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不整脈科

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不整脈植え込みデバイス

不整脈植え込みデバイス

当センターでは日本循環器学会ガイドライン、AHA/ACC/HRSのガイドライン、ESCのガイドラインをもとに植え込み適応を決定し、年間に約250件のペースメーカ、約100件のICD、約50件のCRT-D植え込み術を行っています。また各々のデバイス専門の外来(ペースメーカ外来、ICD外来、CRT外来)にて1,500名以上をfollow-upしています。近年では新しい技術(IT)を用いた遠隔モニタリングを利用したfollow-upも順次導入しています。

図:デバイス治療件数

図.デバイス治療件数

1. ペースメーカ

不整脈疾患、特に徐脈性不整脈においてはペースメーカが不可欠です。近年では、DAVID試験、MOST試験、CTOPP試験などの結果を受けて、不必要な右室ペーシングを極力減らすようなペーシングモードが開発され、洞不全症候群患者様では使用するようになりました。

  • Yamaoka M, Noda T, Nagasawa H, et al. Pacing Clin Electrophysiol. 2008;31:1083-4.
  • Takigawa M, Noda T, Kurita T, et al. Cardiology. 2007;110:226-229

2. ICD

現在では突然死二次予防の有用性を示したAVID試験や一次予防の有用性を示したMADIT試験、MADITII試験、SCD-HeFT試験を踏まえて、ICDは致死性不整脈の治療法として確立されています。日本においてICDが保険償還されたのは1996年ですが、当センターでは、いち早くICDの有用性に着目し、治験当時から植え込みを行うと同時にfollow-upをしています。そのような背景から、現在の外来通院患者様は400名以上であり、ICD管理においては全国屈指の施設となっています。進化を続けるICDですが、electrical stormの問題、不適切作動の問題等、残された問題もあり、レジデントや専門修練医などとともに当センターの経験やデータを検討し、学会発表や論文として公表しています。

  • Kawata H, Noda T. Yamada Y, et al. Pacing Clin Electrophysiol. 2010 in press.
  • Takigawa M, Noda T. Kurita T, et al. Circ J. 2010 in press.
  • Nagai T, Satomi K, Noda T, et al. Circ J. 2010 in press.
  • Kurita T, Ueda S, Okamura H, et al. Int Heart J. 2009;50:823-7.
  • Nagai T, Kurita T, Satomi K, et al. Circ J. 2009;73:1028-32.
  • Takigawa M, Noda T, Shimizu W, et al. Heart Rhythm. 2008;5:1523-7.
  • Kitamura S, Satomi K, Kurita T, et al. Circ J. 2006;70:273-7.
  • Kakishita M, Kurita T, Matsuo K, et al. J Am Coll Cardiol. 2000;36:1646-53.

3. CRT

心不全例では、その進行に伴い心電図上のQRS幅は広がり、心室内伝導障害と非協調的心室収縮が生じます。非協調的心室収縮を改善する目的で右心房と右心室および冠静脈洞の枝に留置されたリードからのペーシングを用いて心室再同期療法(CRT)が行われるようになっています。近年では心不全のモニタリング機能や除細動機能を兼ね備えた機種が登場し、CRTは心不全の管理に不可欠な治療として確立されつつあります。現在、CRTの有効性を考慮した適応として広く受け入れられているのは、ACE阻害薬やβ遮断薬を含む心不全治療が十分に行われたNYHAクラスⅢもしくはⅣの症候性心不全を有し、左室駆出率35%以下で、QRS幅130msec以上(あるいは120msec)の全てを満たす患者様です。MIRACLE試験、CARE-HF試験、COMPANION試験によってその有用性は高く評価されています。当センターにおいては、心臓外科および専門修練医とともに、年間約50件のCRT-D植え込み術を行っています。

CRTにも解決されない問題点が存在し、上記の適応を満たしても、CRTは約70%の症例にしか、効果的でないことがわかっています。その原因としてはdyssynchronyの評価の問題、心筋障害の程度、心不全の重症度、不適切な両室ペーシングなどが挙げられます。どのような患者様にCRTが有効なのかを含め、今後の課題と考えられます。

最終更新日:2021年10月08日

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