国立循環器病研究センター

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広報活動

もやもや病の専門外来の開設

2012年9月24日

国立循環器病研究センター(大阪府吹田市、理事長:橋本信夫、略称:国循)は、脳の太い血管が細くなったり、詰まったりして起こる「もやもや病(ウィリス動脈論閉塞症): Moyamoya Disease」の専門外来を10月1日から開設します。

もやもや病は、脳に栄養を送る頭蓋内の太い動脈(内頸動脈)が細くなったり、詰まったりして脳に流れる血液の量が減少して起こる病気です。不足した血液を補うように発達した末梢の細い血管(もやもや血管)が、脳血管造影検査で『たばこの煙』のように見えることから「もやもや病」と名付けられました。この病気は日本で見つかり、「もやもや病」という病名は、現在世界中で使われています。症状には2種類あり、脳に血流が足りないために体の片側の麻痺やことばの障害などを起こす脳梗塞の症状と、もやもや血管が長期間の負担に耐えられずに破れ出血を起こす脳出血の症状です。脳梗塞の症状は小児に多く、脳出血の症状は成人に多く見られます。最近では、前頭葉の長期の脳虚血が原因と考えられる成人の高次脳機能障害が問題となっています。患者数は日本全国で約7500名と推定され、性別では女性が男性の1.8倍多く見つかっています。原因はまだはっきり分かっていません。

脳血流が不足して症状が起こった患者さんには、まずアスピリンなどの「抗血小板薬」で治療しますが、血流不足が強い重症の患者さんには頭蓋内外の血管を吻合するバイパス手術などが必要となります。もやもや病は原因が不明で治療法がまだ確立していない病気で、重篤な後遺症を残す可能性が高いため、厚生労働省の特定疾患に指定されている難病です。国循では、全国的にも珍しいもやもや病の専門外来を開設し、専門医が診断・治療・社会的支援にあたります。診察日は毎週水曜日を予定しています。

【図1 脳血管造影の画像
左:正常者   右:もやもや病患者:細い血管がたばこの煙のように見える

脳血管造営の画像

【図2 虚血型および出血型の発症年齢】 出典:もやもや病診断・治療ガイドラインから
調査期間:1996~2000年
1227名登録患者の分類
【図2 虚血型および出血型の発症年齢】

【図3 男女の発症年齢】

出典:もやもや病診断・治療ガイドラインから
調査期間:2003~2006年
962名登録患者の分類
【図3 男女の発症年齢】

最終更新日 2012年09月25日

最終更新日:2021年09月28日

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