メニュー

患者の皆様へ

病気について知りたい

心臓の病気

Q. 心不全とはどういう病気ですか?

A. 心臓は全身に血液を送り出すポンプとして一日中、休むことなく働いています。心不全とは、ポンプとしての心臓の機能が低下し、体が要求する血液を十分に送り出せなくなることによって起こる労作時息切れや呼吸困難などの一連の症状をさし、一概に心不全と言っても、原因や自覚症状は人によって様々です。

Q. 心不全は、どういう原因で起きてきますか?

A. 心臓の筋肉を養っている血管(冠動脈)が詰まってしまう心筋梗塞、動脈硬化や塩分の摂り過ぎなどが原因の高血圧、心臓の部屋を分けている逆流防止弁が障害される弁膜症、心臓の筋肉に異常が起こる心筋症、拍動のリズムが異常になる不整脈、先天的な心臓の病気など様々な疾患が原因となって生じます。

Q. 心不全の症状としては、どのようなものがありますか?

A. 心不全になると、心臓から十分な血液を送り出せなくなり、体に必要な酸素や栄養が足りなくなるので、坂道や階段で息切れがしたり疲れやすくなったり、細い血管に血液が行き渡らなくなるために手足が冷たくなったり、腎臓に流れる血液が少なくなって尿の量が減るために、日中のトイレの回数が減ったりします。心臓が広がって血液を取り込む働きが弱くなると、体の中で血液がスムーズに流れずに滞る「うっ血」が起こり、足の甲やすねのあたりがむくんだり、体重が1週間で2〜3キロ増加したり、夜間に呼吸が苦しくなって咳が出たりします。さらに、胃腸の粘膜や肝臓もむくんでくると、食欲も無くなります。
息切れや足のむくみは心不全の患者さんで頻度の多い症状ですので、これらの症状が出現した際には、一度専門の医療機関の受診をお勧め致します。

心不全科のページへ

 

脳血管の病気

Q. 脳卒中ってなんですか?

A.脳卒中は脳の血管の問題で症状が出る病気です。血管ですから、基本的には詰まってしまうか、破れて出血するかに区別できます。詰まって血流が途絶し、症状が出ることを脳梗塞といいます。出血の場合は、脳の外の血管が破れるくも膜下出血と、脳の中の血管が破れる脳内出血に分けられます。

Q. 頭の血管にコブ(未破裂脳動脈瘤)があると言われました。破裂しないか心配です。

A.脳ドックや、頭痛やめまいの原因を調べるために頭のMRI検査を受けた際に、「脳動脈瘤(のうどうみゃくりゅう)」が見つかることがあります。脳動脈瘤はふつう、破裂しない限りほとんど無症状です。しかし、もしも破裂すると「くも膜下出血」という大変な事態になり、命にかかわるため、多くの方が不安になるのは当然のことです。
ただ、必ずしもすべての脳動脈瘤が破裂するわけではありません。小さな脳動脈瘤の多くが、長期にわたり問題を起こさないことが分かっています。一方で、5~7mmを超える大きさになると一定の破裂リスクが生まれ、10mmを超える大型のものは危険度が高くなります。脳動脈瘤がある場所と大きさ、形によって、今後1年間に何%の確率で破裂するのかついての、日本人のデータが明らかになっています。
破裂が心配される脳動脈瘤には、精密検査を行ったあと、治療が勧められます。治療にはクリッピング術(開頭手術)とコイル塞栓術(カテーテル治療)の2種類があり、動脈瘤の状況によって、より安全確実な方を選択します。国立循環器病研究センターにはそれぞれの治療のエキスパートが揃っており、専門的な立場から最良の選択肢をご提案することが可能です。
まれに、クリッピング術、コイル塞栓術のどちらを用いても単独では治療が難しい動脈瘤があります。このような病変に対して当センターでは、両者を組み合わせた「ハイブリッド治療」も行っています。

→ 脳神経外科のページへ

Q. 物が二重に見えて、片方の目が充血するようになりました。眼科で、眼の病気ではなく脳では?、と言われています。

A.頭の中から、眼にむかって勢いよく血液が逆流する、「海綿静脈洞部硬膜動静脈瘻(かいめんじょうみゃくどうぶこうまくどうじょうみゃくろう)」という、長い名前の病気があります。左右の眼の奥には海綿静脈洞という静脈血のプールがあって、通常は脳や眼からの血液が流れ込み、心臓に血液を返しています。ところが、このプールと周囲の動脈との間に異常なつながり(シャント)ができることがあり、動脈血が眼の静脈を勢いよく逆流します。すると眼に異常な充血がおこり、また眼の動きが障害されてものが二重にみえたり(複視)まぶたが開かなくなったり(眼瞼下垂)します。眼だけでなく脳にも静脈血が逆流して、脳出血の原因となることもあります。
「硬膜動静脈瘻」は頭の中の別の場所にも出来ることがあり、心臓の拍動と一致する拍動性の耳鳴りの原因になったり、脳への血液逆流で脳出血を起こしたりすることもあります。
いずれも、放っておくと症状が進むだけではなく回復もしにくくなるので、すぐに専門的な精密検査が必要です。
治療としては多くの場合血管内治療(カテーテル治療)が行われます。多くの場合、シャント部分と血液の逆流路をプラチナ(白金)製のコイルなどで遮断することによって症状を改善させ、脳への血液逆流を伴うものでは脳出血の危険をなくします。
国立循環器病研究センターはこれまで、「硬膜動静脈瘻」の治療をたくさん行ってきました。特に、「シャントの部分だけを的確に遮断する」方法を積極的に行って、安全かつ確実な治療を提供しています。当センターには脳神経血管内治療の指導医、専門医が多く在籍しており、いつでも質の高い治療を提供することが可能です。この病気が疑われたら、ぜひ外来でご相談ください。

→ 脳神経外科のページへ

Q. 顔を洗ったり物をかんだりしたとき、激しい痛みが走ります。

A.三叉神経痛(さんさしんけいつう)という病気の可能性があります。三叉神経は、顔の感覚を脳に伝える神経です。三叉神経痛はいろいろな理由でおこりますが、最も多いのは頭の中で脳血管が三叉神経を圧迫することによるもので、顔ではなく脳血管の病気です。この病気の特徴は、「一瞬だけれども鋭く激しい痛み」であり、洗顔、化粧、ひげそり、ものをかむ動作などで誘発されることが多いようです。痛みの場所は片側の頬、あご、歯ぐきなどです。
治療はまず、痛みをしずめる薬(テグレトール)を使います。薬が効かない場合やふらつきや眠気などの副作用が強い場合には、脳外科手術が有効です。耳の後ろで頭蓋骨に小さな窓をあけ、顕微鏡で脳の深部を観察します。三叉神経を圧迫している血管を見つけて神経から離す手術を行うと、90%近くの患者さんは痛みがやわらぎ、あるいは消失します。心臓や他の病気で全身の状態の悪い方や、ご高齢で手術の負担が大きい患者さんには、「ガンマナイフ」という放射線治療があります。手術による改善率には及びませんが、およそ60~80%の患者さんは痛みが和らぎます。平成27年7月から、三叉神経痛に対するガンマナイフ治療が保険適応になりました。国立循環器病研究センターには開頭手術とガンマナイフの体制が整っており、患者さんの状態に応じて最良の治療を提供することができます。
また、同じような病気に顔の片側(目尻や頬、あご)がぴくぴくとけいれんする、「顔面痙攣(がんめんけいれん)」という病気があります。この病気は三叉神経の場合と同じように、頭のなかで脳血管が顔面神経という神経を圧迫しておこる病気です。薬物注射での治療が行われますが、効かない場合は、三叉神経痛と同じような脳外科手術によって症状が劇的に良くなります。

 

認知症

Q. 認知症の原因にはどのようなものがあるのでしょうか?

A.認知症を起こす病気には、たくさんの種類があります。アルツハイマー病、血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症など、ほかにも正常圧水頭症や甲状腺の病気といった適切な治療によって治るものもあります。適切な治療で治る認知症もあること―これはぜひ覚えていてほしい大切な点です。ところが、アルツハイマー病がとくに注目された結果、認知症は神経細胞がひとりでに死んでいく難病だという認識が広まってしまいました。しかし、認知症の2番目の原因である血管性認知症であれば、脳卒中の予防が認知症の予防に直結します。また、最近の医学の進歩によって、アルツハイマー病ですら高血圧や糖尿病などの生活習慣病を治療すれば、その進行を抑制できそうだということが明らかになってきました。

Q. 血管性認知症とはどのような病気でしょうか?

A.認知症の2番目に多い原因である血管性認知症は、「血管性」の文字通り、老化や生活習慣病を背景に血管の壁がもろくなった結果、詰まって梗塞を起こしたり、破れて出血を起こしたりして、認知機能が悪くなる病気です。脳は全身の20%近い血液を必要とする臓器で、血管の老化や動脈硬化によって最も影響を受ける臓器だからです。血管性認知症の原因は、虚血性心疾患(心筋梗塞など)や脳卒中の場合と同じく動脈硬化を起こす病気そのものです。その中には高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙、心房細動などが含まれ、それら各疾患に対する治療を徹底することが、認知症の予防となります。「ヒトは血管とともに老いる」という事実は、脳においても例外ではないのです。

Q. 認知症の症状にはどんなものがあるでしょうか?

A.認知症の中心的な症状(中核症状)として、記憶障害、見当識障害、理解・判断力の低下、実行機能の低下などが挙げられます。記憶障害は、新しいことが記憶できなくなることです。見当識障害とは、現在の年月・時刻、自分がいる場所を把握する働きが障害される症状です。理解・判断力の低下が起こると、情報を処理するスピードが低下し、ささいな変化にも戸惑うようになります。また、物事を段取りよく行う能力が障害され、実行できなくなることを実行機能障害と呼びます。これらの中核症状はいろいろな組み合わせで出現しますが、アルツハイマー病では記憶障害や見当識障害が出現しやすく、血管性認知症では実行機能の低下が起こりやすいなどの特徴があります。

Q. 軽度認知障害(MCI)とはなんでしょうか?

A.上述した認知症の様々な症状のうち、ごく一部にだけ症状があるものの、日常生活にはまだ特段差し障りが出ていない状態を軽度認知障害(MCI)と呼んでいます。いわば、認知症の予備軍です。MCIでは社会生活を送ることも可能ですので、MCIから認知症への進行をいかに抑えるのかが重要です。高血圧、糖尿病、脂質異常症などの循環器病をきちんと管理することでMCIから認知症への5年後の進行が4割以上予防出来た、という報告もあり、循環器病の制圧が認知症の治療に直結することが示唆されています。当センターでは、MCIに対する新たな薬物療法の研究開発(COMCID試験)も行っておりますので、どうぞお気軽にご相談ください。

Q. 医療機関に行きたがらない場合はどうしたらよいでしょうか?

A.認知症のある患者さんは、病気の認識(病識)がないように見えても、「何かがおかしい」ということには気づいておられることがほとんどです。認知症が治らない病気という認識が広まっている以上、必死にそれを否定したい、という気持ちが芽生えるのは当然のことと思います。しかし、「Q. 認知症の原因は?」で述べたように、「治る認知症」があり、早期診断が重要であることを伝え、健康診断の一環としての受診を勧めていただければ、と思います。ご家族にとっても患者さんの能力の衰えに戸惑われることが多くなると思いますが、まずは医療機関にご相談いただくことが解決の第一歩になると思います。

 

子供の心臓病

Q. 学校検診でWPW症候群と言われました。どういう病気でなにか治療をしなければならないのでしょうか?

A.通常、心房と心室の電気的な興奮の架け橋となるのは房室結節(心房と心室を結ぶところ)ですが、WPW症候群の場合はもう一本余分な副伝導路が心房と心室を電気的につないでいます。一般的にWPW症候群というだけでは無症状であり治療の必要性はありません。しかし発作性上室性頻拍と言われるドキドキする頻脈発作を起こす場合は治療をお勧めします。安静時には60-80回/分程度の脈拍である学童児が、安静にしていても180-200回/分の脈拍になります。発作を止めるには息こらえをしたり、冷たい水に顔をつけたりすると停止することがありますが、なかなか止まらない場合は医療機関を受診しなければなりません。一般的に発作は突然始まり(特に運動中などをきっかけに)、突然停止し、その始まりと終わりを本人が自覚できます。発作を繰り返さないようにするにはカテーテルアブレーションという治療がとても有効です。現在では成功率も高く、安全に治療が行えるようになりました。また、副伝導路の付着位置によっては、心室の収縮力を悪くしてしまうケースもあります。この場合も同様にカテーテルアブレーションで治すことができます。一度、医療機関を受診して治療の必要性があるかどうか相談してみることをお勧めします。

→ 小児循環器内科のページへ

Q. 学校検診で不完全右脚ブロックと言われました。これは病気なのでしょうか?

A.不完全右脚ブロックは心電図の形に特徴があると言うだけで病気ではありません。ただ、心電図が不完全右脚ブロックの形をしている場合に心房中隔欠損といって心臓に穴が開いている先天性の心疾患の場合があります。学校検診ではこのような病気を早期発見するために心電図で特徴がある場合には聴診所見や胸部レントゲンおよび心臓超音波検査で心疾患がないかどうか確認するように推奨しいています。専門医療機関で検査をしてもらいましょう。検査で問題なければ全く健康な児童と同じですので安心できます。

→ 小児循環器内科のページへ

Q. 学校検診でQT延長の疑いがあると言われました。これまで全く元気に過ごしてきましたがなにか大きな病気なんでしょうか?どんなことに気をつけたらいいのでしょう?

A.QT延長症候群とは多くの場合は遺伝性の不整脈疾患です。運動や、感情的なたかぶりが誘因となり失神を伴う不整脈を引き起こすことが知られています。しかし学童児の場合はQT延長があるだけで、失神を伴うような不整脈を起こすことのないことも多く、十分な問診と運動負荷心電図検査が必要です。ですから心電図検診でQT延長を指摘された場合は家族歴および患児の既往歴がとても重要な要素になります。場合によっては運動制限を必要とする場合もありますので、そのリスク評価を専門医療機関で行うことが大切です。当センターではまず外来で問診、身体所見、心電図検査などを行います。気になる所見を認めた場合、入院検査として運動負荷試験や薬物負荷試験を行い、遺伝子検査の必要性を説明させていただく場合があります。それらの検査結果から、治療および運動制限の必要性を決定しています。

→ 小児循環器内科のページへ

最終更新日:2023年09月05日

設定メニュー