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小児循環器内科

診療科等の概要

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小児循環器内科の概略

国立循環器病研究センター小児循環器内科は1977年から診療・研究を開始し、約44年間の歴史になります。2019年7月に、JR東海道本線岸辺駅前へ移転しました。

小児循環器内科診療体制

現病院(550床)では小児循環器関連各科(小児循環器内科、小児心臓外科、小児集中治療科、新生児科、産婦人科、成人先天性心疾患科)が連携して診断治療に従事できる様に、5階の1フロアに関連病棟(小児循環器集中治療5C病棟24床, 小児循環器5W病棟30床、産婦人科5N病棟30床、成人先天性心疾患/重症心不全5E病棟25床)を配置し(図1)、手術室や心臓カテーテル室と専用大型エレベータで直結しました。胎児心臓病から新生児・乳児心臓病、小児循環器疾患、成人先天性心疾患、心臓病合併妊娠と人生サイクルに寄り添えるシームレスな心臓病診療が可能となりました。
小児循環器内科は常勤医12名と非常勤医11名(小児科専門医15名、小児循環器専門医12名)で診療しています。外来は予約制で小児循環器領域のサブスペシャリティーに応じた診療を行っています(表)。2019年度の入院数は1156名、外来数は約13000名でした。

図1. 国立循環器病研究センター 診療部門配置図

表. 小児循環器内科 外来担当表、初診外来担当表

新生児心臓病

先天性心疾患は乳児死亡の最大原因です。重症先天性心疾患は出生後早期に緊急対応が必要となることが多く、診断治療には高度の専門性を有した医師と施設が必要となります。現病院では、小児循環器集中治療5C病棟内にCardiac PICU (小児循環器集中治療室)12床(図2)、PICUと同仕様のCardiac NICU (新生児心疾患集中治療室)6床、Cardiac GCU (新生児心疾患治療回復室) 6床を新設し、小児循環器内科と小児心臓外科が共同で重症心臓病の診療に取り組んでいます(図3)。

図2. 小児循環器集中治療室

図3. 小児循環器集中治療室

胎児心臓病

胎児心エコーによる先天性心臓病の出生前診断は飛躍的に進歩し、妊娠20週前後でほとんどの先天性心疾患を診断することが可能なりました。当院では胎児診断された重症先天性心疾患に対して、各専門領域の協力下に出生直後からの高度集約医療を施行し、従来の治療法では致死的な重症例を多数救命しています。

カテーテル治療

心房中隔欠損に対するカテーテル閉鎖治療は、Amplatzer septal occluder(ASO)に加えて、2016年から柔軟な構造のOcclutech Figulla flexⅡ(FFⅡ)が導入され、それまで適応外であった広範囲大動脈縁欠損などにおいても治療が可能となっています。
2020年4月から低出生体重児の動脈管開存に対するAmplatzer duct occluder Ⅱ ASが使用可能となりました。また、大血管の狭窄に使用できるCPステント、肺動脈弁の狭窄/閉鎖不全に対するバルーン拡張型のSapien valveや自己拡張型のHarmony valveを用いたカテーテル肺動脈弁留置術が承認される見込みです(図4)。

図4. 小児心臓カテーテル室

小児不整脈

小児期の上室頻拍に対するカテーテルアブレーション治療に加えて、3Dマッピングシステムなど最新の医療機器を用いて心房スイッチ術後の上室頻拍、多源性上室頻拍などの複雑な不整脈に対する治療例も増加しています。
また房室ブロック、洞機能低下による徐脈に対するペースメーカ治療、突然死予防としての植込み型除細動器治療、心不全治療としての心臓再同期療法も増加してきています。先天性心疾患の心不全症例に対する心臓再同期療法は、当院で開発された先進的な方法です。
QT延長症候群、カテコラミン誘発多形性心室頻拍、Brugada症候群、進行性伝導障害などの遺伝性不整脈も診療の対象です。従来法による標的遺伝子の解析のみならず、次世代シークエンサーによる網羅的な解析が可能となりました。

小児心臓移植

2010年の臓器移植法改定、植え込み型補助人工心臓の普及、2015年のBerlin Heart EXCOR Pediatric(小児用人工心臓)の保険償還を機会に国内心臓移植待機が増えました。2016年には10歳未満のドナーからの臓器提供があり、当センター初の小児心臓移植が実現しました。その後も小児の臓器提供は少しずつ増えてきており、現在は小児心臓移植施設として、補助人工心臓管理のエキスパートセンターとしての役割を担っています。

小児期に起因する肺高血圧

小児の特発性・遺伝性肺動脈性肺高血圧や先天性心疾患に伴う肺動脈性肺高血圧に対する専門的診療を行っています。肺高血圧診療では10種類以上の肺血管拡張薬が登場しましたが、大半は小児適応が取得されていません。当科では肺血管拡張薬の国内外の小児適応承認治験への参加を積極的に行っています。

川崎病

川崎病は1967年の報告から約半世紀が過ぎ、急性期治療の進歩により冠動脈後遺症は激減しました。しかし、心血管後遺症をもつ小児が成人期に入り、加齢による動脈硬化が加わることで発症する急性冠症候群を防ぐことが必要になって来ました。当院では低侵襲で冠動脈障害の診断が可能であるDual Source コンピュータ断層撮影などを用いて、川崎病血管炎後の冠動脈障害進行の解明と治療に取り組んでいます。

成人先天性心疾患

治療技術の進歩で90%以上の先天性心疾患患者さんが成人を迎えるようになり、成人先天性心疾患は毎年1万人の割合で増加しています。当院の成人先天性心疾患の患者数は5000〜6000例で世界でも最大級の施設となっています。適切な受診科が見つけにくい成人した先天性心疾患患者が安心して受診できるように、小児循環器内科と心臓内科にまたがる「成人先天性心疾患外来」を開設しています。

以上の様な疾患だけでなく、心電図検診や心臓検診、心雑音など小児循環器領域に関わることは何でもご相談ください。

施設認定

  • 日本小児循環器学会専門医修練施設
  • 日本小児科学会専門医修練施設
  • 日本循環器学会専門医研修施設

最終更新日:2023年05月09日

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