国立循環器病研究センター

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遺伝性不整脈専門外来の開設 ~突然死の原因であるQT延長症候群を専門的に診察~

2014年2月6日

国立循環器病研究センター(略称:国循)不整脈科では、QT延長症候群を対象とする遺伝性不整脈の専門外来を毎月末の金曜日の午後に開設しました(2014年1月開始)。当センター不整脈科では従来から遺伝子検査を行っておりましたが、外来時間内での対応では検査や診察体制に限界があったため、専門外来を設けることにより、より的確な診断と治療につなげます。

QT延長症候群(LQTS)は心筋細胞の活動電位持続時間が延長することにより起こる病気で、心電図上のQT時間が延長することからこの名前がついています。無症状のため検診などで見つかる場合も多くありますが、しばしば多形性心室頻拍(VT)を引き起こし、失神発作や突然死の原因となる難病です。LQTSは先天性と薬剤や徐脈などが原因の後天性に大別されますが、先天性LQTSでは家族内に同様の心電図異常もつ人が多く、無症状の人も含めると我が国に数万人の患者がいると推定されます。

先天性LQTSは、変異のある遺伝子の種類により現在LQT1~LQT13のタイプに分類されていますが、各遺伝子型の頻度はLQT1が40%、LQT2が40%、LQT3が10%と3つの遺伝子型で約9割を占めます。それぞれの遺伝子型毎に不整脈発作の誘因や予後も異なることから、遺伝子検査を行うことによって診断確定だけでなく各々の患者に応じた適切な治療法の選択や生活指導が可能となり、遺伝子検査は本疾患の最も重要な検査法となっています。

しかしながら原因遺伝子が見つからない例や同じ遺伝子異常があっても発症しない例もあり、遺伝子の異常だけで病態を全て説明できるわけではありません。当センターでは、先天性LQTSに対する国内多施設登録により日本人の患者約1000名の臨床およびゲノム情報をデータベース化してきました。比較的まれな遺伝性不整脈では個々の患者や家族だけでは不明確な点も日本人の大規模データベースを用いることにより、単なる遺伝子診断にとどまらず個々の患者にとって最適な医療を提供することを目指しています。

最終更新日 2014年02月06日

最終更新日:2021年09月28日

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