けてきました。その結果、脳梗塞後の血管再生療法が神経再生を促進するだけではなく、その生着や分化、機能にも必須であることを世界に先駆けて証明しました(文献3)。

普遍的な新しい脳梗塞治療法を確立します。

私達はこれらの知見を基に、自己血管血球系幹細胞を使った脳血管再生療法の臨床応用に向け、霊長類を用いて安全性の確認、および脳梗塞患者治療のためのプロトコール作りを行っています。さらに、脳梗塞患者における再生療法をより普遍的な形で発展させるため、自己血管血球系幹細胞と自己神経幹細胞の両者を用いた脳組織の再生療法の確立に向けての基礎研究を開始しており、そのための重要な要素となる自己由来の神経幹細胞作成技術を確立しました(特願2004-108500)。私達の目標は単なる神経再生ではなく、脳としての機能の再生を目的とした基礎研究および臨床試験を進めています。

私達の研究室は当センターの内科脳血管部門と合同で脳再生医療の確立に向けた基礎、臨床研究を積極的に進めています。目標を持って研究したい人や、脳卒中専門医として活躍したい人など、やる気の有る人ならば誰でも歓迎いたします。このホームページをみて興味をもたれた方は是非ご連絡ください(taguchi@ri.ncvc.go.jp)。

関連成果等

  1. Taguchi A, Ohtani M, Soma T, Watanabe M, Kinosita N. Therapeutic angiogenesis by autologous bone-marrow transplantation in a general hospital setting. Eur J Vasc Endovasc Surg 25: 276-278, 2003.
  2. Taguchi A, Matsuyama T, Moriwaki H, Hayashi T, Hayashida K, Nagatsuka K, Todo K, Mori K, Stern D, Soma T, Naritomi N. Circulating CD34-positive cells provide an index of cerebrovascular function. Circulation 109: 2972-2975, 2004.
  3. Taguchi A, Soma T, Tanaka H, Kanda T, Nishimura H, Yoshikawa H, Tsukamoto Y, Iso H, Fujimori Y, Stern DM, Naritomi H, Matsuyama T. Administration of CD34+ cells post-stroke enhances neurogenesis via angiogenesis in a mouse model. J. Clin. Invest. 114: 330-338, 2004.

最終更新日 2011年03月07日

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