国立循環器病研究センター

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広報活動

心室頻拍を合併した閉塞性肥大型心筋症の新たな治療法について

2012年6月21日

国立循環器病研究センター(大阪府吹田市、理事長:橋本信夫、略称:国循)心臓外科の小林順二郎部門長のチームが、心筋の肥大が心臓の内部に突き出すように生じ心臓内部での血液の流れを妨げる「閉塞性肥大型心筋症」について、左室心尖部から心筋を切除する手術に日本で初めて成功しました。肥大型心筋症は厚生省特定疾患(難病)に指定され、我が国で10万人に17.3人の有病率とされており、さらにその1/4で閉塞性肥大型心筋症であるとされています。閉塞性肥大型心筋症の主な症状は、胸痛、呼吸困難、動悸などがあり、さらに心室頻拍などの不整脈を合併した場合は失神発作や突然死の原因となります。

これまで心室頻拍を合併した閉塞性肥大型心筋症患者で、左室中央から心尖にかけて肥大がある場合は、この両者を治療する有効な方法がなく、ICD植え込みにより突然死を予防する治療が大勢を占めていました。また、外科治療を行う場合には、僧帽弁を切除したのち左室心筋を切除するため人工弁置換となり抗血栓薬を飲み続けなければならなくなるなどのデメリットがありました。

今回の治療法は、心室頻拍を合併した閉塞性肥大型心筋症患者に対して、左室心尖部から肥大した心尖~左室中央にかけての左室心筋を切除して、左室内の血圧差と心室頻拍を消失させることに成功しました。また、僧帽弁の機能も温存できました。

これまでICDで突然死を予防しているにすぎなかった治療が、不整脈の原因となる異常な左室肥大心筋を取り除くことで根本的な治療になる可能性があります。

報道発表資料【pdf. 451KB】

最終更新日 2012年06月21日

最終更新日:2021年09月28日

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