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分子生物学部

2016年の業績

研究活動の概要

ヒトの体は、37兆個の様々に分化した細胞により構成され、それらは全て同じゲノム(遺伝情報)を持つ。性質の異なる細胞への変化、その性質を維持するためには、DNAのメチル化、ヒストン等のタンパク質の翻訳後修飾、クロマチン(染色体)の構造変化といった、エピジェネティック機構により、ゲノム上の個々の遺伝子が組織特異的、分化特異的、状況特異的に発現されることが重要である。これまで、先天性心疾患を含む循環器疾患の原因として様々な遺伝子の変異が発見されてきたが、近年の分子生物学的手法の発展により、単一の遺伝子を原因とする疾患よりもむしろ、周囲の環境が疾患の発症に大きく影響することがわかってきた。また、加齢による細胞の老化、がんや生活習慣病では、エピジェネティック機構の異常が、細胞の恒常性維持の破綻をもたらす原因の一つであることが明らかになってきている。分子生物学部では、エピジェネティック機構が心臓の形態形成、心筋分化や心筋の機能維持にどのように関わるか、また、生活習慣病の予防にも直結する、骨格筋の線維型の決定及び維持機構について、モデル動物を用いて解析するとともに、ここ数年で大きく進歩したCrisper-Cas9システムを用いたゲノム編集技術を導入することにより、センター内外における疾患モデル動物作成の支援を行っている。

2016年の主な研究成果

  1. エピジェネティック因子Pcgf5の機能解析において、肥大型心筋症に関与することが知られているタンパク質が、Pcgf5と複合体を形成することが明らかとなった。
  2. 骨格筋の線維型維持機構の解明に向けて、Vgll2が運動時の骨格筋の遅筋化に関与するかどうかを明らかにするために、新たに代償性運動負荷試験を開始し、詳細な解析を行った。
  3. 核への遺伝子導入により、53系統のトランスジェニックマウスを作製し、Crisper-Cas9システムを用いたゲノム編集技術により、10系統の遺伝子破壊や挿入を作製し、38系統のマウスのクリーニングを行い、18系統の受精卵保存を行った。

研究業績

  1. Ishiwata T, Tanabe N, Shigeta A, Yokota H, Tsushima K, Terada J, Sakao S, Morisaki H, Morisaki T, Tatsumi K. Moyamoya Disease and Artery Tortuosity as Rare Phenotypes in a Patient with an Elastin Mutation. American Journal of Medical Genetics Part A. 170, 1924-1927, 2016.
  2. Yamada C, Kuwahara K, Yamazaki M, Nakagawa Y, Nishikimi T, Kinoshita H, Kuwabara Y, Minami T, Yamada Y, Shibata J, Nakao K, Cho K, Arai Y, Honjo H, Kamiya K, Nakao K, Kimura T. The renin-angiotensin system promotes arrhythmogenic substrates and lethal arrhythmias in mice with non-ischaemic cardiomyopathy. Cardiovascular Research. 109, 162-173, 2016.
  3. Oda H, Sato T, Kunishima S, Nakagawa K, Izawa K, Hiejima E, Kawai T, Yasumi T, Doi H, Katamura K, Numabe H, Okamoto S, Nakase H, Hijikata A, Ohara O, Suzuki H, Morisaki H, Morisaki T, Nunoi H, Hattori S, Nishikomori R, Heike T. Exon skipping causes atypical phenotypes associated with a loss-of-function mutation in FLNA by restoring its protein function. European Journal of Human Genetics. 24, 408-414, 2016.
  4. Yoshida A, Morisaki H, Nakaji M, Kitano M, Kim K, Sagawa K, Ishikawa S, Satokata I, Mitani Y, Kato H, Hamaoka K, Echigo S, Shiraishi I, Morisaki T. Genetic mutation analysis in Japanese patients with non-syndromic congenital heart disease. Journal of Human Genetics. 61, 157-162, 2016.
  5. Hosoyamada M, Tsurumi Y, Hirano H, Tomioka NH, Sekine Y, Morisaki T, Uchida S. Urat1-Uox double knockout mice are experimental animal models of renal hypouricemia and exercise-induced acute kidney injury. Nucleosides Nucleotides & Nucleic Acids. 35, 543-549, 2016.
  6. Shirai M, Takihara Y, Morisaki T. Pcgf5 Contributes to PRC1 (Polycomb Repressive Complex 1) in Developing Cardiac Cells. Etiology and Morphogenesis of Congenital Heart Disease. 305-312, 2016.

過去の業績

最終更新日 2017年08月21日

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