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[111] 心房細動といわれたら - その原因と最新の治療法 -

「知っておきたい循環器病あれこれ」は、「公益財団法人 循環器病研究振興財団」が循環器病に関する最新情報を分かりやすく解説した発行物を、国立循環器病研究センターが許可を得てHTML化したものです。
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国立循環器病研究センター
元臨床検査部長 鎌倉 史郎
心臓血管内科部門不整脈科 鎌倉 令

心房細動の治療は...

もくじ

高齢社会と共に心房細動という病気が増えています。心房細動とは不整脈の一つで、心房が小刻みに動き、けいれんするような病状を指し、それにより心房に血栓ができやすくなり、その血栓が脳に飛んで脳の血管が詰まるリスクが高まる病気と説明されています。また、カテーテルアブレーション治療によって治る病気ともいわれています。

でも医師からそのような説明を受けたものの、今一つよくわからない。なぜ心房細動が起こるのか、なぜ発作が起こると苦しくなるのか、どうして治療が必要なのか、「アブレーション」という治療以外に方法はないのか、などの質問をよく受けます。

心房細動については「知っておきたい循環器病あれこれ」シリーズでも、6号「怖い不整脈と怖くない不整脈」、35号「不整脈といわれたら」、99号「心房細動と付き合うには」などで、病状、治療法、心構えなどが紹介されています。

心房細動の治療はこの20年で大きく変わりました。そこで、この冊子では、心房細動の仕組みや、最新の治療を含め種々の治療法を、できるだけわかりやすく解説する一方、この病気に対して患者さんが抱かれる不安のいくつかにもお答えします。

心房とは

心臓は四つの部屋に分かれ、上の方の二つの部屋を心房、下の二つの部屋を心室といいます。四つの部屋は外側が筋肉でできており、中は空洞になっていて血液がたまっています。筋肉が収縮すると、中にある血液が心臓の外に出て行くようになっていますので、心臓は血液を送り出すポンプであるともいえます。

心臓の各部分

図1 心臓の各部分
心臓は心房と心室からなり、心房は心室の上の部分で心室に血液を送り出す役目をする。一方、心室は全身に血液を送り出すのが役目

心臓の血液は心房から心室を通って全身へ出て行きます。心臓を縦半分に切ってみた断面が〈図1〉で、この図のように、心房は心室の手前の部屋にすぎないため、仮に心房にけいれんが起き、心房の動きが止まったとしても、心室さえしっかり動いておれば大きな問題は起こりません。

心臓が動く仕組み

心房と心室の筋肉が動くのは、心臓に弱い電気が流れるからです。その電気をつくる〝発電所〟にあたる場所は洞結節と言って、〈図2〉のように、右房の上の方にあります。

心臓の電気の伝わり方

図2 心臓の電気の伝わり方
右房の上方に洞結節があって、ここで心臓全体に伝わる電気がつくられる。洞結節でできた電気は心房に伝わるが、心室には房室結節だけを通って伝わるようになっている

ここでつくられた電気は、心房と心室の筋肉に伝わります。筋肉の中には目には見えない電線のような組織が網の目状に張り巡らされていて、それを通って電気が伝わるのです。

ただし、電気は心房から心室へ直接伝わるのではなく、〈図2〉のように、心房と心室の境界にある房室結節という、〝変電所〟の役目をする場所を必ず通って心室へ伝わるようになっています。

普通、房室結節は洞結節がゆっくり電気を作る時は、それをそのまま通すのですが、洞結節や心房から多くの(頻繁に)電気が流れてきた時は、それを間引いて通すようになっています。

心房細動の原因は...心臓のどこに問題が

ではなぜ心房細動になると、心房がけいれんするように細かく動くのでしょうか。

人間は、胎児としてお母さんのおなかの中にいる頃は、洞結節以外に心臓内の種々の場所に〝発電所〟をもっていますが、生まれる前に、洞結節以外の〝発電所〟は蓋をされて活動を停止し、洞結節からだけ電気を送るようになって生まれてきます。

ところが、年をとったり、甲状腺機能亢進症などの病気になったりすると、この蓋が外れて変な場所から電気を流すようになります。

その変な場所で最も多いのが、左房に直結する肺静脈(肺からきれいな血が戻ってくる血管で4本あります)の付け根にある個所です。〈図3a〉をご覧ください。ここは胎児の頃、発電所のあった場所で、再び発電を始める訳です。胎児の心拍が速いのと同様に、非常に高い頻度で電気を流します。

それに加えて、年をとってくると、電線の役もしている心房の筋肉が変質し、一部の電線は電気を伝えにくくなります。そうなると網の目状の電線回路の中で、断線したりショートしたりして、電気がぐるぐる回る(旋回)ようになってしまいます。

心房細動の成り立ち⑴

図3a 心房細動の成り立ち⑴
心房細動のある人では、左房に直結する肺静脈の付け根から異常な電気興奮が起こる。図では肺静脈は2本しか示していないが、左右に2本ずつ計4本ある

肺静脈から高い頻度で生じる電気だけでも心房が速く動くうえに、この刺激をきっかけに起こる電線回路内のいろんな場所での電気の旋回(これを医学用語でリエントリーといいます)によって、さらに心房が速く興奮し、細かく動きます。これが、心房細動の原因です。

つまり心房細動ではこれらの電気的な異常興奮によって、心房が1分間に300~500回もけいれんするように動くのです。〈図3b〉を見てもらえば、心房で電気が渦巻く様子がよくわかると思います。

心房細動の成り立ち⑵

図3b 心房細動の成り立ち⑵
肺静脈からの電気興奮をきっかけに、心房の中で毎分300回から500回の異常な電気旋回(リエントリー)が生じ、心房細動が起こる

これは、心房細動の主な原因が肺静脈からの異常な電気興奮であり、それらを起こす大きな原因が加齢であることを意味しています。言い換えれば、心房細動は誰にでも起こりうる病気なのです。実際、一生のうち4人に1人は心房細動になるといわれています。

心房細動で脈が速くなるのか

心房細動になると、心臓全体も速く動くのでしょうか。そうではありません。心房の電気は心室に伝わりますが、変電所の働きをしている房室結節が、伝わる電気の量を調節してくれるからです。

例えば、心房が毎分300~500回動いていても、心房の電気が五つに一つくらいの割合で伝わると、心室は1分間60回から100回程度動きます。これだと正常な心室の動きと変わらず、動悸などの症状は出にくくなります。

しかし、二つに一つ、または三つに一つくらいの割合で電気が伝わると、心室は1分間100回から200回ほどの速さで動くことになります。そうなると、一生懸命に走っているときか、それ以上の心拍数となりますので、動悸や息苦しさが起こってきますし、突然そういう状態になると、心臓が送り出す血液量が減って、血圧が下がります。

そのため、脳に行く血が少なくなって、ふらついたり、ひどい場合は意識を失ったりすることがあります。つまり、心房細動時の症状が出るか出ないかは、この房室結節の調節次第で決まるのです。

一般に3人に1人は、心房細動があっても自覚症状は出ません。その多くは房室結節の変電所としての働き(調節)がうまくいっているからです。

房室結節の調節が全く利かず、心房でつくられた電気をそのまま通してしまうことは、ごく一部の特殊な心臓病の人以外では起こりません。心房がけいれんしているのなら、心室もけいれんするのではないかと心配される方がいますが、そういうことは起こらないのです。

心房細動時の脈の打ち方

心房細動では、房室結節での電気の伝わり方が不規則になるので、心室の動きも不規則になります。ですから心室の動きで生じる脈も当然、全くばらばらになり、多くは速くてわかりにくい脈になります。

心房細動では何が心配なのか...治療の2本柱

心房細動で注意すべき点は二つあります。

一つは、房室結節の調節機能がうまく働かない人では、心室の動きが速くなって頻脈になることです。もともと心臓病を持っているか、いないかにもよりますが、おおよそ1分間140回以上の頻脈が長く続くと、心臓(心室)の働きが悪くなって心不全という状態が起こる可能性があります。

人間の心臓は一生のうちに動く回数が決まっていますので、早く動いてしまうと、早く弱ってしまうと言えます。このため、心房細動では、不整脈自体の治療として、心房から心室に電気を速く通さないように、または頻脈にならないように、薬剤(抗不整脈薬)で房室結節機能を調節するとともに、できれば心房細動を止める必要があります。

二つめは、心房細動では心房に血栓(血の塊)ができやすく、それが血流にのって脳などの動脈に流れ込んで、ふさいでしまう塞栓症(脳であれば脳塞栓症)を起こす可能性が高まることです。

心房細動では、心房自体が震えるようにしか動かないので、血がよどんで塊ができやすくなるのです。これは心房細動が時々起こる「発作性心房細動」の人でも、常に起こっている「持続性心房細動」の人でも、その危険性は同じです。ですから心房細動では、塞栓症を予防するため、血栓をできにくくする薬剤(抗凝固薬)を飲む必要があります。

脳梗塞の予防法

心房細動によって起こる脳梗塞を心原性脳塞栓症といいます。これは心房細動を持っている人すべてに起こるわけではありません。

高血圧、糖尿病、心臓の機能低下、75歳以上の高齢、脳梗塞の既往、僧帽弁狭窄症(これらを脳梗塞のリスク因子といいます)のうち、一つ以上を持っている人の一部に起こるとされています。

また、血栓は発作性心房細動でも48時間以上続くような場合、または持続性心房細動で、できやすくなると言われています。しかし、このうち本当に血栓ができるのは一部の人にすぎません。

脳梗塞の予防薬は、古くからあるワルファリンのほかに、ダビガトラン(プラザキサ)、リバーロキサバン(イグザレルト)、アピキサバン(エリキュース)、エドキサバン(リクシアナ)の4種の新しい抗凝固薬(NOACといいます)が発売されています。

その作用や効能の詳細は省きますが(「知っておきたい循環器病あれこれ」の99号「心房細動と付き合うには」参照)、一般にNOACは、ワルファリンより出血などの副作用が少なく、薬剤や食物との相互作用(薬剤の効果を弱めたり、強めたりする作用)が少ない、さらに、脳梗塞予防効果はワルファリンと同じかそれ以上、と報告されています。

どの抗凝固薬を選ぶかは、腎機能、肝機能、年齢、もともと持っていた心臓病などを考えて決めます。過去に脳梗塞になったことがなければ、抗凝固薬を正しく服用していれば、どんなに長く心房細動が続いていても、たいていの場合、脳梗塞を予防できると考えてよいでしょう。

 心房細動が長く続けば続くほど、脳梗塞になりやすくなるのではと心配される方も多いと思います。しかし、抗凝固薬を飲んでさえいれば、心房細動発作がすぐに止まらないからといって病院に駆け込む必要はないのです。

一方、アスピリンなどの抗血小板薬は、心房細動による脳梗塞を予防する効果が弱く、テレビや雑誌などで話題になっている血液をさらさらにするという種々の食物なども、ほとんど予防効果のないことが証明されています。

不整脈の治療法

1)症状が強い場合

心房細動では、心房から心室に伝わる電気の割合が多くなれば、心室が速く動き頻脈となって、動悸や息苦しさといった症状が出てきます。夜間や安静時に突然、胸が苦しくなって、時には胸の痛みなども伴いますので、心臓の血管が狭くなる狭心症とよく間違われ、ニトログリセリンなどを服用する方がいますが、心房細動には効きません。

特に動悸などの症状は、持続性心房細動よりも、発作性心房細動の人で強く出ます。というのは心房細動が長く続いていると、だんだんその脈に慣れてくるのに対し、正常なリズム(非発作時)と異常なリズム(発作時)の両方を持っている人では、異常なリズムの心房細動になった時に症状の違いを感じやすいからです。

では、症状の強い心房細動には、どのような治療法があるのでしょうか。

まず①心房細動の発作を止め、同時に発作を予防する薬が必要になります。そのためには、心筋細胞にナトリウムイオンやカリウムイオンが出入りするのを遮断して不整脈を防ぐ、10種ほどの抗不整脈薬があります。しかし、いったん心房細動が起こるようになると、これらの薬で心房細動を完全に生じなくするのはまず困難です。

ですから、心房細動の停止薬・予防薬は、主として心房細動の回数を減らす、症状を軽くする、持続時間を短くする、などの効果を期待して使います。

次に②心拍数を調節する(減らす)薬を用います。それらにはβ遮断薬という薬を中心に3、4種の薬剤があり、いずれも房室結節の機能を調節(電気を通じにくくする)してくれます。

症状のある心房細動には、アブレーション治療の前に①心房細動を停止・予防する薬②心拍数を調節する薬の両方を使い、症状の改善を図ります。ただし、脳梗塞を起こすリスク因子のある人は、これらの抗不整脈薬と並行して、抗凝固薬を服用する必要があります。

2)症状があまりない場合

心房細動があっても、症状がないか、あまり動悸を感じない人がいます。一般に安静時の心拍数が1分間80以下だと、運動や仕事は普通にでき、運動時にもひどい頻脈にならないようです。したがってこのような人は心不全にもなりません。

これらの人には②の心拍数を調節する薬剤は不要です。また①の心房細動を停止・予防する薬剤も不要な場合があります。さらにアブレーション治療による根治療法も不要な場合が少なくありません。

ただし、脳梗塞のリスク因子がある場合は抗凝固薬が必要ですし、持続性心房細動の人では、一度は正常なリズムに戻るかどうかを、薬剤または電気ショックを与える方法で試してもいいと思います。

一方、頻脈なのに、症状のない、または少ない人がいます。こうした人では、いつの間にか心臓の機能が低下していることがありますので、症状がないからといって安心できず、症状のある場合同様、しっかりとした治療が必要になります。

3)速い脈と遅い脈を併せ持つ場合

心房細動による動悸がおさまった時に、めまいやふらつき、失神が起きる人がいます。こうした人の多くで、心房細動による頻脈発作が止まったときに、極端に脈が遅くなる徐脈や、一時的な心停止が見られます。このような状態を徐脈頻脈症候群(または洞不全症候群)と呼びます。

このような人に対して、心房細動が起きているとき、抗不整脈薬によって心房細動を停止させ、心拍数を調節する治療を行うと、頻脈は出なくなるけれど、徐脈がひどくなって、ふらつきや失神が増えることがあります。つまり、すべての抗不整脈薬は、頻脈を抑えることはできる反面、徐脈をもたらす可能性があるのです。

これらの人では①アブレーション治療で心房細動自体を起こさなくする、または②まずペースメーカーを植え込んで、徐脈を起こさなくしたうえで、薬剤で頻脈を抑え込む治療をします。

4)電気ショック

心房細動がずっと続いていて、止める必要がある場合①抗不整脈薬②電気ショック(電気的除細動といいます)③アブレーション治療―の三つの方法があります。

抗不整脈薬には静脈注射と内服薬があり、この薬剤で心房細動が止まる確率は10~50%です。

電気ショックは、100ジュール(注)前後の直流電流を一瞬、体に流して不整脈を止める治療法で、ほとんどの心房細動を停止させることができます。

(注)ジュールは、エネルギー、仕事、熱量、電力量の単位。1ジュールは、約100グラムの物体を1メートル持ち上げる時のエネルギー。

人が集まる施設で見かけるAED(自動体外式除細動器:心臓救命装置)も電気ショックを起こす装置ですが、これは心房細動ではなく、心室細動を止めるために用い、心房細動時の電気ショックの2倍以上の強力な電気を流します。

心房細動を止める電気ショックでも強い刺激を与えますので、患者さんには、静脈注射で数分~10分ほど眠ってもらい、その間に治療をします。

初めてこれを行う場合は、最低1、2日間入院してもらいます。ただし、何度も電気ショック治療を受けて慣れている患者さんには、日帰りで行うこともあります。

電気ショックは、薬剤を試した後に行いますが、症状のひどい場合は直ちに行うこともあります。ただし、心房細動をなくす根本的な治療法でないため、これで心房細動が止まったとしても、すぐ(数秒~数時間内に)再発する人がいます。

数か月以内に再発した場合、再度電気ショックをしても効果は期待できませんので、アブレーションが次の治療の第一選択肢となります。

電気ショックでは1%前後の人が脳梗塞を発症する可能性がありますので、受ける前と後の3週間以上にわたって抗凝固薬を飲む必要があります。できれば受ける前に、食道に超音波内視鏡を入れる「食道エコー検査」で、心房に血栓のないことを確かめた方がよいとされています。

5)根治療法

心房細動の根治療法であるアブレーション治療は、「知っておきたい循環器病あれこれ」の35号「不整脈といわれたら」や、「治療法」の「不整脈とアブレーション治療」で紹介されています。ここではその中で触れられていない点や最新の治療法について解説します。

心房細動は、すでに説明しましたように、主な原因が左房の肺静脈の付け根から出てくる電気的興奮だとわかっています。ですから、その電気が心房内に拡散しないようにするのが、この治療のポイントです。

当初は電気の発生部位の一つずつに高周波電流を当てて筋肉を焼く(火傷させて発生部位を取り除く)方法でしたが、うまくいかないことがわかりました。そこで、〈図4a〉のように、右側2本と左側2本の肺静脈をまとめて、その周囲をリング状に焼き、電気が肺静脈から出て行かないようにする、つまり電気的に肺静脈を隔離する方法が行われるようになりました。

肺静脈隔離法によるアブレーション治療

図4a 肺静脈隔離法によるアブレーション治療
左側2本ならびに右側2本の肺静脈をまとめて、その周囲にリング状に焼灼(焼くこと)する。1回の通電で約5㎜の長さの焼灼ができるので、二つのリングを形成するのに約30~80回の焼灼が必要。それにより焼いた部分の筋肉が変性し電気を通さなくなり、肺静脈内にある発電所からの興奮が心房に拡散しなくなる。点線は焼いた部分(焼灼ライン)を示す。焼いた後に筋肉が一部再生して、再び電気を通すようになると心房細動が再発する。★印は肺静脈からの異常興奮部位を示す

現在では、これに加えて、4本の肺静脈の入口に順番に風船(バルーン)を押し当て、その部分を-70℃前後に凍らせる「冷凍凝固バルーン法」が行われています〈図4b〉。

バルーン法(冷凍凝固バルーン法、ホットバルーン法)によるアブレーション治療

図4b バルーン法(冷凍凝固バルーン法、ホットバルーン法)によるアブレーション治療
肺静脈の付け根に風船(バルーン)を押し当て、凍結させるか、加熱して、肺静脈の入口の筋肉を変性させ、肺静脈からの異常な電気の拡散を止める。肺静脈は4本あるので、計4~8回バルーンを押しつける。★印は肺静脈からの異常興奮部位を示す

また2015年度内には風船を高周波電流で暖める方法「ホットバルーン法」も承認される予定です。バルーン法は、風船を押し当てた周囲の心筋を凍結させるか、もしくは熱で変性させるため、肺静脈でできた電気が心房に拡散できなくなって心房細動が治ります。

いずれも患者さんが麻酔で眠ったまま治療でき、入院期間は、問題が生じなければ5~7日間です。バルーン法は従来の方法に比べ脳梗塞などの合併症が少なく、治療時間が短く、再発率が低い(30%以下)と報告されています。

しかし、冷凍凝固バルーン法は、左房や肺静脈の形により、治療可能な人と、そうでない人があるほか、ごく一部の患者さんに横隔膜神経麻痺などの合併症が起こる可能性が指摘されています。

注意していただきたいのは、心房細動が長く続くと、数年から十数年かけて徐々に左房が大きくなってしまうことです。

一般に左房の直径が50㎜以上になると、アブレーション治療の成功率が低下すると言われています。ですから、根治を希望される方は、あまり左房が大きくならない前に治療を考えた方がいいでしょう。

このほかの根治療法に、血栓のできる場所(左心耳といいます)を、胸腔鏡を用いてはさみで切り取ってしまう方法や、カテーテルを用いて左心耳に小型の傘状の機器を押し込んで蓋をし、左心耳に血栓ができなくする方法も報告されています。

アブレーション治療では、治療前に最低1か月間、治療後に約6か月間は抗凝固薬を服用する必要がありますし、多くの人では治療後も一定期間、抗不整脈薬を継続する必要があります。また、治療前に食道エコー検査などいくつかの検査が必要となります。

6)どれもうまくいかない場合

これまで述べてきたどの方法を試しても、心房細動を根治できず、発作時の自覚症状が残って苦しむ人がいます。

その場合、最後の手段として房室結節をアブレーション治療で焼いてしまい、心房から心室に電気が伝わらないようにしたうえで、ペースメーカーを植え込む方法があります。心房細動が続いていても、ペースメーカーによって心拍数は一定になり、症状がなくなります。

発作が続いた時は無理に動かず

薬を飲んで治まるのを待とう

心房細動時の心構え

心房細動のある人は、発作が起こっているときに体を動かすと、房室結節が電気を通しやすくなります。発作のない時は運動をしても徐々に心拍数が上昇するのに対し、心房細動時には心房から心室に伝わる電気の割合が突然増えるので、心拍数が急に上がり、血圧がやや下がり、息苦しい症状が出やすくなるのです。

発作が続いて苦しい時にはあまり無理をして動こうとせず、薬を飲んで心拍が治まるのを待ちましょう。

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