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心臓リハビリテーションを組み込んだ急性心筋梗塞地域連携パス

1.急性心筋梗塞退院後の心臓リハビリテーションの重要性

急性心筋梗塞(AMI)患者における心臓リハビリテーション(心リハ)は、運動耐容能、生活の質(QOL)、再発予防、長期予後に対する有効性が確立していますが、近年PCIによる再灌流療法が普及し、AMI入院患者の在院日数が大幅に短縮した結果、入院期間中に生活習慣指導、栄養指導、運動処方などの患者教育にかける時間が不足しているというジレンマがあり、そうした不足分を補う意味でも外来通院型心リハの重要性が高まっています。

2.地域連携パス成立までの経緯

大阪府豊能医療圏(池田市、箕面市、吹田市、豊中市、豊能町、能勢町)は、総人口約100万人で、緊急心臓カテーテル検査の施行可能な急性期病院が7施設ありますが、そのうち入院中の心リハ実施施設は3施設、外来通院型心リハ実施施設は当センター1施設のみと、心リハに関する施設間格差の問題を抱えています。また当医療圏では、もともとかかりつけ医をもたないAMI患者は退院後もそのまま急性期病院に外来通院することが多く、AMI患者における病診連携が不十分でした。

そこで大阪府豊能医療圏では、地域全体のAMI患者の長期予後とQOLの改善、施設間医療格差の均一化を目的として、患者がどの急性期病院に入院しても同様に心リハを受けることができる「大阪府豊能医療圏急性心筋梗塞地域連携パス」を平成22年5月から開始しています。

この豊能医療圏AMI地域連携パスには、AMIを扱う急性期病院として、国立循環器病研究センター、済生会千里病院、大阪大学病院、市立豊中病院、マックシール巽病院の5施設、医師会として、吹田市医師会、豊中市医師会、箕面市医師会、池田市医師会の4医師会、事務局として大阪府吹田保健所が参加しています。また豊能医療圏以外の摂津市・茨木市地域から、個別にご参加いただいている診療所もあります。

3.地域連携パスのパターン

心リハに関しては、急性期病院が心リハ実施施設か否かにより、急性期から維持期まで4パターンが考えられます(図1)。

急性期から維持期まで4パターン
(図1) 急性期から維持期まで4パターン

A.急性期病院が心リハ実施施設である場合、入院中から外来通院心リハまで同院で継続する。

B.急性期病院が心リハ実施施設ではない場合、入院後安定期に心リハ実施病院へ転院して心リハを開始し、退院後も外来通院心リハを継続する。

C.急性期病院が心リハ実施施設ではない場合、退院後に心リハ実施病院に紹介し、外来通院心リハを開始する。

D.急性期病院が心リハ実施施設ではなく、遠方などの理由で退院後も外来通院心リハが困難な場合、在宅リハのみを継続する。

4.急性心筋梗塞ノートを用いたAMI地域連携パス

今回の連携パスでは、急性期と回復期のみならず、維持期までの連携を想定し、患者、急性期専門病院、かかりつけ医、心リハ実施施設が、退院後1年間記録できる【急性心筋梗塞ノート】(図2)を作成しました。当センターなどの急性期専門病院で入院加療された患者は、退院後の血液検査と投薬は基本的にかかりつけ医に依頼させて頂きます。

(図2) 急性心筋梗塞ノート
(図2) 急性心筋梗塞ノート(クリックで拡大)

急性期専門病院退院時に、基本情報(図3)、心リハ情報(図4)、服薬内容を記入した急性心筋梗塞ノート(A5サイズ・62頁)を患者にお渡しして、外来受診時に持参して頂きます。

 基本情報.jpg心リハ情報
(図3)基本情報(クリックで拡大)                           (図4)心リハ情報(クリックで拡大)

5.急性心筋梗塞ノートの内容 

ノート前半には、退院時から1年後まで経過記録頁(図5)が設けてあり、上段が患者記録欄、下段が医師記録欄で、かかりつけ医および専門病院受診時に記入して頂きます。急性期専門病院には3か月程度の間隔で受診し、心臓超音波検査、運動負荷検査、心臓カテーテル検査などを必要に応じ施行し、検査結果はノートに記載されます。また退院後の心リハ参加を推奨するため、参加状況や心リハ評価欄も設けました。

(図5)経過記録
(図5)経過記録(クリックで拡大)

ひとつのノートに患者、急性期病院医師、退院後心リハ施設、かかりつけ医が経過記録を記入することで、患者の病状、検査結果、服薬内容などの情報の伝達が容易になり、検査の重複が避けられます。もしかかりつけ医受診時に患者の病状や検査結果に変化があれば、直ちに急性期病院へ紹介して頂くことも可能です。さらに患者が自身の疾患や健康状態に対して積極的に向き合うことに役立つと考えられます。退院1年後には、冠危険因子のコントロール、生活習慣改善、運動療法がどの程度達成できたかチェックすることができます(図6)。

(図5)急性心筋梗塞発症から1年が経過して
(図6)急性心筋梗塞発症から1年が経過して(クリックで拡大)

ノート後半には参考資料として、疾患と冠危険因子の説明、心リハの重要性(図7)、再発予防に向けた生活習慣改善、食事療法(図8)や運動療法(図9)のポイントや、食品中の塩分量やコレステロール量などの一覧表を加え、最後に患者自身が毎日の体重、血圧、1日歩数を1年分記録する生活日誌を設けました。

(図7「心臓リハビリ」とは?
(図7)「心臓リハビリ」とは?
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(図8)退院後生活のポイント
(図8)退院後生活のポイント
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(図9)運動療法のポイント
(図9)運動療法のポイント
(クリックで拡大)

ノートの記録は1年で終了となりますが、退院後1年の間に食事・運動療法や生活習慣の改善により、危険因子の十分なコントロールが得られれば、その間に得られた知識と経験、動機づけにより、その後も同様の生活を続けられると考えられます。

6.かかりつけ医の先生方へのお願い

 1) 症例登録・・・登録された患者様が急性期病院を退院後かかりつけ医の先生を受診した際に、「急性心筋梗塞ノート」巻末に挿入してある「かかりつけ医登録はがき」に「受診日」「医療機関名」「担当医氏名」をご記入のうえ、事務局(吹田保健所)宛てに投函をお願いします。

2)「急性心筋梗塞ノート」記入・・・外来受診のたびに該当欄への所見記入をお願いします。

3) 退院後の心臓リハビリ・生活管理指導・・・「急性心筋梗塞ノート」に記載されている達成目標や指導に従うよう患者教育・指示をお願いします。

4) 1年後追跡・・・登録1年後に急性期病院から対象症例に追跡調査アンケートを送付しますので、該当の患者様に記入・返送のご指導をお願いします。

先生方にはご多忙中のところ大変恐縮ですが、『大阪府豊能医療圏急性心筋梗塞地域連携パス』によろしくご協力のほどお願い申し上げます。
なお、豊能医療圏急性心筋梗塞地域連携パスへの新規協力のお申し込みは、当センター専門医療連携室、または大阪府吹田保健所(TEL 06-6339-2225)までご連絡下さい。

最終更新日 2011年08月09日

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