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心臓|循環器病あれこれ|

「知っておきたい循環器病あれこれ」は、「公益財団法人 循環器病研究振興財団」が循環器病に関する最新情報を分かりやすく解説した発行物を、国立循環器病研究センターが許可を得てHTML化したものです。
文章・図表・イラスト等の転載・引用のご相談は循環器病研究振興財団までご連絡ください。

[55]心臓発作からあなたの大切な人を救うために

-心肺蘇生法とAED-

元国立循環器病研究センター
心臓血管内科 部長
野々木 宏

救急車が来るまでに

イラスト:救急車が来るまでに

もくじ

心臓発作と呼ばれる急性心筋梗塞症は、30年前には入院しても20~30%の方が亡くなる病気でした。それが、現在では入院した場合、亡くなる方は5%にまで低下しています。しかし、これは幸い早く病院へ到着した方の場合です。実は、病院へたどり着くまでに重症となり、突然亡くなる場合が少なくない病気でもあります。

皆様の大切な家族の方が、そのようなことにならないよう、日ごろからの対策が重要です。このページでは、発作が起こった時にはどうすればよいかをご説明します。

心臓発作はどのような症状?

中年以降の特に男性に起こりやすく、突然の上半身の不快感(圧迫感、痛み、息苦しさなど)が生じ、15分以上続く場合は、心臓発作を疑います。冷や汗やめまい、吐き気を伴うこともあります<図1>。

このような時には、救急車(119番通報)で専門病院へ早く運んでもらいましょう。119番通報すると「火事ですか、救急ですか」と聞かれますので「救急」と答えて、落ち着いて状況を説明してください。通報と同時に救急車は出動します。専門病院は、救急隊と緊急交信できるようにしています。例えば、国立循環器病センターでは、脳卒中や心臓発作時に、救急隊と医師が直接連絡をとれるようにホットラインを設けています。

図1 心筋梗塞の症状
図1:心筋梗塞の症状

心臓発作が起こりやすい時間帯は?

心臓発作(心筋梗塞)が起こりやすい時間帯は、早朝(午前6時から8時)と夜間(午後8時から10時ごろ)です<図2>。いずれも、かかりつけの診療所が診療していない時間帯です。かかりつけの先生に相談するまで待っていては、治療が遅れてしまいます。

このような時にはどのように対応すればよいか、日ごろから、担当の先生に相談し、救急受診する病院を決めておく一方、心電図や血液検査などのデータをもらっておくと緊急時に大変参考になります。発作が起きたら、まず119番通報することです。

図2 心臓発作の発症時間帯
図2:心臓発作の発症時間帯

心臓発作の時、なぜ早く受診することが必要か?

これまでの調査で、病院受診前に突然亡くなる病気の最も多い原因が、急性心筋梗塞症といわれています。その理由は、発作直後(1時間以内)に危険な不整脈が生じ、急死することがあるからです。

この危険な不整脈は「心室細動」と呼ばれ、心室の中で全くでたらめに、あちこちで興奮が生じて心臓のポンプ機能が果たせない状態となり、意識がなくなるほか、心停止・呼吸停止となって、放置すると死に至ります<図3>。この不整脈に対する唯一の治療が電気ショック(除細動)です<図4>。だから、不整脈が生じる前に受診し、適切な治療を受けることが必要なのです。

図3 心臓発作直後に見られる危険な不整脈
図3:心臓発作直後に見られる危険な不整脈
図4 電気ショック(除細動)
図4:電気的除細動電気ショック

心臓発作で意識がなくなったら、どうすればよいか?

まず119番通報して、いち早く電気ショックを含む処置ができるようにします。それから、そばにいる人が心肺蘇生法(人工呼吸と心臓マッサージ)を行います。これによって電気ショックが行われるまでの間、脳血流を維持し、電気ショックが可能な時間を延ばすことができます。

救急隊は通報からかなり早く到着してくれますが、平均で6分かかります。その間に心肺蘇生法が行われなければ、救命率は極めて低くなります。そばにいる人がすぐに応急処置を始めてください。人工呼吸と心臓マッサージを組み合わせる心肺蘇生法は簡単です。一度講習を受ければ、どなたでもできます。この応急処置で大切な人を救いましょう。

自動体外式除細動器(AED)とは?

電気ショックを与える装置(除細動器)は、これまで病院や救急車にだけあり、院外では救急車が到着しないと使えませんでした。心臓が止まってから5分で電気ショックをすると、半分の方が助かるチャンスがあります。1分経過するごとに10%ずつ救命のチャンスが失われていきます<図5>。ところが、実際には救急隊が到着し、電気ショックを行うまでに最低でも8分程度かかります。

もっと早く電気ショックするにはどうすればよいのでしょう?それには、皆さんのそばに設置されている除細動器をすぐに使うことです。

厚生労働省は2004年7月に一般の方が利用できる電気ショックの装置(略号、AED)を認可しました。

AEDは、電源を入れると音声で説明が始まり、この音声ガイドの指示に従って、だれでも簡単に使えます。意識がなく心臓が止まっている人に、この装置の音声ガイドに従って電極パッドを装着すると、内蔵されているコンピューターが解析し、電気ショックが必要かどうかを判断してくれます。必要なら音声に従い、ボタンを押すだけで電気ショックを与えられます。これで倒れてから5分以内に電気ショックが可能となります。

5分以内の電気ショックを実現するには、公共の場所に1~2分で入手できるよう多くのAEDを設置する必要があります。そのうち家庭に1台置いておく時代がやってくると思います。ぜひ講習を受け、AEDの設置にご協力下さい。

図5 時間経過による生存率
図5:時間経過による生存率

あなたの大切な方を助けるために心肺蘇生法と、AEDの使用方法を学びましょう。心肺蘇生法とAEDの使用方法のポイントについて段階を追って解説します。

(1)まず意識の有無を確かめます

目の前で人が倒れたら、あるいは倒れている人を見つけたら、軽く肩をたたきながら「大丈夫ですか?」と声をかけます。反応がなければ意識がないと判断します。

イラスト:(1)まず意識の有無を確かめます

(2)大声で人を呼ぶ。119番通報をする。自動体外式除細動器(AED)を持ってきてもらいます

「誰か来てください!」と大声で助けを求めます。近くに人がおれば「あなた、119番へ連絡して救急車を呼んでください」「あなたはAEDを取ってきてください」「お医者さん、いませんか?」と協力を求めます。もし協力者がいなければ、先に119番通報し、AEDを取ってきます。

イラスト:(2)大声で人を呼ぶ。119番通報をする。自動体外式除細動器(AED)を持ってきてもらいます

(3)気道を確保して呼吸の有無をみます

あごを持ち上げて(あご先挙上)、頭を後ろへそらします(頭部後屈)。意識がなくなったため、のどの奥に落ち込んでいた舌が持ち上がり、空気の通り道が開きます(気道の確保)。

自分の顔を相手の口と鼻に近づけ、同時に胸の動きを見て、息を耳で聞き、頬で感じて、呼吸の有無を10秒以内に確認します。見て、聞いて、感じて、1、2、3、4、5……。呼吸がありません。さてどうすべきでしょうか。

イラスト:(3)気道を確保して呼吸の有無をみます

(4)口対口人工呼吸を開始します

呼吸がなければ親指と人指し指で鼻をつまみ、大きく開けた自分の口で相手の口を覆うようにして、1秒かけて息を吹き込みます。この際、胸が持ち上がるのを確かめます。もし、持ち上がらなければ、気道確保をし直します。人工呼吸は2回続けます。

イラスト:(4)口対口人工呼吸を開始します

(5)心臓マッサージを行います

人工呼吸後、すぐに心臓マッサージを始めます。

(5)のように、両方の乳首の中央に一方の手のひらを置き、もう一方の手を重ねて指を組みます。ひじをまっすぐに伸ばし、自分の体重をかけて、3.5~5cm胸骨が沈む程度に圧迫します。速さは1分間に100回のピッチで、「1、2、3……30」と声を出して、30回マッサージします。

イラスト:(5)心臓マッサージを行います

(6)心臓マッサージ30回と人工呼吸2回を繰り返します

心臓マッサージ30回と人工呼吸2回を繰り返し続けます。口対口の人工呼吸ができないか、したくなければ心臓マッサージだけでも効果があります。倒れた人が動きだすか、AEDが持ち込まれるか、救急車が到着するまで続けてください。

イラスト:(6)心臓マッサージ30回と人工呼吸2回を繰り返します

(7)AEDが到着すれば、すぐに電源を入れます

AEDが届けば、傷病者の頭の横に置き、すぐに電源を入れ、AEDの操作を優先させます。機種によっては、ふたを開けると自動的に電源が入るものもあります。パッドを貼るまで協力者に心肺蘇生法を続けてもらいます。

イラスト:(7)AEDが到着すれば、すぐに電源を入れます

AEDが手元にあれば、心肺蘇生法に時間を費やすことなく、ただちにAEDを使用します。次の音声ガイドが流れます。

イラスト:(音声ガイド)電極パッドを患者さんに貼ってください

(8)電極パッドを患者さんの胸に貼ります

パッドを袋から出して、表面に描いてある通りの場所に貼ります。音声に従ってください。

イラスト:(8)電極パッドを患者さんの胸に貼ります イラスト:(音声ガイド)パッドのコネクターを接続して下さい 解析ボタンを押してください

(9)解析中は患者さんに触れないでください

イラスト:(9)解析中は患者さんに触れないでください

自動的に解析され、心室細動であれば点滅している除細動ボタンを押すように指示が出ます。

イラスト:(音声ガイド)患者さんには触れないでください。心電図の解析中です ショックが必要です。患者さんから離れて除細動ボタンを押してください

(10)除細動ボタンを押します

自動的にエネルギーが充電されたあと、点滅ボタンを押します。この時に、必ず以下の安全を確認してください。

  • 声を出して、「みんな離れて。自分も、あなたも、周囲全員、離れてください」。
  • 目で、だれも触れていないことを確認します。その後に除細動ボタンを押します。
イラスト:(10)除細動ボタンを押します

(11)除細動後、心肺蘇生法を再開してください

その後、再び解析が始まり、除細動が必要となれば、音声指示に従い、操作してください。

呼吸が再開すれば、心臓の動きが再開したことを意味します。AEDを装着したまま救急隊の到着を待ちます。

救急隊が到着するまで、音声の指示に従ってください。指示があれば、操作を繰り返します。パッドは貼ったままにします。

(12)救急隊に情報を伝えましょう

救急隊が到着したら、傷病者が倒れた状況とAEDを使用したことを伝えましょう。これで、救急隊員は後で心電図を解析してくれます。

また、次に備えてAEDを片づけておきましょう。

イラスト:救急隊に情報を伝えましょう

AEDの機種

写真は実際の機種の一例です。片手で持てる程度の大きさで、パッドには、貼る場所が描かれています。

写真:AEDの機種

次ページに、国内で入手可能な機種を示します。

左上の機種では、心電図が表示され判読できます。一般の方が使用する場合は、判読は不要です。

基本的な操作はいずれもほぼ同じで、ふたを開けると同時に電源が入るものと、電源ボタンを押すものがあります。また、自動的に解析が進むものと解析ボタンが付いているものがあります。

除細動ボタンはすべての機種とも音声に従って押す必要があります。心電図はメモリーに記録され、音声とともに記録されているので、後で解析が可能です。

AED設置が推奨される場所には

  • 公的な場所ですぐには救急治療ができない所:飛行機、新幹線、大型客船など
  • 多くの人が集まる公的な場所:ホテル、スポーツスタジアム、マラソン競技、ゴルフ場
  • 高リスクの人が多い場所:老人ホーム、保健所、リハビリテーション施設など

さらに、設置が望まれる場所として

  • 24時間オープンし、どこにでもあり、アクセスが容易な場所:コンビニエンスストア、交番、ガソリンスタンドなど、が考えられます。

緊急な場合に、どこででも、すぐに入手できるようにAEDが普及し、設置されることを期待しています。

写真:国内で使用されているAED

 

最終更新日 2014年03月12日

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