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脳血管内科・脳神経内科

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脳血管内科(脳内Aグループ) 2009年 研究活動概要

脳血管内科(脳内Aグループ) 2009年 研究活動概要

脳血管内科は、脳血管障害を全身血管病として捉え、神経病学・循環器病学・救急医学・血栓止血学・リハビリテーション医学などの多角的な視点から研究活動を進め、近年では全国多施設と共同して大型臨床研究を主宰する機会も増えた。海外からも国際共同臨床試験への参加を要請され、臨床研究開発部と共同で実行可能性を検討している。研究所やセンター外研究施設と連携したトランスレーショナル・リサーチの推進にも力を入れ、脳梗塞早期発見ないし発症予知を可能にするバイオマーカーの同定などを行っている。

2009年に脳血管内科が主宰した多施設共同研究を、以下に列挙する。

  1. 厚生労働科学研究「脳卒中地域医療におけるインディケーターの選定と監査システム開発に関する研究」(主任研究者:峰松、3月で終了)
  2. 循環器病委託費研究(18公-5)「脳血管解離の病態と治療法の開発(The Spontaneous Cervicocephalic Arterial Dissections Study: SCADS)」(主任研究者:峰松、3月で終了)
  3. 厚生労働科学研究「一過性脳虚血発作(TIA)の診断基準の再検討、ならびにわが国の医療環境に則した適切な診断・治療システムの確立に関する研究」(主任研究者:峰松、初年度)
  4. 循環器病委託費研究(21指-4)「脳卒中診療の均てん化のためのシステム構築研究」(主任研究者:峰松、初年度)
  5. 厚生労働科学研究「わが国における脳卒中再発予防のための急性期内科治療戦略の確立に関する研究(The Stroke Acute Management with Urgent Risk-factor Assessment and Improvement Study: SAMURAI)」(主任研究者:豊田、第二年度)

先端医療開発特区(スーパー特区)に採択された産官学連携の国家研究プロジェクト「急性期脳梗塞早期系統的治療のための分野横断的診断治療統合化低侵襲システムの開発」(主任研究者:東京慈恵会医科大学、古幡博教授)にも、中核施設の一つとして参加し、超音波血栓溶解療法や脳梗塞急性期画像診断装置の開発に携わった。

国際・国内学会での演題発表や学会活動にも、力を注いだ。峰松は日本脳神経超音波学会理事長に選出され、第12回日本栓子検出と治療学会(2009年10月大阪)の会長も務めた。社団法人日本脳卒中協会「脳卒中対策検討特別委員会委員長」に選任され、脳卒中対策基本法要綱案を策定した(関連学会・団体より承認済み)。

脳血管リハビリテーション部門(理学療法・作業療法・言語聴覚療法)は脳血管部門の多職種と連携し、早期リハビリテーションの治療成績向上に努めた。循委均てん化班のリハビリテーションスタッフを対象とした全国意識調査を企画立案遂行した。

【主な研究成果】

  • 峰松が主宰した循環器病委託費15公-1研究「循環器疾患における抗血栓療法の問題点と対策(Bleeding with Antithrombotic Therapy研究:BAT研究)」の全国多施設共同後ろ向き登録研究として、脳出血発症前の抗血栓薬服用が転帰に及ぼす影響をまとめた(Toyoda: Cerebrovasc Dis 2009)。
  • 峰松が主宰した厚労科研「わが国におけるStroke unitの有効性に関する多施設共同前向き研究(The Stroke Unit Multicenter Observational Study:SUMO)」で登録したデータベースを用いて、脳卒中ユニットの有無がrt-PA静注療法国内認可後の診療体制変化に及ぼす影響をまとめた(Sato: Stroke 2009)。
  • 厚労科研インディケーター研究班で、脳卒中医療の質を評価するわが国独自のインディケーター案を提唱し、その有用性を前向きに評価した。
  • SCADS研究班での研究成果として、わが国独自の脳動脈解離の診療指針を、手引書として刊行した。
  • 循委均てん化班で前述した脳卒中インディケーター案の検証を始め、また脳卒中啓発活動の一環として中高生への脳卒中啓発を企画、実行した。
  • 厚労科研TIA研究班でTIA診療に関する全国アンケート調査を施行した。TIA患者の登録研究を始めるとともに、関連する国際共同研究TIA Registryにも参加した。
  • 厚労科研SAMURAI研究班で、rt-PA静注療法脳梗塞患者の多施設共同登録研究を行い、わが国独自の投与量による本治療の有効性をまとめた(Toyoda: Stroke 2009)。同じく脳出血急性期降圧療法の全国アンケート調査を行い、降圧指針の多数意見を明らかにして(Koga: Hypertens Res 2009)、その安全性等を確かめる多施設共同観察研究を始めた。
  • 循委16指-1(岡山班)での急性期脳卒中患者多施設共同前向き登録データベースを用いて、発症-来院時間と患者転帰の関係をまとめた(Naganuma: Cerebrovasc Dis 2009)
  • 脳血管内科・脳神経内科の患者データベースを用いて、脳梗塞再発予知因子としてのアルブミン尿の意義の検討(Yokota: J Neurol Sci 2009)や急性期脳出血連続症例での深部静脈血栓出現頻度とその背景要因を探究する前向き研究をはじめ(Kawase: Cerebrovasc Dis 2009)、多岐にわたる研究を遂行した。

最終更新日:2021年10月08日

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