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ニトロ製剤の正しい使い方

  1. 薬のききめ
  2. 重要な注意事項
  3. 使用方法
  4. 使用上の注意
  5. 薬の効き始める時間と効果の続く時間
  6. 効果がなかった時
  7. 保管方法
  8. 副作用
  9. 予防薬として
  10. その他

1. 薬のききめ

ニトログリセリン錠、ニトロペン錠、ニトロール錠、ニトロールスプレーおよびミオコールスプレーは、いずれも狭心症の発作を止める薬です。ニトログリセリン錠とニトロペン錠は、中身が同じものです。これらの薬を総称して硝酸薬(しょうさんやく)といいます。硝酸薬は、

  1. 心臓の筋肉(心筋)に酸素をたくさん含んだ血液(動脈血)を送る冠状動脈を拡張させて、心筋への血液の流れを良くします。
  2. 酸素の少ない血液(静脈血)を流す全身の静脈を拡張させ、そこへ血液をためて心臓へかえってくる血液の量を減少させ、血液を押し出すポンプとして心臓の動きを小さくします。
  3. 全身の動脈も拡張させて血圧を下げて、心臓の負担を小さくします。

これによって心筋へ送られる酸素の量が増加し、また心筋で使われる酸素の量も少なくて済むようになり、狭心発作の原因となっている心筋の酸素不足を解消します。

2. 重要な注意事項

勃起不全治療薬クエン酸シルデナフィル(バイアグラ)、塩酸バルデナフィル水和物(レビトラ)は絶対に使用しないで下さい。

3. 使用方法

舌の下でとかす薬(舌下錠)

ニトログリセリン錠、ニトロペン錠

狭心症の発作が起きたり、発作が始まりそうになったら、安静にして1錠だけ取り出し、舌の下に入れて溶かして下さい。口の中の粘膜から吸収されて効果を現す薬ですので、飲み込んでしまうと効きません。また、口の中が乾いていて溶けにくいときにはグチュグチュと唾液(つば)を出して溶かすか、水を一口飲んでから溶かすと良いでしょう。30分以上たってから、また発作が起こったら、また1錠使って下さい。30~60分以上の間をあけてなら、1日に何回使ってもかまいません。

ニトロール錠

ニトロール錠もニトログリセリン錠と同じく、狭心発作の治療や予防に使います。この薬は、飲み込んでも効果があります。しかし飲み込んだときには、その効果は15分以上たたないと出てきません。発作時にはニトログリセリン錠と同じように舌の下に入れて溶かして使います。ただその場合でもニトログリセリン錠にくらべて、効果があらわれるのに少し時間がかかります。早く効かせたいときは、錠剤を口の中で噛み砕いて舌の下で溶かすと良いでしょう。 

口の中に噴霧する薬

ニトロールスプレー、ミオコールスプレー

  1. 保護キャップをはずしてください。初めて使用する場合は噴霧栓をニトロールスプレーは2~3回、ミオコールスプレーは6~7回、押して空噴きしてから使用して下さい。空噴きをしないと十分な量の薬が出ません。また初めて使用するのでないときでも、ニトロールスプレーは3日以上、ミオコールスプレーは1ヵ月以上間隔をあけて使用するときは、1回空噴きしてから使用してください。
  2. 十分な量の薬が出るよう容器を立てた状態で持って下さい。寝て使用するときは、体を少し起こしてから使用して下さい。寝たまま使用すると十分な量の薬が出ません。
  3. 噴霧口を口から約2㎝に近づけて下さい。口を開けたまま息を止めた状態で、噴霧栓を力強く押して口の中に噴霧し、すぐ口を閉じて下さい。30秒位唾液(つば)を飲み込まない方が効果がよくあらわれます。口の中に残る特有の味は無害ですので安心して使用して下さい。
  4. 使用後は再び保護キャップをして下さい。
*ニトロールスプレー、ミオコールスプレーは使いはじめの空噴きを除き、100回の噴霧ができます。使用回数がわかるような表を作り、噴霧毎に印をつけるなどして、噴霧回数をチェックして下さい。残り少なくなってきたら、主治医に申し出て下さい。

4. 使用上の注意

  1. 硝酸薬は血圧を少し下げる働きがあります。血圧が少し下がっても、普通は何ともありません。ときには血圧が下がり過ぎて、気分が悪くなり、めまいやふらつきがあり、ごくまれに気を失うことがあります。血圧が下がり過ぎたときの用心に、硝酸薬を使うときは立ったままでなく、座った姿勢で使うと良いでしょう。とくに、初めて硝酸薬を試すときには座って使って下さい。血圧が下がり過ぎて気分が悪くなったときには、枕をしないで横になって、下肢を高くしておくと、20分ぐらいで楽になります。道路上などで横になれないときには、しゃがんで前かがみになって、頭を低くしてみて下さい。
  2. 硝酸薬を取りに行く動作そのものが、狭心症の症状をさらに悪くします。硝酸薬は、昼間は身につけておいたり、夜は枕元など手を伸ばせば届く範囲において、いつでも使えるようにしておくことが必要です。

5. 薬の効き始める時間と効果の続く時間


●ニトログリセリン錠、ニトロペン錠
舌下に含んで1分ほどで効き始めます。効果は30分ほど続きます。
●ニトロール錠
舌下に含んで2~3分ほどで効き始めます。ただし、かみ砕いて使うと1~2分で効き始めます。効果は60分ほど続きます。
●ニトロールスプレー、ミオコールスプレー
噴霧して1分ほどで効き始めます。効果は60分ほど続きます。

6. 効果がなかった時


●ニトログリセリン錠、ニトロペン錠
1錠使用して5分ほどたっても良くならないときには、もう1錠追加してみて下さい。さらに5分ほどしてもよくならないときはもう1錠、3錠目を試して下さい。
●ニトロール錠
1錠使用して5分ほどたっても良くならないときには、もう1錠追加してみて下さい。
●ニトロールスプレー、ミオコールスプレー
1回噴霧して3分ほどたっても良くならないときには、もう1回噴霧して下さい。ただし3回以上は使用しないで下さい。

それでも胸痛などの症状が15分以上続くときには、とくに重い狭心症または心筋梗塞症になっている可能性があります。直ちに主治医に連絡するか、近くの救急病院に運んでもらって下さい。

7. 保管方法

  1. ニトログリセリン錠は揮発しやすい薬です。ビンごとに密栓したままの状態で、常に持ち歩いて下さい。ビンから出して他の容器に移しかえたり、小分けしたりしないで下さい。使用後はその都度直ちに、きちんと栓をして下さい。また、容器の中に他の綿や紙を入れないで下さい。一度栓を開けて使用した場合は、その日から3ヵ月~6ヵ月位で交換して下さい。ニトログリセリン錠の効き目が悪くなってしまう可能性があります。(舌の下においた時、ピリピリ感、熱感がなくなったものは、効果がなくなったと判断するのも、目安になります。)使用開始日をビンに書いておくのもいいでしょう。一度も栓を開けていない予備のニトログリセリン錠は冷蔵庫に入れておいて下さい。
  2. ニトロール錠とニトロペン錠は、ニトログリセリン錠のように保管上特別に注意する必要はありません。普通の薬と同じように湿気を避けて室温で保管して下さい。
  3. ニトロールスプレー、ミオコールスプレーは保護キャップをした状態で室温で保管し、捨てるときは火中に投下しないで下さい。
  4. すべての硝酸薬は直射日光を避け、自動車の収納ボックスなど高温になるところにも置かないで下さい。また、小児の手の届かない所に保管して下さい。

8. 副作用

心配な副作用はほとんどありません。たくさん使用しても、蓄積されて副作用を起こすということはありません。また、毎日数回の使用でも、習慣性はありません。最も多い症状として、一時的に頭痛が起こることがありますが、しばらく使っている間に次第に慣れがでてきますので、頭痛は起こらなくなります。しかし、頭痛がひどいとき、症状が続くときは、主治医にそのことを話して下さい。その他、顔や全身の紅潮、ほてり、悪心、嘔吐、頻脈は、薬になれるにつれて軽くなりますが、症状が続いたり悪化するときは、主治医にそのことを話して下さい。狭心発作がおさまった時点で口をすすぐか、口の中の唾液を吐き出すのも副作用を軽くする1つの方法です。

9. 予防薬として

すべての硝酸薬は狭心症発作の予防にも使用できます。過去に起こった発作の原因と考えられる精神的ストレスや肉体労働、狭心症を起こしやすそうな運動をしなければならないときは、その前にニトログリセリン錠、ニトロペン錠、ニトロール錠の1錠を舌下に含んでおくと良いでしょう。ニトロールスプレー、ミオコールスプレーは1回口の中に噴霧しておくと良いでしょう。

10. その他

硝酸薬を使用した日付、時間、状況とその効き方を、また予防的に使用した場合もメモをしておいて、次の診察日に主治医に報告すると治療に役立ちます。発作の回数が増えてきたとき、あるいは、硝酸薬を指示通り使っているのに効きが悪く胸痛が強くなったときには、早めに主治医に連絡して下さい。

[国立循環器病センター 薬剤部]

 

最終更新日 2011年03月24日

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