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[104] 心筋症といわれたら

「知っておきたい循環器病あれこれ」は、「公益財団法人 循環器病研究振興財団」が循環器病に関する最新情報を分かりやすく解説した発行物を、国立循環器病研究センターが許可を得てHTML化したものです。
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心筋症 タイプ別に対処

国立循環器病研究センター
心臓血管内科
部長 安斉 俊久

心筋症 タイプ別に対処

もくじ

はじめに

今回は心筋症の話です。まず心筋がどんな働きをしているのか、その働きはいかに大切かを説明してから話を進めます。

心臓は全身に血液を送り出すポンプとして一日中、休むことなく働いています。この働きの重要な担い手が心臓の筋肉、つまり心筋です。

心筋は手足の筋肉と同様、伸びたり縮んだりして長さや太さが変わり、伸びた状態で血液を受け取り、縮むことで全身に血液を送り出します。心筋の伸び縮みがうまくできなくなった状態─それが心筋症です。

心筋症にはいろいろなタイプがあって、原因がはっきりする場合もありますが、大半は原因不明で「特発性心筋症」と呼ばれています。「特発性」とは、いろいろ調べても原因が特定できないという意味です。

一般に心筋症といえば、特発性心筋症を指します。原因不明といいましたが、最近、遺伝子の異常に加え、免疫異常、ウイルス感染や環境要因がかかわっていることが明らかになってきました。

現在の医療でも治療で心筋の状態を完全に正常に戻すのは困難とされています。決してあなどれません。ただし、心筋症の方全員に心筋の機能低下が起こり、息切れや呼吸困難などの症状が出るわけではなく、まったく症状のないまま生涯を全うされる方も数多くいらっしゃいます。

心筋の機能低下をくいとめ、症状の出現を抑える治療も次々開発されてきました。ですから、心筋症と言われても、決して落ち込むことはありません。これからの説明をよく理解していただき、病気とうまく付き合っていくノウハウを体得してください。

まず特発性心筋症にどんなタイプがあるかを説明し、その中でとくに頻度の高い「肥大型心筋症」と「拡張型心筋症」を中心に解説します。

特発性心筋症には5つのタイプ

特発性心筋症は大きく五つに分類されています。〈図1〉をご覧ください。

正常な心臓と比べ、心筋が厚くなるのが「肥大型心筋症」〈図1の下段〉で「閉塞性」と「非閉塞性」とがあります(「閉塞性」と「非閉塞性」については後で説明します)。心筋が薄くなり心臓全体が拡大するのが「拡張型心筋症」〈図1の右上〉です。

このほか、心筋が固くなる「拘束型心筋症」、心臓の中でも右心室が拡大し、そこから不整脈が頻繁に起こる「不整脈源性右室心筋症」、さらに、これらに分類できない「分類不能型心筋症」があります。心筋症の名前が次々登場しましたが、いまは「肥大型」と「拡張型」があることを覚えておいてください。

図1 主な特発性心筋症

肥大型心筋症とはどんな病気?

文字通り心筋が厚くなる病気です。心筋の中でも左心室の出口にあたる左室中隔という部分の肥大がはっきりしてくると、心筋が収縮した時に血液の流れが妨げられ、運動した時などに息切れや胸の痛みが出現するようになります。

このように血液の流れが妨げられる場合が「閉塞性」、そうでない場合が「非閉塞性」の肥大型心筋症です。「非閉塞性」は自覚症状がないまま、健康診断の際に心電図異常などで見つかることがしばしばです。

「非閉塞性」の中でも、心臓の先端部分にだけ肥大を認めるタイプ(心尖部肥大型心筋症=〈図1下段右側〉)の場合は、生涯にわたって何ら問題なく過ごされることが多いようです。

ただし、肥大型心筋症は心筋の肥大が年齢とともに進んだり、心筋の収縮機能が低下したりする場合もあるため、しっかりした診断と定期的な検査が必要になります。

特に激しい運動をすると、危険な不整脈が出現して心臓突然死につながってしまう場合もあります。どの程度の運動までしてよいか、主治医に相談することが大切です。「閉塞性」の肥大型心筋症の場合や、血縁者に突然死した方がいる場合には、激しい運動を控えることが必要です。

肥大型心筋症の頻度は約500人に1人で、患者さんの2人に1人に同じ心筋症の家族歴があるといわれています。

拡張型心筋症の場合は?

中年期の男性に起こりやすく、その名前の通り心筋の収縮が弱くなり、心臓が次第に拡張していく病気です。

十分な血液が全身に送れなくなると、それを補うため心臓はその容積を大きくして、1回の収縮で送り出す血液の量を増やそうとします。しかし、この状態が長く続くと、心臓の中に血液が滞って心臓はさらに拡大し、心筋は引き伸ばされて薄くなっていきます。これによって心臓にかかる負担はむしろ大きくなってしまう悪循環を招きます。

心臓の機能が低下して全身に十分な血液が行き渡らなくなると、脳から心臓に強く働くよう〝指令〟が出る一方、腎臓では尿として排泄される量が減り、その分、体内の水分(体液)の量が増え、心臓にかかる負担はさらに増えます〈図2〉。

図2 心臓の働きが落ちて起こる悪循環

この悪循環が心不全といわれる状態で、拡張型心筋症の方は心不全の発症をいかに抑制するか、心不全になってしまった場合はどのようにしてその悪循環から〝脱出〟するかが重要になります。

心筋症はどんな症状か?

〈図3〉を見てもらいながら、話を進めます。心筋症には主に体が要求する血液を送り出せないために起こる症状と、血液が体に滞ってしまう「うっ血」による症状とがあります。

心筋症のタイプによって症状は違いますので、その点を踏まえて説明します。

肥大型心筋症のうち「非閉塞性」では、若いうちは自覚症状がないのがほとんどですが、中高年以降に動悸や、運動、作業をした時に息切れすることがあり、特に心房細動などの不整脈をきっかけに心不全を発症する場合があります。

「閉塞性」では、年齢にかかわらず、心臓からの血液の拍出が不十分になるので、息切れ、呼吸困難、胸痛といった症状のほか、むくみ、失神などの症状が出ることもあります。

一方、拡張型心筋症や、肥大型心筋症のうち心筋の収縮が低下してしまう「拡張相肥大型心筋症」では、体が要求する血液を十分に送り出せなくなるので、〈図3〉のように坂道や階段での息切れ、日中の尿量や尿の回数の減少、手足の冷たい感じ、全身倦怠感、さらに体重増加、むくみ、食欲不振、満腹感、夜間の呼吸困難や咳などの症状が出ます。

自分でチェックできること

心筋症で心不全になると、全身に水分が過剰にたまってしまいます。この状態を簡単に確かめるには、体重を測定することです。

心不全と同じように息切れする病気に、肺、気管支など呼吸器の病気がありますが、ふつう体重は増えません。一方、心筋症による心不全では体重が増えます。心筋症や心不全といわれたら、日々の体重測定が欠かせません。

毎日朝食前など同じ条件で体重測定した場合、前日にどれほど食べ過ぎたとしても、体脂肪の増加によって1日1㎏以上、1週間で3㎏以上体重が増えることはまずありません。この数値以上に体重が増えた場合、水分が体内にたまりだしたと気づくべきです。息切れなどの症状のほか体重が増えてきた時は、早めに病院を受診するよう心がけてください。

体重のほか、自分で確かめることができるものに、血圧と脈拍があります。心筋症で心臓から送り出す血液量が減ると、それを補うため収縮回数が増え、頻脈が現れます。手首で15秒間に何回、脈が触れるかを測り、その数を4倍すれば1分間の心拍数を計算できます。自動血圧計を使えば、より簡単に心拍数をチェックできます。

心拍数が安静にしていても、1分間に100回を超えている場合や、脈が乱れている時は、心臓に異常が起きている疑いがあります。

血圧を測る時、血圧が基準より高いか低いかがよく問題になりますが、最高血圧(収縮期血圧)から最低血圧(拡張期血圧)を引いた数値として得られる「脈圧」も重要です。通常の脈圧は40.60㎜ Hgで、収縮期血圧の1/4以上とされていますが、心筋症で心臓が送り出す血液が減ると、それ未満になることがよくあります。ただし、脱水などでも同じようなことが起こるので注意が必要です。

むくみも自分で簡単にチェックできます。むくみは足に起こりやすく、脛(すね) の部分を親指で押して、へこみが残るようであれば、体に過剰な水分がたまっている可能性が高くなります〈図3〉。ただし、腎臓病や血液中のたんぱく質の量が減っている時も、むくみが出る場合もあります。

図3 心不全の症状を大きくわけると

心筋症の検査にはどんなものがありますか?

心筋症が疑われる場合、主に次のような検査をします〈図4〉。

1)心電図検査、ホルター心電図検査

心電図は心筋症の診断に必須の検査で、心室の肥大や、心房にどれだけ負担がかかっているか、さらに心筋症に伴って生じる不整脈や心臓の中の電気の伝わり方の異常なども知ることができます。不整脈を調べるには、心電図を24時間、記録できる「ホルター心電図検査」が役立ちます。

2)胸部X線検査

心臓が拡大しているかどうか、左心室と右心室のどちらが拡大しているかなどを調べられます。また、肺に血液がたまっていないか(肺うっ血)、胸郭内に水分がたまっていないか(胸水)などを確かめ、心不全を合併しているかどうかをチェックします。

3)血液検査、尿検査

血中の「脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)」、もしくは「ナトリウム利尿ペプチド前駆体N末端フラグメント(NT-proBNP)」という物質の量によって心不全かどうかを調べます。基準値以上に高い場合は、心筋症かどうかについて精密検査をします。

また、トロポニンなど心筋から血液中に漏れ出てくる物質も心筋の障害を示す有用なマーカー(目印)になっています。心筋症による心不全が急に悪化した際などに、トロポニンが陽性となる場合があります。

図4 心筋症のさまざまな検査

4)心エコー検査

心臓の大きさや心筋の厚さだけでなく、心筋の収縮の状態などをみることができ、診断のほか、定期的な経過観察や治療効果の判定にも大切な検査です。ほかの病気があって二次的に起こる「二次性心筋症」の診断にも役立ちます。

5)冠動脈コンピューター断層撮影(CT)検査

CT技術の進歩で、心臓に栄養を与える冠動脈に動脈硬化が起きていないかをCTでチェックできるようになりました。特発性心筋症と診断するには、冠動脈に異常がないことを確かめねばなりません。そのための冠動脈CTは患者さんに与える身体的負担も少なく、有用な検査です。

6)心臓磁気共鳴画像(MRI)検査

心臓の大きさ、心筋の肥大の程度、収縮能力などを客観的に評価できるうえ、ガドリニウムという造影剤を使うことによって、特発性心筋症の進行状態や二次性心筋症などの診断に役立ちます。

7)心臓核医学検査

放射線源を使う検査で、心筋の機能障害が冠動脈の狭窄に(きょうさく) よって起きているかどうかを調べる検査(負荷心筋シンチグラフィ)、心筋に炎症が起きているかどうかをチェックする検査(ガリウム・シンチグラフィ)などがあります。

8)心臓カテーテル検査

手足などの血管から心臓の中に直径2㎜程度の細い管(カテーテル)を挿入して、心臓内の圧や心臓から送り出される血液の量、さらに造影剤を使い、冠動脈に狭窄がないかどうか、左室の形態や機能を調べる検査です。

特発性心筋症と最終的に診断するには、カテーテルを通じ心筋の組織を少量採取し、顕微鏡で調べる検査(心筋生検)が必要です。この検査でほかの病気で起こっている二次性心筋症を除外することができます。

日常生活で注意すること

塩分の取り過ぎは体内の水分を増やし、血圧を上げ、心臓への負担を高めます。日本人の1日平均食塩摂取量は12gを超えており、心不全を防ぐには1日6g程度に抑える必要があります。パンや麺類などにも塩分は含まれています。加工食品の塩分にも目配りしてください。

過労は心不全を悪化させる要因となります。十分な休養と睡眠をとり、身体的ストレスだけでなく、不安や抑うつといった精神的ストレスにも気をつけ、無理のない日常生活を送ることが大切です。

軽度から中等度の強さの運動(有酸素運動)を続けることは、心臓に対してだけでなく精神面にも好ましい効果を与えます。肥満やメタボリック症候群は血圧を上げ、動脈硬化を進め、心不全を悪化させます。週3回程度、30分以上の散歩などを心がけ、たばこやアルコール、カフェインなどの嗜好品を控えましょう。

心筋症の治療法はありますか?

心筋症は原因が特定されない場合がほとんどで、根本的に治すことが難しいのが現状だと説明しましたが、日常生活での注意を心がけ、薬や装置を用いた治療によって、病状の進行を抑え、普通の生活を送れるようになってきました。では、治療での重要なポイントは何でしょう。それは心臓突然死をいかに防ぎ、心不全の発症と進展をどう防ぐかです。

1)心臓突然死を防ぐには

いずれの心筋症でも、心臓突然死が生じる可能性があります。残念ながら心筋症が原因で亡くなられる方の半数近くは、心室の心筋から出現する危険な不整脈(心室性不整脈)による心臓突然死が占めています。

こう説明すると、不安を抱かれる方が多いと思いますが、すべての患者さんではなく、次に挙げるような場合は、突然死のリスクが高まる恐れがあり、とくに注意していただく必要があります。

肥大型心筋症の患者さんで、心停止に陥った経験があること、あらゆる薬剤を使っても十分に心室性不整脈を抑えられないこと、失神発作の既往があること、さらに血縁者に突然死された方がいる場合です。

これらの場合、「β(ベータ)遮断薬」(アドレナリンなど不整脈を誘発するホルモンから心臓を守る薬)や「抗不整脈薬」(アミオダロンなど)による治療に加えて、危険な不整脈が生じた時にそれを感知し、自動的に心臓に電気ショックを与えて正常の脈に戻す「植え込み型除細動器(ICD)」による治療を考えます。

拡張型心筋症でも、心室の心筋に障害が起こり、心室頻拍など危険な不整脈が生じます。この場合、不整脈を抑える薬で治療しますが、心停止の既往、失神を伴う持続性心室頻拍の既往がある場合や、左室収縮機能が著しく低下しているうえに非持続性心室頻拍が認められる場合は、植え込み型除細動器による治療も考えます。

2)心不全の治療は?

突然死を予防する治療とともに、心不全の治療もとても重要です。特に拡張型心筋症が進むと、全身に過剰な水分・塩分がたまってしいますから、過剰な水分を除くために尿の排せつを促す利尿薬を使います。

また、末梢の血管を広げて心臓に戻ってくる過剰な血液を減らす一方、心臓から血液が流れ出やすくするため血管拡張薬を使います。血管拡張薬の中でも「アンジオテンシン変換酵素阻害薬」や「アンジオテンシン受容体拮(きっ) 抗(こう) 薬」は、心臓や腎臓などを保護する効果もあるといわれており、拡張型心筋症では心不全の症状が出る前の段階から用います。

β遮断薬は、心臓突然死の予防だけではなく、心臓を刺激するホルモンから心筋を保護することで心臓の働きをよくし、心不全による入院を減らす効果があります。ただし、心機能が非常に低下している方や血圧が低い方、脈拍が遅い方に投与すると、これらの症状が強くなることがあり、少量から始め、徐々に量を増やしていきます。 こうした治療をしても、心臓から全身に十分な血液を送り出せない場合、心臓の収縮力を高める強心薬を使います。ただし強心薬は心臓に過剰な負担をかけるので、緊急時や心不全の症状がどうしてもとれない場合に限り慎重に使用します。

3)薬以外の治療はありますか?

閉塞性肥大型心筋症で閉塞の程度がひどい場合、血液の流れを妨げている部分の心筋を切除する手術、もしくは血液の流れを妨げている部分の心筋に栄養を与えている動脈にカテーテルを使ってエタノールを注入し、心筋の組織を壊(え) 死(し) させて閉塞状態をなくす「経皮的中隔焼灼(しょうしゃく) 術(PTSMA)」をする場合があります〈図5〉。

図5 経皮的中隔焼灼術

最近、心臓の収縮を助ける「心臓再同期療法」という治療が行われています。拡張型心筋症や拡張相肥大型心筋症などで心筋の収縮のタイミングずれてしまっている場合、ペースメーカーを装着し、収縮のずれを調整し、収縮の効率をよくして、心不全症状を改善できます〈図6〉。

図6 心臓再同期療法

図7 植え込み型補助人工心臓

また、この装置には植え込み型除細動器の機能を併せ持ったタイプ(CRT-D)もあり、心臓突然死のリスクが高い患者さんに用います。

これまで挙げた方法でも心不全が改善されない場合、心臓移植を検討します。ただし、わが国では臓器提供者の数が限られているため、65歳未満で一定の基準を満たす場合にのみ適応となります。移植待機患者に登録されても3年程度の待機期間があります。

平成22年1月に臓器移植法が改正され、心臓移植の実施数は増えてはいるもの、十分には対応できていません。そこで、移植までの待機期間に心臓を補助する装置として補助人工心臓が開発されています。

この装置は、大きな駆動装置と拍動するポンプを体外に設置するタイプが使われてきましたが、入院生活を余儀なくされるうえ、ポンプ内に血液の固まりができやすく、脳梗塞などの合併症のリスクがありました。

これに対し、平成23年4月から保険診療の適応となった植え込み型補助人工心臓は、小型のポンプで血液の流量を持続的に補助するもので、複雑な構造が不要なため小型化でき、体内に埋め込めるようになりました。これで移植待機期間中、自宅で通常の生活を送れます〈図7〉。

特発性以外の心筋症

原因が特定できない特発性心筋症を中心に解説してきましたが、それ以外の、原因がわかっていて二次的に心筋症が起こる「二次性心筋症」についてまとめておきます。

心筋の働きが悪くなる原因で最も多いのは、心臓に栄養を与えている血管(冠動脈)が動脈硬化によって狭くなり、心筋に十分な酸素や栄養が行き渡らなくなって起こる心筋梗塞や狭心症です。一時的にでも完全に血流が途絶えると、心筋の機能が低下した状態が続くことになり、この状態を「虚血性心筋症」と呼びます。

これ以外に、全身のリンパ節に原因不明の炎症が生じるサルコイドーシスという病気では、心筋にも炎症が起こり、「心サルコイドーシス」と呼ばれています。また、アミロイドといわれる異常なたんぱく質が全身で増えるアミロイドーシスという病気でも、心筋にアミロイドが沈着して「心アミロイドーシス」が起こります。

これらの二次性心筋症では、原因となっている病気を治療することが心筋の機能回復につながります。

心房細動と呼ばれる不整脈などで心拍数の高い状態が続き、心筋の伸び縮みがうまくいかなくなる「頻脈誘発性心筋症」では、心拍数を低下させるか、不整脈を治療することで、心筋の働きを回復させられます。

これ以外にも、甲状腺ホルモンの異常やビタミンの欠乏、アルコールの過量摂取、先天的な代謝異常などでも心筋の機能低下が起こりますが、これらもその原因を治療すれば心筋の機能が回復していきます。

おわりに

心筋症は怖い病気と思われがちですが、比較的頻度の高い肥大型心筋症などの場合、体質と割り切ってうまく付き合っていくことが大切です。

この20年間に心筋症の治療は格段に進歩し、治療後の経過もよくなっています。医療スタッフとのコミュニケーションをよくし、自分の病状をしっかり理解し、前向きに治療に取り組んでほしいものです。

心筋症といっても病状は千差万別です。国立循環器病研究センターは、全国から受診される心筋症の患者さんに、豊富な経験を持つ医療スタッフが最先端の技術を駆使し、病状に応じたきめ細かい診療をしています。

この冊子が、心筋症の患者さんとそのご家族の皆さんにとって、心筋症とつきあうためのガイドとなるのを願っています。

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