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医療関係者の皆様へ -- 臨床工学部 --

1.臨床工学部の概要

平成3年に初めての厚生労働技官(当時は厚生技官)として、1名の臨床工学技士が手術部に配属されました。人工心肺操作を中心に、一人でまさに獅子奮迅の活躍を発揮し、平成7年5月には2名の臨床工学技士が追加されました。3名の臨床工学技士で当時800例を越える人工心肺操作を担当する時期もありました。現在は定員内職員9名(臨床工学技士長1名)、非常勤臨床工学技士9名の合計18名で、構成されています。平成11年4月より、当センターの最大の特徴である非常勤臨床工学技士制度を導入しました。この目的は、人工心肺の操作を将来専門業務として希望する、新卒・既卒臨床工学技士を対象に、操作技術の早期習得を可能とする「道場」を開設することでした。現在まで多くの修了生を輩出し、中には医学部大学院博士後期過程に在籍し人工心肺関連の研究を行っている修了生や、米国でC.C.Pの資格修得後、そのまま米国小児専門病院で小児心臓移植を含めた人工心肺操作を担当する女性修了者もおり、「未来を担う若者に夢を!」をスローガンに、定員内職員一丸となり業務に取組んでいます。現在は3年間の新人教育プログラムを作成しており、後天性・大血管・先天性の一部の人工心肺を担当し、3年間のMain Perfusionistとしての症例数は平均200例を超えています。

2.臨床工学技士室の方針

  • 国立循環器病研究センターの臨床工学技士として、スタッフ・非常勤を問わず独立した専門医療職としての自覚を持ち、患者中心としたチーム医療で必要不可欠な存在となるよう、臨床技術・知識の習得に努める。生命維持管理装置については最も高い知識の習得に努め、循環器領域における臨床工学の発展とEBMの展開を目標とする。
  • 臨床工学技士の独立部門としての樹立を目指し、人員増枠に努める。病院が必要とする事故防止と安全性向上、経済効果を念頭に必要に応じて業務の拡大を図る。
  • 国立循環器病研究センターの臨床工学技士として、スタッフ・非常勤職員ともに研究の重要性を認識し、基礎研究・臨床研究・臨床工学研究を行う。また新しい発想をもとにした技術の発見・装置の工夫や発明を目標として、斬新な部門の構築を目指す。

3.臨床工学技士の業務内容

人工心肺業務

2008年度の総人工心肺数は609例(後天性、先天性、大血管)でした。症例は弁置換から移植、小児複雑心奇形、大血管置換と様々です。2010年の7月から臓器移植法が改正となり小児の心臓移植に対する人工心肺を行う準備も進めています。

補助循環業務

補助循環業務では小児や成人に対する補助循環を担当しており、ラウンドを行い補助循環の駆動状況の確認を行っています。状況によっては医師と協議をおこない回路交換時期を実施しています。

人工透析業務

2007年の定例透析のべ件数は1175件でした。また当センターの特性上、出張透析や特殊血液浄化も多く、出張透析97件・血漿交換16件・LDL吸着111件・DFPP 12件・DHP 4件でした(ICUでの心臓手術後のCHDFは含んでいません)。

ME管理業務

Servo i 28台、VIP 15台などの人工呼吸器を中央管理しています。年間に約700件の組み立てと貸し出し前点検を行っており、指定部品交換および定期点検も随時実施しています。点検履歴や故障履歴、貸し出し履歴などの機器情報は、来るべき全ME機器の中央管理化に備えて、専用PCにて総合一括管理を行っています。

人工心臓業務

補助人工心臓における臨床工学技士の業務は、植込み手術時のVAS操作条件の設定と体外循環操作、定期点検時の乗せ換え、また小型の駆動装置モバートNCVC®を使用する国内・外の搬送に同行し、医師の指示下で操作条件の変更を含めた管理全般を行っています。一方植込み型VASは、使用開始当初からチームの一員として係わり、また治験においては治験担当者としてさらに踏み込んで業務に携わっています。東洋紡製VAS®の業務に加え、入院中の機械的側面からのリハビリテーションサポート、患者および家族に対する緊急対応訓練と教育、メーカーと医療従事者側の医工学的な橋渡しや教育といった多岐にわたる業務を担当し、植込み型VAS装着患者の早期退院と自立した生活の確保に努めています。退院後も移植外来において臨床工学技士によるVAS機器の動作チェックを含めた定期点検を行い、安全性確保に努めています。

4.業績

長期補助循環装置Endumo®の開発

長期補助循環装置Endumo
写真1

補助循環部門では国立循環器病研究センター研究所人工臓器部で開発された優れた抗血栓性と長期耐久性を発揮する材料表面処理技術Toyobo-National Cardiovascular Center -coating(TNC-coating)を全ディバイスに施した長期補助循環システムEndumo®(写真1)を平和物産と共同開発し使用しています。このシステムは長期補助と独自の回路構成を用いクイックプライミングを実現した補助循環装置で、今までの市販補助循環回路に比べ抗血栓性にすぐれ回路交換回数を劇的に減少させています。我々の施設ではこのシステムを小児から成人領域にわたり使用しており、良好な成績を収めています。

 

小児人工心肺回路の開発

小児人工心肺回路では充填量の削減を目的とした回路長の短縮は必須となっています。そこで問題となるのが清潔領域(術野の)確保です。我々の施設では株式会社JMSと共同に術野の清潔を確保できる小児人工心肺回路を開発し使用しています。この回路の特徴は以下の通りとなっています。

コンパクト

術野の清潔を確保する為に清潔領域シートは非常に大きな構造となっています。その為に回路充填時に準備の邪魔になる事がありましたが、シートを独自の収納方法により準備時には格納しています(写真左)。そして術野に回路を出す際に初めてシートを広げ外科医に回路を提供しています(写真右)。

収納方法術野に回路を出す際

安全

従来の回路では手術が終わった時点で回路は不潔にしていました。その為にICU帰室前の急な循環不全では、急速導入が可能な補助循環装置を使用していました。この回路では独自に開発した一時収納ポケットをシートに圧着することにより、急な血圧低下に対しても迅速に対応できるようになっています。

安全

 

総説(2008年)

  • 林輝行.ビジュアルでわかる人工心肺の知識と実際―体外循環操作・新生児・乳幼児―,Circulation Up to Date,Vol4, No5,2008, P66-74
  • 吉田幸太郎ほか.集中治療室で行う補助循環時の患者管理―両心不全に対する流量補助, Circulation Up to Date,Vol3, No2,2008, P98-106

学会発表(2008年)

  • 西岡宏、林輝行、高橋裕三、四井田英樹、西垣孝行、吉田幸太郎、小川浩司、峠崎純一、立川洋輝、中谷武嗣、補助人工心臓の使用管理と治験担当者としての今後、第35回体外循環医学会2008,10,11、大阪
  • 畑中晃、四井田英樹、西垣孝行、高橋裕三、吉田幸太郎、小川浩司、西岡宏、松本泰史、峠崎純一、英美幸、林輝行、高齢者に対する人工心肺管理方法の検討、第35回体外循環医学会2008,10,10、大阪
  • 四井田英樹、吉田幸太郎、西垣孝行、高橋裕三、西岡宏、小川浩司、松本泰史、峠崎純一、畑中晃、英美幸、林輝行、新人臨床工学技士の人工心肺操作が後天性心疾患にあたえる影響の検討、第35回体外循環医学会2008,10,10、大阪
  • 高橋裕三、林輝行、四井田英樹、吉田幸太郎、西岡宏、小川浩司、峠崎純一、順行性選択的脳灌流法による大動脈全弓部置換術後の脳障害の検討、第35回体外循環医学会2008,10,10、大阪
  • 峠崎純一、高橋裕三、四井田英樹、西垣孝行、吉田幸太郎、小川浩司、西岡宏、松本泰史、立川洋輝、林輝行、慢性肺動脈塞栓症におけるPCPS装着例の検討、第35回体外循環医学会2008,10,10、大阪
  • 松本泰史、吉田幸太郎、四井田英樹、西垣孝行、高橋裕三、西岡宏、小川浩司、峠崎純一、畑中晃、立川洋輝、林輝行、劇症型心筋症に合併したARDSに対しECMOを施行した1例、第35回体外循環医学会2008,10,10、大阪
  • 立川洋輝、西垣孝行、四井田英樹、高橋裕三、吉田幸太郎、小川浩司、西岡宏、峠崎純一、松本泰史、石野直明、染川翔太、林輝行、循環家悦液量算出式の検討、第35回体外循環医学会2008,10,10、大阪
  • 吉田幸太郎、四井田英樹、西垣孝行、高橋裕三、小川浩司、西岡宏、峠崎純一、松本泰史、林輝行、大動脈弓を再建する先天性疾患において送血管の先端圧を用いた分離体外循環の経験、第35回体外循環医学会2008,10,10、大阪
  • 西垣孝行、MUFは本当に必要か?第35回体外循環医学会パネルディスカッション、2008,10,11、大阪

最終更新日 2012年05月31日

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