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健康で長生きするために ●知っておきたい循環器病あれこれ[35] 不整脈といわれたら‐心構えと治療法‐(改訂2版)
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もくじ
不整脈はどんな病気 不整脈とは、脈がゆっくり打つ、速く打つ、または不規則に打つ状態を指し、脈が1分間に50以下の場合を徐脈、100以上の場合を頻脈といいます。 不整脈には病気に由来するものと、そうでない、生理的なものがあります。たとえば運動や精神的興奮、発熱により脈が速くなりますが、これはだれにでも起こる生理的な頻脈といえます。 また脈が不規則になるものの中に期外収縮があります。これは30歳を超えるとほぼ全員に認められるようになり、年をとるにつれて増加しますが、期外収縮の数が少ない場合は生理的な不整脈といえないこともありません。一般に脈拍が1分間に40以下になると、徐脈による息切れや、めまいなどの症状が出やすくなります。 一方、明らかな誘因がないのに、突然脈拍が120以上になる場合は病的な頻脈の可能性があります。頻脈になると動悸 不整脈にはいろいろな種類がありますが、今回はその中でよくご質問を受ける不整脈を取り上げ、それがあると言われた時にどう考え、どう対処したらよいかを説明します。 1. 不整脈の中で最もよく見られるのが期外収縮です。これは心臓の中で規則的に電気を送ってくれる“発電所” このうち心房から出てくる期外収縮を心房性 期外収縮はそれを感じない人の方が多いのですが、のどや胸の不快感や動悸、またはキュッとしたごく短い時間の痛みとして感じる人もいます。期外収縮が連続して出現したときは一時的に血圧が下がり、めまいや動悸がすることもあります。 期外収縮は病気に関連して起こることもありますが、多くは病気とは関係なく、年齢や体質的な理由で出ます。ただ心室性 期外収縮があるといわれたら、原因の病気がないか、また期外収縮から危険な不整脈に移行する可能性がないかを一度は調べてもらったほうがよいでしょう。 症状がある場合は抗不整脈薬や安定剤を服用します。症状がない場合でも、不整脈の原因となる疾患があって、しかも危険な不整脈に移行する可能性があれば、抗不整脈薬が必要になります。一方、症状のない心房性 原因となる心臓病がなくて、症状もない場合は日常生活で特別な制限をすることはありませんが、運動や飲酒時、または何もしていない時に、動悸や意識が遠くなるような症状が出た場合は注意が必要です。激しい運動も避けた方がよいでしょう。一般に精神的ストレスや睡眠不足、疲労は期外収縮を悪化させます。規則正しい生活を心がけるようにしましょう。 2. これは“発電所” そのような人では、頻脈が停止した時に心臓が止まりやすくなり、ふらつきや失神が起こります。一般に数秒以上心臓が停止するとふらつきが起こり、10秒以上停止すると意識がなくなって倒れる 洞不全症候群では、心臓が止まってそのまま死んでしまうことはまずありませんが、意識を失った時にけがをしたり、交通事故に遭ったりすることがありますので注意が肝心です、また、脈の遅い状態が長く続くと、心臓の機能が低下して心不全になることがあります。 洞結節の機能は年齢と共に低下します。この病気の原因ははっきりしないことが多く、洞結節や心房の老化現象が主要な原因ではないかといわれています。また降圧薬や強心薬などの薬剤でも洞不全が起こります。 脈が遅いために失神やふらつきなどの症状が出現した場合は、ペースメーカーの植え込み手術が必要となります。症状がなくても、4秒以上の心停止 一方、長年の肉体労働やトレーニングなどにより生理的に洞結節の機能が抑制されて、脈が遅くなっているような人には、ペースメーカー治療の必要はありません。また薬剤によって一時的に洞不全が生じた人で、薬剤の中止によってその機能が回復しうる人もペースメーカーの植え込みは不要です。 3. 心房と心室の境界には電気の流れを調節して“変電所”の役目をする房室結節という組織があります。この機能が低下して、心房から心室の方へ電気が伝わらなくなるために脈が遅くなるのが房室ブロックです。ブロックとは「 この病気は重症度により1度、2度、3度に分けられます。よく運動をする人では迷走神経という神経の機能が高まって、生理的な現象として房室結節からの電気が少し伝わりにくくなり、1度または2度のブロックが起こることがありますが、無症状であれば心配はありません。 ただし、心筋梗塞や心筋症のような病気に伴って2度〜3度の房室ブロックが起こった場合は、極端に脈が遅くなったり、時に心臓がそのまま止まったりしてしまうことがありますから注意が必要です。洞不全症候群と同様に、脈が遅くなった時にふらつきやめまい、失神、心不全などが起こります。 房室ブロックは洞不全症候群と異なり、原因の病気が隠れていることが多いので、十分な検査が欠かせません。 治療が必要なのは脈が遅いために失神やふらつき、息苦しいなどの症状が出現した場合です。症状が軽い時は薬を用いることもありますが、多くはペースメーカー手術が必要です。また症状がないけれども、3度の房室ブロックがある人にはペースメーカーを植え込んだ方がよいとされています。 4. ペースメーカーは洞不全症候群や房室ブロックのような徐脈が生じる人に植え込まれますが、それが本当に必要なのは、徐脈により失神やふらつきなどの症状が起こったという証拠が心電図などでとらえられている人です。 なぜかといいますと、一般にめまいやふらつきはお年寄りには起こりやすく、一時的に血圧が低下した場合や、貧血でも生じるからです。したがって意識を失ったり、ふらついたりした時に脈が遅い 一方、脈が毎分30回くらいしかなくても、その時に症状がなければ、必ずしもペースメーカーは 徐脈による症状がないにもかかわらず、ペースメーカーが必要とされる場合は限られています ペースメーカーの手術は、局所麻酔をしたあと胸の上の方の皮膚を少し切開して、皮膚の下に直径4〜5cm、厚さが5〜8mm程度の大きさの電池を入れます。切開した場所の静脈からは心臓の中に細い電線 これらは胸を開くような大がかりではなく、局所麻酔で済むような小さな手術です。手術中も意識ははっきりしていて、手術をしたその日のうちに歩くことも可能です。これによって、自分の脈が出ない時にペースメーカーが代わりに電気を流してくれ、普通の人と変わらない生活を送れるようになります。 最近はペースメーカーの性能が向上したので、ペースメーカーの植え込みによる日常生活上の障害はあまりないのが実情です。病気に伴う明らかな症状があって、手術が必要と言われた場合は、思い切って手術を受けられることを勧めます。 5. 心臓の中には“発電所” 脚ブロック では、完全右脚ブロック それでは右脚ブロック とはいうものの、右側の電気の流れが悪いとしたら、残っている左側の“電線” 病気のために右脚ブロック 右脚ブロック 右脚ブロック ただし、これらの検査が正常で、自覚症状がない場合でも、親や兄弟などの近親者の中に若年〜中年で突然死されたかたがいる場合は、マラソンなどの激しい運動はしない もし検査で何らかの異常が見つかるようであれば、その病態に合わせてどの程度の運動が可能であるかを担当医に尋ねてください。また現時点では右脚ブロック 6. 左脚ブロック 7. 正常の伝導路 心電図でWPW症候群といわれても、動悸症状のない場合、治療は必要ありません。でも病的な動悸 発作時の症状が強くて、日常生活に支障が出るようであれば、根本的な治療 8. 心房細動は心房が細かく動く、つまり速く動くことを意味します。この原因として、心房のどこか 心房細動になると心房は1分間に300から500回ほど興奮し、細かく動きます。ただその電気信号が心室にすべて伝えられるのではなく、房室結節 心房細動は、時々発作の起こる 心房細動は70歳を超えると、病気のあるなしに関係なく1割から1.5割の人に現れてくる不整脈で、原因は心房の筋肉の一種の老化現象ではないかとも考えられています。その一方で若い人にも出ることがあり、それらの多くは体質的な理由で起こり、高血圧、肺疾患、甲状腺機能亢進(こうしん)症、弁膜症、心臓の手術後では、より生じやすくなります。 ただ心房細動自体は、危険な、命にかかわるような不整脈ではなく、元に心臓病がない場合は、心房細動のために寿命が短くなるというものでもありません。心房細動があっても三分の一 心房細動の治療は、原因となる病気がある場合はそちらの治療をまず行います。原因疾患がなく、かつ 特に心房細動では、運動をしたり精神的に興奮したりすると一時的に房室結節の調節が利かなくなって、急に脈拍数が増加して息切れやめまいなどの症状が出ることがあります。また発作性心房細動では発作開始初期に血圧が下がって意識を失うこともあります。そのような場合、脈拍数をコントロールする薬剤や、発作自体を起こしにくくする薬剤が使われます。心房細動が長く続き、そのため一時的に心臓の機能が低下したり、症状が強く出たりする場合は電気ショックで正常のリズムに戻すことがあります。 ただ発作性の心房細動では、このような治療をおこなっても発作回数が減らずに増えていく人がいます。この場合、病気が悪くなっているのではないか、慢性の心房細動に移行するのではないかと悲観する人がいますが、その必要はまったくありません。 先に説明しましたように、そもそも心房細動は病気というより、一種の老化現象のようなものなので、いったん出始めると 心房細動を完全になくそうとすると、多種多量の抗不整脈薬が必要になる可能性があります。その場合むしろ薬剤の副作用の方が心配です。仮に薬が効かなくて発作を予防できなくても、たいていの場合はそれで心不全が起こってきたり、余病を併発したり、命が短くなるわけではないのです。 心房細動の症状は、心房細動を完全に予防しなくても、その時の脈拍数をコントロールすることで、かなり改善します。また発作性心房細動よりも、むしろ慢性の心房細動になった方が、体がその状態に慣れてきて、症状は楽になることが多いのです。 一方、心房細動時には心房が細かく動くだけで、十分な収縮ができませんので、そこで血液がよどみ、血栓 脳梗塞は心房細動を持つ人のすべてに起こるのではありません。これは心房細動が48時間以上続くような人の中のごく一部に起こるにすぎず、特に心臓病や高血圧、糖尿病を持たず、家系にも脳梗塞の人がいない場合は、たとえ心房細動があっても、脳梗塞の発症率は正常人と変わらないことが報告されています。 また適切な量のワーファリンを服用していれば、どのようなタイプの心房細動であっても、脳梗塞を予防できますし、大出血を起こすこともありません。ワーファリン服用中であっても手術は可能ですし、仮に出血しても、押さえてやれば、ちゃんと血は止まります。心房細動があるから脳梗塞になるのではないか、ワーファリンを飲んでいるので、出血するのではないかと、むやみに神経質になる必要はないのです。 心房細動がある人は日常生活の心がけとして、精神的ストレス、睡眠不足、疲労、過度のアルコール摂取などを控えることが必要です。というのは、それらによって心房細動を誘発する原因となる期外収縮が増加するからです。 近年、心房細動を根本的に治してしまう治療法 ただ、心房細動のアブレーションは他の頻拍 治療を受ける際には十分な説明を受け、心房細動の成り立ちや治療の方法、危険性をよく理解し、あなたの病状と照らし合わせたうえで、受けるか受けないかの決断をするのがよいと思います。 このほか心房細動の根治 一方、心房粗動に対してはカテーテルアブレーション治療が非常に有効です。心房粗動の多くは、電気の旋回が三尖弁の周囲でのみ起こります。だから、その回路の一部を焼き切ることで発作を起こさなくすることができるのです。ただ心房粗動は心房細動の仲間 心房細動・粗動の治療はここ10年の間にめざましく発展しており、現在これら以外にもいろいろな治療法が研究されています。また、副作用が少なく、非常に有効な薬の開発も行われており、近い将来、危険性が少なく、治癒(ちゆ)率の高い方法が開発されると予想されています。 9. カテーテルアブレーションについて、すでに簡単にふれましたが、ここで詳しく説明します。この方法は血管から心臓の中に細い管 通常、足の付け根やひじの血管に局所麻酔をして、そこからカテーテルを入れます。高周波を流す際には時に痛みがありますが、強い痛みではありません。アブレーションは手術ではなく、カテーテル検査の延長と考えてもよいのです。これが成功すると不整脈が根本的に治りますので、薬物治療は不要になります。現在この治療法はWPW症候群、発作性上室性頻拍 ただカテーテルアブレーションは心臓の中に何本もの管を入れる必要があるため、それに伴っていろいろな合併症が起こることがあります。主なものとしては、心臓タンポナーデ こうした重大な合併症が起こる頻度は、施設や集計の方法にもよりますが、0.5〜2%前後 |
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国立循環器病研究センター
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