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心臓外科

対象疾患・治療法
重症心不全に対する外科治療

重症心不全に対する外科治療

移植医療部との連携のもと、下記の治療を行っています。

  • 補助人工心臓
    1. 心原性ショックに対して、心機能の回復または心臓移植適応判定までの橋渡しとしての治療(Bridge to Recovery / Bridge to Decision)
    2. 心臓移植待機中の循環補助(植込型補助人工心臓、Bridge to Transplant)
  • 心臓移植

補助人工心臓

1) 心原性ショックに対して、心機能の回復または心臓移植適応判定までの橋渡しとしての治療(Bridge to Recovery / Bridge to Decision)

対象疾患

  • 劇症型心筋炎
  • 急性心筋梗塞
  • 慢性心不全の急性増悪
  • 難治性心室性不整脈
  • 周産期心筋症
  • 心臓手術後の心不全など

上記疾患などにより、急性に心機能が低下し循環不全に陥った状態に対する治療です。国立循環器病研究センターでは年間20~30例、主に下記のデバイスを使用して治療を行っています。多臓器不全(肺水腫、肝不全、腎不全など)を合併した患者さんには状態に応じた集中治療も行い、全身状態の回復を目指しています。最も重症なグループ(profile 1)の治療後の1年後生存率は約80%で治療成績は良好です(図1)。



図1 治療後の生存率

● 経皮的補助人工心臓:Impella
鎖骨下動脈、大腿動脈から経皮的に心臓内に挿入し、直接左室を補助することができる小型軸流ポンプによる補助人工心臓です。低侵襲で速やかに導入できるのが特徴です。およそ数日~数週間の補助が可能です。
https://players.brightcove.net/811199619001/default_default/index.html?videoId=5321487482001


● 体外設置型補助人工心臓:ニプロLVAD
開胸手術により装着する補助人工心臓で、心臓に装着したカニューラは体外のポンプと接続されます。両心(左心、右心)補助も可能で、およそ数か月~数年単位の補助が可能です。



患者さんの状態に応じて、上記デバイスと遠心ポンプ、人工肺を組み合わせた治療も行っています。




2) 植込型補助人工心臓(Bridge to Transplant)

心臓移植適応と判定された患者さんを対象に、心臓移植までの待機期間中の循環補助を目的とした植込型補助人工心臓を装着する手術を行っています。国立循環器病研究センターではこれまで120例以上の植込型補助人工心臓の治療実績があります。患者さんの病態、体格などから適切なデバイスを選択し、主に下記のデバイスを使用しています。

国立循環器病研究センターでの植込型補助人工心臓術後の生存率は1年で95%と国内、海外と比べると非常に良好な成績です(図2)。平均の補助期間は2±1.2年で、現在最長は5.4年です。心臓移植待機患者さんの増加に伴い、植込み数と待機期間は増加傾向にあります。



図2 植込型補助人工心臓の生存率

● HeartMate II
全世界で最も使用実績のある軸流ポンプによる植込型補助人工心臓です。国立循環器病研究センターの100例以上の植込み実績は国内最多で、良好な臨床成績から国内で唯一International Center of Excellenceに認定されています。


図 International Center of Excellenceの認定


● Jarvik2000
小型の軸流ポンプで、他のデバイスが適さない方や、小柄な患者さんに使用しています。



心臓移植

国立循環器病研究センターでは移植医療部との連携のもと、心臓移植手術を行っています。心臓摘出・移植チームが24時間対応し、提供者(ドナー)の心臓を摘出、搬送します(図3)。心臓移植は重症心不全患者の最後の砦となる治療であり、心臓移植ネットワークに登録される患者さんは増加傾向にあります(図4)。本邦心臓移植第2例目を当センターで施行して以来、これまで100例を超える心臓移植手術を行っています。国立循環器病研究センターにおいて心臓移植手術を施行し、手術後は拒絶反応や感染の対策を行います。心臓移植後の生存率は非常に良好で(図5)、多くの患者さんが元気に社会復帰をしています。


図3 摘出チームによる搬送


図4 心臓移植ネットワーク登録患者数と心臓移植数


図5 心臓移植後の生存率



図 当センターでの心臓移植術式:Modified Bicaval Anastomosis Technique

最終更新日:2021年10月08日

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