ホーム > 医療人の育成 > レジデント・デーのご案内 > 2011年度 > 小川 久雄(おがわ ひさお)

小川 久雄(おがわ ひさお)

国循レジデントが私の循環器内科医としての原点

小川 久雄

熊本大学大学院循環器病態学 教授 / 国立循環器病研究センター 副院長兼務
小川 久雄

2011年3月11日に発生した東北関東大震災(東日本大震災)、大津波、その後の福島原子力発電所事故は未曾有の大災害でした。影響被災された皆様へ心からお見舞い申し上げますとともに被災された地域の一日も早い復興をお祈りいたします。

私は昭和56年(1981年)から59年(1984年)まで第4期レジデントとして国立循環器病センターに御世話になりました。卒業して4年目でした。それまで 全く循環器内科医としての経験がなく、熊本市から遙かに離れた天草の病院からの赴任でしたので、カルチャーショックの連続でした。初めてのオーベンが永田正毅先生でした。それからローテーションでCCUに行きました。平盛勝彦先生、土師一夫先生らの厳しい指導を受けました。特に心臓カテーテル室での土師一夫先生のスパルタ教育は今も忘れることができません。この指導があったからこそ私の今がある、と言っても過言ではありません。しかし、本当にきつかった、というか生きているのが精一杯の勤務状態でした。徹夜の連続も普通でした。本当に体がよくもったと今でも思っております。

ただ、この御陰で当時では循環器内科医としての最高レベルの教育が受けられました。また、このときの仲間は30年後の今なお付き合っています。私は現在、仕事の中心的なテーマとして多施設共同研究を行っていますが、これもかなりの部分はレジデント時代に作った人脈で行えております。多施設共同後ろ向き研究である The Japanese Acute Coronary Syndrome Study (JACSS)では、日本の心筋梗塞の現状を報告し、Japanese Antiplatelets Myocardial Infarction Study (JAMIS)において、心筋梗塞再発予防にアスピリンが重要である事を明らかにしました。また、心筋梗塞後のイベント抑制に対するCa拮抗薬とβ遮断薬の比較試験であるJapanese β-blockers and Calcium antagonists Myocardial Infarction(JBCMI)Studyにおいて、日本人においては心筋梗塞後にはCa拮抗薬がβ遮断薬に劣らず有効であること、急性心筋梗塞に対するスタチン療法の効果を検討したMulticenter Study for Aggressive Lipid-lowering Strategy by HMG-CoA Reductase Inhibitors in Patients with Acute Myocardial Infarction(MUSASHI-AMI)において、心筋梗塞後には欧米人と同じように予後改善にスタチンが効果的であることを示しました。さらには心血管疾患の重要な危険因子である糖尿病患者の一次予防においてアスピリンが有効であるかどうかを検討したJapanese Primary Prevention of Atherosclerosis with Aspirin for Diabetes (JPAD) Trialにおいて、アスピリンが全体的な心血管イベントを有意差こそ出なかったが減少させたこと、冠動脈死および脳血管死を減少させたこと、また65歳以上の患者には効果があることを報告しました。

2011年4月5日、第60回American College of Cardiology Scientific Session and i2 SummitのLate-breaking clinical trial (LBCT) sessionにおいてOlmeSartan and Calcium Antagonists Randomized (OSCAR) Studyを発表いたしました。2008年のAmerican Heart AssociationのLate-breaking clinical trial sessionでのJPADの発表に続く幸運に恵まれました。これらについてお話できたらと思っております。 平成23年4月14日付けで独立行政法人 国立循環器病研究センター 副院長を兼務することになりました。レジデントとなってから30年ぶりの国循です。レジデントの皆様、よろしくお願いします。

文献
  1. Am J Cardiol 1999;83:1308-1313
  2. Am J Cardiol 2004;93:969-973
  3. Am J Cardiol 2006;97:1165-1171
  4. JAMA 2008;300:2134-2141.

最終更新日 2011年09月29日

ページ上部へ