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高血圧の薬について

高血圧症は、かぜなどの病気とは違って、薬を飲めば簡単に治るという病気ではありません。患者さん自身が、高血圧の恐ろしさをよく理解し、ご自身で生涯にわたってコントロールしていかなければなりません。血圧のコントロールをおこなうなかで、薬はたいへん大切なもので、正確に服用する必要があります。このページには、患者さんが高血圧の薬を服用するうえで、ぜひ知ってもらいたい事を‘問い’&‘答え’形式で紹介したものです。血圧をより良くコントロールし、快適な生活ができるように努めてください。

  1. 高血圧の薬 Q&A
    なぜ、高血圧は怖い?
    血圧を下げるには?
    1日に何回薬を服用する
    血圧の薬は必ず食後に?
    血圧が高い時にだけ服用すれば良い?
    血圧が下がったら?
    血圧が下がりすぎた時には?
    薬をのみ忘れた時は?
    副作用は?
    服用し始めてから、からだの調子が悪いのですが?
    他の薬との併用は?
  2. 血圧を下げる代表的な薬

1.高血圧の薬 Q & A

Q. なぜ、高血圧は怖いのでしょうか?

  1. 血圧とは、からだのすみずみまで血液を流すための‘押し出す力’のことです。血圧が長時間高い状態が続くということは、血管に長時間その力がかかり続けるということです。そして、その力に耐えきれなくなり血管が破れたり、動脈硬化を起こしてもろくなったりするのです。その結果、脳梗塞や脳内出血あるいは心筋梗塞といった病気が起こります。さらに、腎不全などの合併症もあります。

Q. 血圧を下げるにはどうしたらよいのでしょうか?

  1. 日頃から、肥満、お酒の飲み過ぎ、塩辛いものの食べ過ぎ、ストレスの状態が多いといったことを改善するように心掛けましょう。これらを十分に守っても血圧のコントロールができない場合には、薬の服用が必要になります。ただし、薬を服用するようになってからも、いつも日常生活の改善には努めてください。

Q. 薬は1日に何回服用するのがよいのでしょうか?

  1. 薬によって、作用の持続時間が違います。また、血圧は1日のうちでも変動があるのが普通です。その変動の幅が大きい人も、小さい人もいます。医師が薬をお渡しする際は、あなたの血圧の変動や薬の作用時間などを考慮して、血圧が1日中平均してコントロールできるように薬の組み合わせや服用時間を決めています。したがって、決められた回数で決められた時間帯に服用して下さい。

Q. 血圧の薬は必ず食後に服用しなければいけないのでしょうか?

  1. 血圧の薬は必ずしも食後に服用する必要はありません。食後服用となっているのは、単なる服用時刻の目安です。ただし、薬のなかには、食後に服用した方が効果的で安全なものもありますので、薬剤師にお気軽にお尋ねください。
    • たとえば、服薬が「朝、夕食後」となっている場合は、普段の朝食と夕食の時間帯(午前6:00~8:00と午後5:00~8:00を目安)に服用しましょう。
    • 食事時刻の不規則な人は、食後服用にこだわらずに服用時刻を決めて服用しましょう。また、朝食をとらない習慣の人でも薬だけはその時間帯に服用しましょう。ただし、空腹時に服用して胃がむかついたりする人は、食後服用にするか、いつもより多めの水で服用すると胃部症状も多少やわらぎます。

Q. 血圧が高い時にだけ薬を服用してもよいのでしょうか?

  1. 血圧は絶えず変動しています。血圧のコントロールとは、ある一定の血圧より高くならないようにすることではなく、変動する血圧を平均して下げることです。それによって動脈硬化などの血管障害を予防しています。ですから、血圧が高い時にだけ薬を服用するのはよい方法ではありません。むしろ、血圧の変動を大きくするだけです。
    *ただし、「上の血圧(収縮期血圧)」が200㎜Hg以上というような極端に高くなった場合には、とんぷく用として速効性の薬を服用する場合も、まれにあります。

Q. 血圧が下がったら薬は服用しなくてもよいのでしょうか?

  1. 血圧が下がったからといって薬をやめてはいけません。高血圧の原因は、まだよくわかっておらず、薬で原因を取り除くことはできません。薬の効果で血圧が下がっているだけで、薬をやめれば血圧は元の高い状態に戻ってしまいます。また、薬を服用したりしなかったりすると、血圧の変動が大きくなり、むしろ動脈硬化を早めたりしますので、継続して服用することが大切です。ただし血圧の下がる程度によっては、薬の量や種類を少なくすることもできますので、日頃から家庭の血圧計などでご自分の血圧を知り、医師にご相談下さい。

Q. 血圧が下がりすぎた時でも続けて薬を服用してもよいのでしょうか?

  1. 立ちくらみ(急に立ち上がった時にフラフラする)などの低血圧の自覚症状がなければ、家庭での自己測定で、少しぐらい血圧が低くても薬の服用を続けて下さい。もし、「上の血圧(収縮期血圧)」が90~100㎜Hg 以下になることや立ちくらみなどが続くようなら医師または薬剤師にご連絡下さい。

Q. 薬をのみ忘れた時はどうしたらよいのでしょうか?

  1. 薬の種類とのみ忘れに気づいた時刻により対処方法が異なります。
    • 1日1回服用の場合
      6~7時間以内の遅れならば、のみ忘れに気づいた時に1回分を服用して下さい。気づくのがそれ以降になった場合は、その日はもう服用しなくてもかまいません。翌日から忘れないように服用して下さい。
    • 1日2回服用の場合
      3~4時間以内の遅れならば、のみ忘れに気づいた時に1回分を服用して下さい。気づくのがそれ以降になった場合は、1回服用するのをやめて次回から忘れないように服用して下さい。
    • 1日3回服用の場合
      1~2時間以内の遅れならば、のみ忘れに気づいた時に1回分を服用して下さい。気づくのがそれ以降になった場合は、1回服用するのをやめて次回から忘れないように服用して下さい。
    ただし、いずれの場合も、のみ忘れたからといって、けっして2回分をまとめて服用しないで下さい。

Q. 血圧の薬を服用していて副作用は大丈夫なのでしょうか?

  1. どんな薬でも、副作用のない薬はありません。しかし、幸いなことに最近の高血圧の薬では、重大な副作用はきわめて少なくなっていますので、下記の正しく服用するための注意点を守っていれば心配ありません。
    正しく服用するための注意点
    1. 薬を間違って多く服用したり、服用時間を間違うと予想以上の効果があらわれて血圧が下がりすぎることがあります。
    2. 他の病院からもらっている薬があれば必ず医師に知らせてください。薬のなかには高血圧の薬と、のみ合わせの悪いものもあります。
    3. 何かいつもと違う不快な症状があれば、遠慮なく医師か薬剤師に連絡してください。
    4. 過去に副作用を経験した薬があれば、あらかじめ医師に知らせてください。

Q. 高血圧の薬を服用し始めてから、何かからだの調子が悪くなったようですが、これは副作用なのでしょうか?

  1. 高血圧の薬を服用し始めてから、しばらくの間(だいたい1ヵ月位)は、からだがだるいとか元気がないといった症状がでることがあります。しかし、たいていの場合これは副作用ではありません。最近の高血圧の薬は、効果が割合に早くあらわれて、早く血圧が下がります。この血圧の変化にからだが馴れるまでの期間、からだの調子が悪いと感じるのです。ただし、なかには副作用として本当に元気がなくなることもあります。また、急速に血圧が下がり過ぎた場合も、からだの調子が悪くなることがあります。いずれにしても、早めに医師にご相談ください。

Q. 病院の薬と漢方薬や市販の薬(かぜ薬など)をいっしょに服用してもよいのでしょうか?

  1. 漢方薬のなかには、血圧を下げたり、高血圧にともなう自覚症状をやわらげる効果のあるものもあります。また、逆に血圧を上げてしまう漢方薬もあります。もし、漢方薬を併用する場合は、主治医にその旨を必ず知らせ、了解を得るようにしてください。また、市販の商品(口中清涼剤など)のなかには、甘草(かんぞう)という血圧を上げる作用のある生薬が含まれているものもありますので注意が必要です。多量の摂取はやめてください。

2.血圧を下げる代表的な薬

アンジオテンシン変換酵素阻害薬
体内でつくられているアンジオテンシンIIという血圧を上げる物質をつくらないようにします。その結果、血圧が下がります。
アンジオテンシンII受容体拮抗薬
アンジオテンシンIIという血圧を上げる物質が受容体を刺激することを妨げます。その結果、血圧が下がります。
カルシウム拮抗薬
血管を収縮させるカルシウムの筋肉への流入を抑制し、血管を拡げます。その結果、血圧が下がります。
ベータ(β)遮断薬
身体の状態を無意識のうちに調節している自律神経系のベータ(β)作用を抑制します。それによって、心臓の拍出量の減少などがおこり、血圧が下がります。
アルファ(α)遮断薬
自律神経系のアルファ(α)作用を抑制します。それによって、血管の拡張がおこり、血圧が下がります。
降圧利尿薬
尿量を増加させることにより循環血液量が減少し、末梢での血管抵抗が低下します。その結果、血圧が下がります。

[ 国立循環器病センター腎臓高血圧内科、薬剤部、看護部(腎臓高血圧内科) ]

 

最終更新日 2011年03月29日

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