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再生医療部

分子イメージングを用いた移植細胞追跡法の開発(大谷)

幹細胞移植による血管新生療法は虚血性疾患に対する有効な治療法の一つである。近年、新たな幹細胞の発見や、より効率的な細胞移植法の開発が進められているが、移植された幹細胞の移植後の時間・空間的動態に関しては未だ充分に明らかになっていない。そこで我々は、核医学レポーター遺伝子の一つであるヒトNa+/I-共輸送タンパク(hNIS)遺伝子過剰発現マウス(hNIS-Tg)の体性幹細胞を用い、SPECTによる移植幹細胞の時間・空間的追跡法の開発を目指し、研究を進めている。(川崎医科大学、当センター画像診断医学部との共同研究)

図. 心筋梗塞モデルラットに移植したhNIS-Tg由来細胞シートの経時的推移

図. 心筋梗塞モデルラットに移植したhNIS-Tg由来細胞シートの経時的推移


  • Otani K, Zeniya T, Kawashima H, Fukuda H, Hashikawa Y, Moriguchi T, Inubushi M, Iida H, Yamahara K. "Noninvasive Spatial and Temporal Tracking of Multilayered Cell Sheet on Infarcted Heart Using Reporter Gene Imaging. Circulation, 2013, 128.22 Supplement: A13480

超音波分子イメージングによる非侵襲的病態診断法の開発(大谷)

近年、疾患特異的な超早期診断・治療法の開発につながる技術として、生体機能異常や病的変化を分子レベルで画像化する分子イメージングの開発が進んでいる。現状ではPET/SPECTによる核医学法や磁気共鳴法を用いた分子イメージングが広く行われているが、両法とも検査費用が高額かつ大がかりな検査装置が必要である。そこで我々は、臨床使用可能な超音波造影剤Sonazoidを基盤とした、ベッドサイドで施行可能な造影超音波法を用いた循環器疾患に対する分子イメージングの開発を進めている。


  • Otani K, Yamahara K. Development of antibody-carrying microbubbles based on clinically available ultrasound contrast agent for targeted molecular imaging: a preliminary chemical study. Mol Imaging Biol 2011; 13: 250-256.
  • Otani K. Feasibility of clinical application of ultrasound molecular imaging. In: Minin IV, Minin OV (eds) Ultrasound imaging-medical applications. InTech, Rijeka, Croatia, pp295-312, 2011.
  • Otani K, Yamahara K. Feasibility of lactadherin-bearing clinically available microbubbles as ultrasound contrast agent for angiogenesis. Mol Imaging Biol 2013; 15: 534-541.

授乳期における内因性ナトリウム利尿ペプチド系の心保護作用のメカニズムの解明(大谷)

心房性・脳性ナトリウム利尿ペプチド(ANP・BNP)は、当センターの寒川研究所長らによって発見・同定された、血管拡張・ナトリウム利尿・心臓リモデリング抑制・虚血組織における血管新生促進等の多彩な生理作用を有する、心臓由来の循環ホルモンである(Biochem Biophys Res Commun 1984;118:131-9, Nature 1988;332:78-81)。ANP・BNPは共通の受容体Guanylyl Cyclase-A (GC-A) を介してシグナル伝達を行うことが知られており、GC-Aの遺伝子欠損マウス(GC-A-KO) は食塩非感受性の高血圧及び血圧非依存性の心肥大を呈する事がこれまでに明らかとなっている(Nature 1995;378:65-8, Proc Natl Acad Sci USA 2001;98:2703-6)。

先般、我々は雌性GC-A-KOが産褥期に周産期心筋症様の顕著な心機能低下を伴う心肥大・心線維化を呈することを明らかにした。また、この心肥大変化は出産直後に仔を強制離乳させることによって消失した事から、授乳によって惹起されていると推察された。現在、内因性ANP・BNP/GC-A系の授乳期における心保護作用のメカニズムを明らかにすべく、研究を進めている。(当センター生化学部、周産期婦人科との共同研究)

図. GC-A-KOは授乳により周産期心筋症様の心線維化・心機能低下を伴う心肥大を呈する

図. GC-A-KOは授乳により周産期心筋症様の心線維化・心機能低下を伴う心肥大を呈する


  • Otani K, Tokudome T, Kishimoto I, Mao Y, Yamahara K, Kangawa K, Ikeda T. Defective cardiac natriuretic peptide signaling leads to lactation-induced postpartum cardiomyopathy. Circulation, 2012, 126.21 Supplement: A11520.
  • 大谷健太郎、徳留健、岸本一郎、池田智明、中尾一和、寒川賢治. 授乳期における内因性心臓ナトリウム利尿ペプチド系による心保護作用のメカニズム解析. 血管 2014; 37: 93-97.

新生児脳障害に対する細胞治療法の開発(辻、小川、大嶌、田中)

新生児低酸素性虚血性脳症および新生児脳梗塞は、出生前後に突発的に起こり、脳性麻痺や精神遅滞などの障害を残す可能性の高い疾患です。それらの疾患モデルラット・マウスを用いて、細胞治療の開発研究に取り組んでいます。主に臍帯血造血幹細胞/血管内皮前駆細胞の効果および作用機序の検討を行っています。最近、他施設と共同でMuse細胞(AMED代表研究者:名古屋大学 佐藤義朗)や臍帯由来間葉系幹細胞(AMED研究代究者:大阪市立大学 新宅治夫)を用いた研究を開始しています。

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新生児脳障害に対する自己臍帯血幹細胞治療の臨床試験(辻)

多数ある細胞治療の中でも、安全性と簡便性の面から早期の幅広い臨床応用が期待される自己臍帯血幹細胞治療の臨床試験を実施しています。多施設共同(大阪市立大学、埼玉医科大学、名古屋大学、大阪市立総合医療センター、淀川キリスト教病院、倉敷中央病院)で2014年秋から行っています。

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新生児脳障害の病態解析(辻、小川)

従来の新生児低酸素性虚血性脳症(HI)モデル動物と我々が新規に開発した新生児脳梗塞(MCAO)モデル動物を用いて、両者の病態の異同を検討するなど、様々な病態解析を行っています。特に脳循環と炎症に着目して新生児脳障害の発症機序、転帰との関連等を研究しています。

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早期産低出生体重児のモデル動物の開発(辻、大嶌、大谷)

正期産児脳障害と異なり、早期産低出生体重児の脳障害に対する良いモデル動物は存在しないため、子宮内胎仔慢性低灌流による新規モデルの開発をフランス国立科学研究センター(CNRS)と共同で行っています。


ダウン症候群の認知機能障害に対する治療開発(辻、猪原、斎藤、山本、中奥)

ダウン症候群のモデルマウスを用いて、血管作動薬(既存薬)に認知機能改善効果が有るのかどうかを検証しています。


孤発性血管性認知症の動物モデルの開発(猪原、服部、斎藤、山本)

マウス、ラット、非人類霊長類を用いて、孤発性血管性認知症の動物モデルを開発し、ヒトの血管性認知症に応用できる薬剤の有効性試験を行っています。最近確立した動物モデルの仕事(Hattori Y, et al. J Neurosci 2015)では、脳血管障害の少壮研究者1名のみが毎年選ばれる第40回日本心臓財団草野賞を筆頭著者の服部が受賞しました。また、血管性認知症の代表的な病型である脳小血管病の総説がStroke誌の表紙を飾りました(Ihara M, Yamamoto Y. Stroke 2016)。


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図.脳小血管病の機序.動脈硬化→血栓形成→脳梗塞→認知症という経路に加えて、高血圧を介さない塩毒性、炎症・感染、大小血管の相互作用、血液脳関門を形作る細胞間相互作用など様々な因子がその病態に関与することが明らかとなってきた。


遺伝性血管性認知症CADASIL・CARASILの病態解明(猪原、山本、斎藤)

CADASIL・CARASILの動物モデルとCADASILの患者さんから樹立したiPS細胞を用いて遺伝性血管性認知症の病態を解明する研究を行っています。また、CADASIL患者さんのデータベースを国循内に構築することにより、診断基準の作成と将来の治療法の開発を目指しています(AMED代表研究者:三重大学・冨本秀和)。


図. iPS細胞を使ったCADASILの病態メカニズム研究

図. iPS細胞を使ったCADASILの病態メカニズム研究
CADASIL患者の皮膚生検組織からiPS細胞を樹立し、血管壁細胞に分化誘導してその細胞機能異常と分子メカニズムを解析している。


アルツハイマー病における血管因子(猪原、中奥、斎藤)

高齢者の認知症においては、複数の原因が関与することがしばしばです。認知症の筆頭疾患であるアルツハイマー病にも高血圧や糖尿病などの生活習慣病に基づく血管病が深く関与しているということが知られています。そこで、私たちは、βアミロイドやタウを過剰発現する動物モデルを用いてその病態を検証し、血管病の視点からアルツハイマー病の治療法を開発する研究を行っています。


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図. アルツハイマー型認知症における脳小血管病の意義。
脳小血管病はアルツハイマー型認知症の血管病変の中核である。認知症はβアミロイドの蓄積のみによって生じるのではなく、脳梗塞や脳出血の影響も大きい。


脳血管障害の新規治療法の探索(猪原、辻、斎藤、山本)

血液サラサラ薬と言われる抗血栓薬が脳梗塞の予防に用いられますが、出血の合併症もあることから、副作用の少ない治療法の開発が望まれています。我々は、ペプチドホルモン、長寿遺伝子Sirt1を活性化する薬剤、再生医療などを用いて脳梗塞を治す新規治療法の開発を行っています。


脳卒中の予後予測(猪原、高橋)

脳卒中急性期に電気生理学的手法や核磁気共鳴法を用いて患者さんの予後を予測できるアルゴリズムを開発する研究を行っています。その方法を将来の脳卒中の臨床研究に組み込むことで、有効な神経保護療法の確立を目指します。


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図. 急性期脳卒中患者における予後予測研究
電気生理検査やMRIを用いて、脳卒中の予後予測の新規アルゴリズムを開発している。さらに、そのアルゴリズムを将来の脳卒中臨床試験における選択基準に組み込む予定である。


脳卒中(特に脳出血)の成因研究(猪原、殿村、斎藤)

大阪大学歯学研究科との共同研究で、う蝕原性細菌(通称、虫歯菌)が脳出血の強い危険因子となることが明らかになりました。高血圧の管理によって減少はしているものの、外国に比べて我が国に依然多いとされる脳出血の予防法開発につなげたいと考えています。


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図. cnm遺伝子陽性う蝕原生細菌を有する患者さんでは有意に脳内の微小出血の個数が多かった。


アルツハイマー病のPET/SPECTトレーサー開発(猪原)

京都大学薬学研究科、当センター病理部と共同で、アルツハイマー病に見られる病理変化を非侵襲的に検出できるPET/SPECTトレーサーの開発を行っています。


その他、AMEDやNIH等によりファンディングされている研究(猪原)

病院では、以下のプロジェクトが進行中です。

  1. 脳卒中後てんかんの診断・予防・治療指針の策定(AMED代表研究者:猪原匡史)
  2. 吹田研究高齢者の認知機能評価・神経画像評価(NIHグラント:ピッツバーグ大学との共同研究)
  3. 心血管リスク管理による認知症低減のための尼崎市との包括協定
  4. シロスタゾールを用いた軽度認知障害に対する医師主導治験(COMCID研究)

最終更新日 2016年07月01日

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