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[37] 高脂血症-動脈硬化への道

「知っておきたい循環器病あれこれ」は、「公益財団法人 循環器病研究振興財団」が循環器病に関する最新情報を分かりやすく解説した発行物を、国立循環器病研究センターが許可を得てHTML化したものです。
文章・図表・イラスト等の転載・引用のご相談は循環器病研究振興財団までご連絡ください。

元国立循環器病研究センター
動脈硬化・代謝内科 医長
都島 基夫

日本人の30%は高コレステロール血症

イラスト:高脂血症-動脈硬化への道

もくじ

※ 本ページは、知っておきたい循環器病あれこれ[14]「“沈黙の病気”高脂血症」に追加と改訂を加えたものです。

食事の欧米化と運動不足

1.高脂血症と動脈硬化

動脈硬化は“沈黙の病気”(silent disease)です。なぜなら、生後すぐから無症状で発症し、年齢とともに進行するからです。生活習慣が悪いと発症・進展の速度は速くなります。その結果、虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞など)、脳血管障害(脳梗塞・脳出血)などが起こりやすくなります。

動脈硬化には、以前は多かった脳出血などの原因となる「細動脈硬化」と、心筋梗塞・狭心症などの原因となる「粥状動脈硬化」があり、血液中の脂肪が増える高脂血症は、粥状動脈硬化を進めます。

2.高脂血症と生活習慣

日本の食事や住環境などが次第に欧米化し、動物脂肪過剰型の食事が広がってきました。車社会になって、歩く距離は減り、飽食・運動不足の状態が出現しています。

人間は飢餓状態から身を守り、少量の食料でもエネルギーを蓄積し、効率的に利用する糖代謝や脂質代謝の機構をもっています。狩猟などで出血の危険も多かったので、人には何重もの止血機構や大出血しないような防御機構も備わっています。

こうした仕組みが備わった人類が欧米型の脂肪の多い食習慣にそまると、肥満が増えてきます。コレステロールやトリグリセライド(中性脂肪)などが血液中に増えて粥状動脈硬化(以後、動脈硬化といいます)が進み、血栓もできやすくなります。心筋梗塞や脳梗塞の発症が、都市だけでなく農村部にも増えてきました。

高コレステロール血症の人は年々増え、全人口の30%、50歳代女性の半数に達する勢いです。高トリグリセライド血症の人も約20%います。

3.脂肪とリポ蛋白

血液中には(1)コレステロール(2)燐脂質(3)トリグリセライド(4)遊離脂肪酸の4種類の脂肪があります。(1)と(2)は体の中に60兆個はあるといわれる細胞膜の成分、あるいはホルモンや胆汁などの構成成分になります。(3)と(4)はエネルギー源として使われるエネルギー脂質で、皮下脂肪など通常の脂肪として蓄積されているのはトリグリセライドです。

脂肪は水に溶けにくいため、血液と接する周囲は、水に溶ける蛋白質(「アポ蛋白」という)と燐脂質などに囲まれています。ですから、脂肪は車体がアポ蛋白と燐脂質でできた“バス”に、コレステロールやトリグリセライドが“お客”として乗ったような形で血液中を流れています。これらの客を乗せたバスを「リポ蛋白」といい、脂肪はリポ蛋白バスとして血液中を流れているのです。

<図1>にその様子をまとめました。

図1 血管の中で脂質(客)を運んだり改修したりするバス(代謝経路)の働き
図1:血管の中で脂質(客)を運んだり改修したりするバス(代謝経路)の働き

3つの路線を走る

4.脂肪を乗せた“バス”(リポ蛋白)と高脂血症の関係

脂肪を乗せたバスであるリポ蛋白は、バスに運行路線があるように大きく分けて次の3つのルートで働いています。

  1. 肝臓で作られた脂肪を全身の組織に配るルート
  2. 食物から吸収され、小腸で作られた脂肪をエネルギー源として配るルート
  3. 体内で余ったコレステロールを回収するルート

それぞれのルートについて説明しましょう。

(1)肝臓で作られた脂肪を全身の組織に配るルート

肝臓で作られたばかりのトリグリセライド(中性脂肪)やコレステロールを多く含む「リポ蛋白」は、「超低比重リポ蛋白(VLDL)」と呼ばれています。これは“車体の軽い大型バス”のようなものと思ってください。

バスの乗客であるトリグリセライドが末梢の毛細血管で分解され、エネルギー源として使われると、そのバスは水より軽い脂肪が減って、中間比重リポ蛋白(IDL)を経て“車体の重い小型バス”である「低比重リポ蛋白」(LDL)となります。末梢の細胞や肝細胞には、このリポ蛋白を取り込む玄関口である受容体(LDL受容体)があり、ここから取り込まれて細胞やホルモンなどを構成する構造脂質となります。

この受容体が減って取り込みが悪いか、もしくはコレステロールが肝臓で過剰に作られると、血液中に「低比重リポ蛋白」が多く残ってしまい、高コレステロール血症となります。

これが血管壁に侵入すると動脈硬化のもとになりますので、低比重リポ蛋白(LDL)コレステロールのことを“悪玉コレステロール”と呼んでいます。

総コレステロール値が血清100ml中220mg(/dl)以上、あるいは悪玉コレステロールのLDLコレステロールが140mg/dl以上あれば高コレステロール血症と呼び、治療の対象となります<表1>。

表1 高脂血症とは
◇コレステロールが高い
(高コレステロール血症)
総コレステロール値
またはLDLコレステロール値
220mg/dl以上
140mg/dl以上
◇中性脂肪(トリグリセライド)が高い トリグリセライド値 150mg/dl以上
◇HDLコレステロールが低い
(低HDLコレステロール血症)
HDLコレステロール値 40mg/dl未満
(2)食物から吸収され、小腸で作られた脂肪をエネルギー源として配るルート

食物中の油脂(トリグリセライド)が吸収されて、小腸でトリグリセライドを85%以上含む脂肪を乗せた“バス”(リポ蛋白)が作られます。このバスは「カイロミクロン」と呼ばれています。これも“車体のもっとも軽い大型バス”で、乗客であるトリグリセライドが分解されてエネルギー源として消費されると、乗客は少ないが“車体の重い小型バス”になります。

これは、先に説明しました「中間比重リポ蛋白(IDL)」とほぼ同じ大きさのバス(「カイロミクロンレムナント」といいます)で、肝細胞に取り込まれて代謝されます。レムナントもLDLも血液中に多くなると動脈硬化を進めます。

(3)体内で余ったコレステロールを回収するルート

体内で余り、利用されない脂肪を回収し再利用するため、蛋白質が主体の“バス”が肝臓で作られます。「高比重リポ蛋白(HDL)」と呼ばれ、このバスは、小型で重い、迎えの空バスといえるものです。

これが血液中に分泌されると、他の“バス”(リポ蛋白)からアポ蛋白や燐脂質などが渡され、成熟した、つまり客が乗り込んだ「高比重リポ蛋白(HDL)」となります。

このリポ蛋白は、動脈硬化部分にたまったコレステロールを抜き取ったり、種々の組織などで余った脂肪や蛋白を受け取って肝臓へ戻したりする作用をしています。HDLコレステロールが高いと動脈硬化に対しては予防的に働きますから、“善玉コレステロール”と呼ばれています。

逆にHDLコレステロール40mg/dl未満の「低HDLコレステロール血症」は動脈硬化を進めやすいので広い範囲の高脂血症に入ります<表1>。HDLコレステロール値と中性脂肪値の間にシーソー現象が見られ、「高トリグリセライド血症」の人ではHDLコレステロールが低く、動脈硬化を進めることになります。

5.高コレステロール血症は血管機能を障害する

動脈は、その血管壁に内皮細胞と呼ばれる細胞<図1>がタイルのように敷きつめられて守られています。内皮細胞は(1)血管壁にコレステロールなど余計なものが入るのを防ぐ(2)血管壁に血栓ができたとき、詰まらないようにする抗凝固物質や、血栓をすぐに溶かす線溶物質を分泌する(3)血管壁が異常な収縮をして狭くならないよう血管拡張物質を分泌する働きがあり、健康な血管はこのような仕組みで血流が途絶えないようになっています。

高コレステロール血症があれば、内皮細胞を通り抜けて低比重リポ蛋白(LDL)がより多く侵入、蓄積して動脈硬化を進めます。動脈硬化部位にたまっているのはコレステロールです。高コレステロール血症があれば、血管壁のちょっとした傷に血小板がくっついて血栓ができやすくなるほか、血管拡張物質の合成が減り、血管が強く収縮し血流が遮断されることがあります。

日本で健康な住民や職場で働く人を対象に長期間追跡収集した調査をもとに、血液中の総コレステロール値、トリグリセライド値と狭心症・心筋梗塞といった冠動脈疾患の発症率との関係を見たデータがあります。

<図2>を見てください。総コレステロール200mg/dlを基準として、コレステロール値の上昇に伴う死亡率の上昇カーブを見ると、アメリカの約35万人の人を5年以上追跡した調査のカーブとほぼ同じ線上に乗ってきます。

つまり、虚血性心疾患の死亡率は、総コレステロール220mg/dlでは200mg/dlの約1.5倍、240mg/dlでは約2倍となり、総コレステール値が高くなるにつれて上昇カーブはますます急になります。このことから、適切な総コレステロール値は200mg/dlとされています。(<表1>も参考にしてください)

図2 血清総コレステロールと冠動脈疾患の相対リスク
図2:血清総コレステロールと冠動脈疾患の相対リスク
(日本・米国の比較)

日本動脈硬化学会:高脂血症診療ガイドライン,1997

日本人の将来の“敵”中性脂肪

6.高トリグリセライド(中性脂肪)血症と血管障害

トリグリセライド値と虚血性心疾患の死亡率を、日本とアメリカの調査で比較してみました。この値が<図3>に示すように、100mg/dlの時の危険度を1とすると、日本では140mg/dlで約2倍、180mg/dlで3倍、250mg/dlで5倍となります。アメリカの250mg/dlでの1.7倍になるのと比べて、日本では中性脂肪が上昇すると虚血性心疾患の危険率が急に上昇していました。

トリグリセライド値が高くなると、トリグリセライドの分解が遅れ、動脈硬化を進める悪玉の リポ蛋白中間比重リポ蛋白など)が血液中に残ってきます。この「中間比重リポ蛋白」の出現は中性脂肪値が150mg/dl以上でみられ、この値以上が高トリグリセライド血症です<表1>。

高トリグリセライドは善玉コレステロールが少なくなる「低HDL-C血症」を伴い、さらに高血圧、肥満、ブドウ糖をエネルギーに変えるインスリンの効きが悪くなるインスリン抵抗性を伴ったりして、糖尿病を合併することがあります。この病態は「シンドロームX」、「死の四重奏」、「内臓蓄積型肥満症候群」などの名前が付けられた 危険因子集積症候群です。

高トリグリセライドでは、「低比重リポ蛋白(LDL)」の粒子サイズが小さく、しかも重くなっています。この小粒子は血管に留まる率が高く、内皮細胞を通過して酸化を受けやすいなど、動脈硬化の立場からはもっとも悪い“悪玉LDL”といえます。このような状態では動脈硬化の進行は速くなり、虚血性心疾患や脳梗塞が発症しやすくなります。

最近、トリグリセライド値が100~150mg/dlでも、脂肪の多い食事をすると、この数値が上昇して次の食事まで下がらず、日中ずっと高脂血症が続く「食後高脂血症」が注目されています。この状態でも狭心症や心筋梗塞が多いことがわかり、食事をした後の中性脂肪の測定も必要です。

トリグリセライドが高くなると凝固因子が活性化されて、血栓ができやすいことが知られています。また、できた血栓をとかす線溶能の活性化を阻害する「プラスミノゲンアクチベータインヒビター1」(PAI-1)が上昇して、血栓はなかなか溶けず、血栓症が発症しやすくなります。

図3 トリグリセライド値と冠動脈疾患/日米比較

(Hara,Y. & Nakajima,K.:1997)

図3:トリグリセライド値と冠動脈疾患/日米比較

7.アルコールなどが原因となる高脂血症

空腹時の中性脂肪が600mg/dl以上、ときには3,000~10,000mg/dlにもなって急性膵炎を引き起こす人がいます。

このような人では1日中血液は牛乳やクリームのような真白に濁った状態が続きます。アルコールや糖尿病の悪化が誘引になることが多いのですが、体質的に中性脂肪の合成が高く、できた中性脂肪を分解する酵素の働きが低下したり、利用できなくなったりした状態と考えられます。

8.高脂血症のタイプ

高脂血症には(1)コレステロールだけが高いもの(IIa型高脂血症)(2)中性脂肪だけが高いもの(IV型高脂血症)(3)その両方が高いもの(IIb型高脂血症)などがあります。とくに(3)のIIb型高脂血症では動脈硬化が進みやすくなります。

9.なぜ高脂血症を治療するか

高脂血症や動脈硬化は症状がありませんが、末期で発症する心筋梗塞・狭心症、脳梗塞などの両疾患を合わせた死亡率は、がんによる死亡率よりも高くなっています。

また、発症後、介護を必要としたり、生活の質(QOL)を損なう状態になったりすることも少なくありません。高齢化少子化社会では、経済的にも社会的にも歓迎されない状況となり、家族や社会に迷惑をかけることになります。

進んでしまった動脈硬化をもとへ戻すことはできず、いつも発症の危険性がついてまわります。そうなる前の予防が必要です。高脂血症は治療可能な病態で、その治療によって動脈硬化の進行は予防できるのです。

多品目・偏らない食事

10.高脂血症の食事療法<表2表3

(1)エネルギー糖質の制限-体重の管理

高コレステロール血症体質の人では1kgの体重増加によって総コレステロール値が20~40mg/dl上昇し、逆に体重減少が総コレステロール値や悪玉コレステロールの低下につながります。

日本人では脂肪の摂取量が少ないので、体重の管理が最も重要です。1日のエネルギー量の目安は、標準体重{身長(m)×身長(m)×22}1kgあたり25~35kcalです。身長170cmの場合、63.6kgであり、標準体重1kgあたり30kcalとすれば1日約1,900kcalの食事となります。これは、糖尿病食と同じ程度のエネルギー量となります。

肥満があれば低めに設定して標準体重に近づけ、その後は体重を維持することに心がけます。食事の内容はできるだけ多品目の食品をとり、偏りのない食事をすることが大切です。

中性脂肪の高い人もエネルギー制限は必要です。アルコールの種類に関係なく、アルコールは禁酒あるいは飲んでも酒で1合までとします。「カイロミクロン」が高い場合や、中性脂肪値が400mg/dlを超える人はアルコールは体に合わないと考えて下さい。果物、砂糖、菓子類などは糖尿病と同様に制限が必要です。

(2)脂肪の制限

摂取エネルギーのうち、脂肪からどれだけをとっているかをみる脂肪エネルギー比は、日本人の場合、1970年代までは20%未満でしたが、最近は平均で26.7%となりました。20、30歳代では32%に達しているデータも見られます。ハワイやカリフォルニアに移住した日本人では35%を超えて、心筋梗塞の死亡率が日本の3倍前後となっています。

養殖した魚や鶏肉にも脂肪の含有量が多く、クリーム、ミルク製品、動物脂肪などを減らす工夫も必要です。また、パン食に比例して脂肪エネルギー比は高くなります。

(3)動物性脂肪と魚油、植物油

日本人は昔から魚を多く食べており、魚に含まれる多価不飽和脂肪酸であるイコサペント酸(EPA)やドコサヘキサエン酸が豊富でした。このような脂肪酸が血液中に増えれば、血液がさらさらになって末梢循環がよくなり、血栓もできにくくなります。コレステロールや中性脂肪が下がって動脈硬化の予防にも働きます。最近、日本人の魚の摂取量が減ってきました。1週間に少なくとも5食は魚料理を摂ることが必要でしょう。

多価不飽和脂肪酸は酸化されやすいので新鮮なものを使い、魚油と植物油の比率として1:4を目安にします。日本人も動物性脂肪の摂取が増えており、このような人では油脂を減らす必要があります。

栄養学的には、飽和脂肪酸(パルミチン酸など):一価不飽和脂肪酸(オレイン酸):多価不飽和脂肪酸(リノール酸、EPAなど)を1:1~2:1~1.5がよいとされています。

コレステロールの高い人ではコレステロール摂取量は1日300mg以下にします。鶏卵1個で約250mgのコレステロールを含み、鶏肝50g中180mg、いか100g中100mg、くるまえび3匹(=60g)で100mg、バター10gで21mg、(牛乳は200mlで25mg)となり、卵、もつ類などは避けるようにします。十分なコレステロール値の改善がない場合はコレステロール摂取量を1日200mg以下にする強化療法も考えられています。

(4)食物線維

ひじき、寒天などの海藻、しいたけなどのきのこ類や、さといも、かぼちゃ、大豆製品、ネーブルやいちごなど線維の多い食品は脂肪の吸収を抑える働きがあります。コレステロールは大便中に多く排泄されて低くなります。日本食にはこのような線維が多いので、日本食への回帰が必要です。

(5)抗酸化作用をもつ食品

コレステロールを多く含む「低比重リポ蛋白(LDL)」が動脈壁に侵入する際、酸化されて動脈硬化巣に取り込まれます。ビタミンE、C、βカロチンやフラボノイドなどを含む胚芽油、植物油、穀物、果物、緑黄色野菜、大豆製品、緑茶、紅茶、コーヒー、ココア、赤ワインなどが酸化を防ぐ抗酸化食品とされています。

(6)血栓を予防する食品

にんにく、ししとう、ほうれんそう、アスパラガス、セロリ、トマト、ネギ、しそ、たまねぎ、ピーマン、すいか、柑橘類、コーヒー、ココア、煎茶などが血栓を予防する食品として挙げられています。

表2 高脂血症の食事療法
●すべての高脂血症に共通の治療
1. 体重の管理、低エネルギー食による肥満の是正。正常体重者は体重を増やさないようにする。
標準体重1kg当たり25~35Kcal、肥満者は30Kcal以下にする。
標準体重=22×身長(m)2
2.
肪の制限、脂肪からとるエネルギーを全エネルギーの25%以下にする。揚げ物、しもふり肉など脂肪の多いものを減らす。
3. 動物性油脂を減らし、植物油脂にする。
4. 和食への回帰、魚料理や野菜、豆腐などをつかった料理を多くする。
5.
抗酸化食:これは脂質を下げるためでなく、動脈硬化の予防食となる。
 
1) αトコフェロール 10mg: かぼちゃ、ほうれんそう、たらこ、緑茶、植物油、ナッツ、果物などに多く含まれる。
2) ビタミンC 50mg: 野菜、果物などに多く含まれる。
3)βカロチン
2.0mg: 青のりなどの海藻、黄緑野菜、玉露、にんじんなどに含まれる。
4) フラボノイド 30mg: 果物(りんごなど)、野菜(たまねぎなど)、緑茶などの茶類、赤ワイン、大豆などに多い。
 
6. 抗血栓食、高脂血症があると血小板凝集能が上昇しやすく、血栓もできやすい。血小板凝集能を下げる食品として、魚油やαリノレン酸などの多価不飽和脂肪酸がよい。
  その他: にんにく、ししとう、ほうれんそう、アスパラガス、セロリ、トマト、ねぎ、しそ、たまねぎ、ピーマン、すいか、柑橘類、コーヒー、ココア、煎茶などに抗血栓作用があるとされる。
●高コレステロール血症の場合
1. 食物線維が豊富な食品はコレステロールの吸収を阻害する。
    ひじき、寒天などの海藻類、しいたけなどのきのこ類、さといも、かぼちゃ、大豆製品、ネーブル、いちごなど。
2. コレステロールを1日300mg以下とする。
    鶏卵1個250mg、鶏肝100g中180mg、いか100g中100mg、くるまえび3匹(60g)100mg
●高トリグリセライド血症の場合
1. 糖分摂取量の制限:果物、砂糖、菓子類、アルコールは糖尿病に準ずる。
2. カイロミクロンが高く、中性脂肪が400mg/dlを超えるV型高脂血症ではさらに強力な脂肪制限が必要で、アルコールも禁止する。

有酸素運動を続けよう

11.運動療法

有酸素運動(呼吸しながら継続する運動)を続けることで、体内に酸素を取り込む能力が高まり、効率よくエネルギーを生み出すことができるようになります。有酸素運動にはウォーキング(歩行)、ジョギング、水泳などがあります。心拍数が100~120拍/分を目安として、漸増していきます。トレーニング効果を得るには20~30分は続けますが、たとえ短時間でもやらないよりはましです。具体的には1日1万歩を歩く、膝などに障害がある人ではプールでの水中歩行や自転車こぎなどの運動を行うことです。

すでに狭心症・心筋梗塞など動脈硬化がある人では、早朝や食後すぐの運動で狭心症発作を引き起こしたりする危険を伴うことがあり、主治医と運動方法や運動量を相談したうえで実行してください。

有酸素運動によって、末梢循環機能は改善して代謝もよくなり、トリグリセライドは低下し、善玉コレステロールは上昇します。効用として、危険因子の予防治療効果のほか、持久力の養成、ストレス解消などがあります。

12.薬物療法

主としてコレステロールを下げる薬物として、小腸での吸収を阻害したり、肝臓で合成を抑制したりするなど、作用する部位や機序が異なるものが続々開発されて、高コレステロール血症は家族性高コレステロール血症を除けば、十分にコントロールできるようになりました。

しかし中性脂肪については、十分に管理できる効果のある薬物は少なく、食事療法がもっともよい治療法となります。

薬物は長期間のむ必要がありますし、2剤、3剤を併用することもあります。主治医の指示に従い、継続して服用するようにしましょう。どんなによい薬物を服用していても、食事や生活習慣が乱れれば薬物1剤分の効果は簡単にキャンセルされてしまいます。最近出た高脂血症の治療目標値を<表3>に示します。

13.LDLアフェレーシス

家族性高コレステロール血症で、薬物では十分なコントロールを得られない場合は、透析と同じように血液の体外循環をしてコレステロールを吸着して取り去る「LDLアフェレーシス」を1~2週間に1度行うことがあります。

14.他のリスクファクターをなくそう

動脈硬化の進行には、高脂血症によるコレステロールの蓄積だけでなく、高脂血症を引き起こすほかの要因やコレステロールが蓄積しやすい環境を作る因子も関係しています。

血管壁に作用する血圧、血流、血液成分、ホルモンやニコチンや昇圧物質などの化学的因子、凝固因子、免疫や炎症因子などです。

高脂血症がなくても血管内皮細胞を傷つける因子があれば動脈硬化は進み、高脂血症を伴うと相加的、もしくは相乗的に動脈硬化は加速されます。血管内皮細胞を傷つける因子には高血圧、喫煙、糖尿病、肥満、甲状腺機能低下症、高インスリン血症、腎炎や膠原病、多血症、高フィブリノゲン血症などがあります。これらの危険因子があれば、この方の治療も同時に行う必要があります。

高血圧があれば食塩は1日7g以下に控えます。いつも塩分の濃い食事をしていると、食塩に対する味覚が鈍くなります。また、喫煙者や糖尿病の場合でも食塩味覚の感受性は低下し、味の濃い食事をとる傾向がありますので十分に注意する必要があります。減塩食や禁煙などによって、この食塩感受性の低下は回復します。

総コレステロール値180~220mg/dl、中性脂肪値100~150mg/dlの人は6か月~1年に1度、高脂血症の人は症状、治療、脂質値に応じて1~6か月に1度は規則的に血液検査をするように心がけてください。体重が1kg以上増減したときや、閉経時には適宜検査するとよいでしょう。

表3 高脂血症の治療目標基準

コレステロール:原則としてLDL-コレステロールで評価する

LDL-コレステロール

総コレステロール

HDL-コレステロール

トリグリセライド
冠動脈疾患
患者さんの状態
総コレステロール値 LDL-コレステロール
なし
他に何も異常がないとき
240
mg/dl 160
mg/dl
なし
以下の危険因子が1-2個あるとき
220
  140
 
なし
以下の危険因子が3個以上あるとき
200
  120
 
なし
糖尿病があるとき
200
  120
 
なし
脳梗塞、閉塞性動脈硬化症があるとき
200
  120
 
あり
  180
  100
 
トリグリセライド:
150mg/dl未満
HDL-コレステロール:
40mg/dl以上

冠動脈疾患:心筋梗塞と狭心症

危険因子
  1)加齢(男性≧45歳、女性≧55歳) 2)高血圧 3)糖尿病(耐糖能異常を含む) 4)喫煙
5)家族に冠動脈疾患になった人がいる 6)低HDL-コレステロール血症(<40mg/dl)
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