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拡張型心筋症の病態評価、治療予測を可能とする診断法の作成

超高齢化社会を迎える我が国では心不全患者数の急増が予測され、重症化防止などの治療戦略を確立が急務となっています。心不全の5年生存率は70%程度と低く、入退院を繰り返して重症化する例が大半ですが、一部の症例では左室補助人工心臓(LVAD)などの装着や薬物療法により、心臓の肥大や機能低下、線維化(リモデリング)が正常化(リバース)し、安定的回復に至る「リバースリモデリング」が起こることが知られています。そのため、心不全の治療法開発や創薬には、病態の正確な把握とリバースリモデリングの分子機序解明が不可欠と考えられています。

本プロジェクトでは、拡張型心筋症などの重症心不全患者を対象に、LVAD装着症例、並びに心臓移植症例の摘出心筋組織のプロテオーム、トランスクリプトーム、エピゲノム(DNAメチローム)、ゲノム解析の多層オミックス解析を行っています。LVAD装着により3-6ヵ月後に心機能回復が認められた症例(回復群4例)とそれ以外の症例(非回復群45例)の比較では、LVAD装着時の3遺伝子のmRNA発現量、DNAメチル化率、タンパク質量に基づき、回復群・非回復群の判別が可能でした。今後、LVAD装着後に心臓移植を受けた症例(リバースリモデリング例を含む)について、オミックス解析情報と臨床情報の比較解析を進め、リバースリモデリングにおける分子変動を理解し、その分子基準と予測法を開発する予定です。

各症例の病態を正確に把握するため、心筋症などの病因遺伝子のパネル解析より変異情報の収集も進めています。今後、心内膜生検標本の病理診断後の残余組織を用いたオミックス解析を可能とし、より多くの症例から分子情報を取得すべく、超微量RNA-seq、プロテオーム解析技術の開発を進めています。並行して、BNPを補完する心筋細胞機能の評価マーカーなどの発見にも努めます。

以上により、リバースリモデリングの分子基準と予測法の開発、心機能の総合的評価マーカーの選出・実用化を目指します。拡張型心筋症モデルマウスの心筋組織や血液を用いた研究では、線維化亢進についての評価法の作成やバイオマーカーの探索・同定を行ってきました1,2

関連研究費:

  • 文部科学省科学研究費若手研究 (研究代表者 錦織充広、2019-2020年度)「エクソソームのオミックス解析情報に基づく新規心不全バイオマーカーの探索」

関連業績

  1. Nagai-Okatani C, Nishigori M, Sato T, Minamino N, Kaji H, Kuno A. Wisteria floribunda agglutinin staining for the quantitative assessment of cardiac fibrogenic activity in a mouse model of dilated cardiomyopathy. Lab Invest, in press.
  2. Nishigori M, Yagi H, Mochiduki A, Minamino N. Multiomics approach to identify novel biomarkers for dilated cardiomyopathy: Proteome and transcriptome analyses of 4C30 dilated cardiomyopathy mouse model. Biopolymers, 106:491-502, 2016.

最終更新日 2019年07月24日

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