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大動脈瘤、脳動脈瘤の発症、破裂を予測する診断法の作成

大動脈瘤は無症候で進行しますが、破裂すると死亡や重篤な後遺症に至る割合が高く、健康長寿社会の実現を阻む大きな課題です。我が国の大動脈瘤や脳動脈瘤患者は全人口の1~4%と推定されますが、発見にはMRI・超音波検査などの画像診断が必要で、発症や破裂リスクを診断できるバイオマーカーは存在しません。ORCでは、大動脈瘤患者の血管壁の多層オミックス解析を実施し、大動脈瘤発症を血液で検出可能なマーカーを探索、同定してきました。この研究を発展させ、大動脈瘤マーカーの実用化や、脳動脈瘤を含めた瘤破裂リスクの評価法の開発を目指します。

本研究では、動脈硬化性及び遺伝性の大動脈瘤患者を対象として、血液と血管壁組織(人工血管置換手術時に摘出)を収集します。脳動脈瘤については、分子薬理部の青木室長らが作成した脳動脈瘤破裂モデルラットの血液と血管組織試料を用いて破裂に至る過程を追跡します。

これまでの研究成果より、大動脈瘤組織のタンパク質発現プロファイルに基づく進行度評価法を作成しました。この評価法に従い、大動脈瘤の発症・拡大に伴い血管壁で変動するタンパク質をカタログ化し、その中から血液でも変動するタンパク質を複数見出しました。これらを組合せると、大動脈瘤の発症などを高精度に検出可能であることが分りました(特許出願済1,2、論文作成中)。現在、バイオバンク試料を用いて、これらのタンパク質を用いた診断法の有用性を評価しています。今後は、RNA発現情報なども統合して、瘤の破裂予測を利用とするマーカー探索を進める予定です。脳動脈瘤ラットでは、微小組織解析用に開発したプロテオーム、RNA-seq解析法を脳血管組織に適用し、脳動脈瘤の発症や破裂リスクを検出可能なマーカーを探索しています。

近年、がん領域においては、細胞が分泌し細胞間情報伝達を担うエクソソーム等の微小粒子や、内包される核酸・タンパク質が、バイオマーカーとして注目されています。循環器病領域でも、マーカーとしての利用の可否を調べるため、大動脈瘤患者で検討したところ、血管壁と血液エクソソームで相関して変動する分子の存在が示唆されました。そこで、大動脈瘤患者並びに脳動脈瘤モデルラットのエクソソームを対象に、瘤の発症や拡大、破裂に伴い変動する分子の詳細な解析を進めています。

関連業績など

  1. 八木、錦織、南野、村上他、新規大動脈瘤マーカー、出願日2018年3月30日
  2. 八木、錦織、南野、村上他、動脈硬化及び動脈硬化関連疾患マーカー、出願日2019年3月29日

最終更新日 2019年07月24日

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