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[141] 循環器病と妊娠・出産

「知っておきたい循環器病あれこれ」は、「公益財団法人 循環器病研究振興財団」が循環器病に関する最新情報を分かりやすく解説した発行物を、国立循環器病研究センターが許可を得てHTML化したものです。
文章・図表・イラスト等の転載・引用のご相談は循環器病研究振興財団までご連絡ください。

国立循環器病研究センター
小児循環器・産婦人科 部長 吉松 淳

妊娠前カウンセリングで妊娠から育児まで

もくじ

  1. 妊娠で起きる心臓の変化
  2. 分娩による心臓への負担
  3. 実際の妊娠中の管理
  4. 分娩の管理
  5. いろんな科の力を合わせて
  6. 前もってカウンセリングを受けましょう
  7. おわりに

よく似た質問をいただくことがあります。
①「私は赤ちゃんが産めるんですか?」
②「私は妊娠してはいけないんですか?」
似ていますが少しニュアンスが違うのです。①は、小さい頃から心臓に病気があり、妊娠はできないものだとずっと思いこんでいた方です。でも私どもの説明を聞いて赤ちゃんを産むことも可能だと分かり、それが「私は赤ちゃんが産めるんですか?」の問いになりました。
②は、子どもの頃から心臓に病気があるのは分かっていたが、妊娠には支障がないと思っていた方です。妊娠によって心臓にさまざまな負担がかかるという、私どもの説明を聞き、「私は妊娠してはいけないんですか?」という問いかけになりました。
二つの質問から言えるのは、最初から妊娠できないと思いこんでいることも、妊娠は心臓と関係のないと思っていることも、どちらもあまり幸せではないということです。

心臓に病気があっても多くの場合、妊娠することができます。しかし、一方で妊娠によって母児共に命を落とす可能性もあります。大切なのは、自分が妊娠したらどんなことが起きるのか知っておくことです。もっと大切なのは、それを妊娠する前に知っておくことです。
この冊子に、循環器疾患をお持ちの女性に知っておいてもらいたい心臓と妊娠についてまとめました。実際にはそれぞれの病気や心臓の働きの状態に合わせたカウンセリングや説明が行われるのですが、この冊子の情報はその基になるものです。
妊娠を考える時、ご夫婦で読んでもらって、人生の大切な決断をする参考になればと思います。

妊娠で起きる心臓の変化

妊娠すると女性の体にはいろんな変化が起きます。それらのほとんどは、お腹の中の赤ちゃんを元気に育てるために起きるのです。心臓に影響を与える変化も、赤ちゃんを元気に育てるためのものの一つです。ただし、これらの変化の多くは心臓には負担となります。最も大きな負担となるのは血液の量が増えることです。

1.身体をめぐる血液の量が増えます
妊娠すると血液の量は1.5倍に増えます。お腹の中で赤ちゃんは羊水という水に浸かっています。周りに酸素はありません。ですから自分が息をして身体に酸素を取り込むことはできません。
その代わりにお母さんが息をして酸素を取り込み、胎盤を通して赤ちゃんの身体に送り込んでいます。胎盤にたくさんのお母さんの血液が流れると、たくさんの酸素が赤ちゃんに送られます。そのために、お母さんは血液の量を増やしているのです。
血液の増加は、子宮が大きくなって血管を圧迫しても十分な血液が流れるように、さらに分娩時の出血に備えるといった意味もありますが、一番の使命はたくさんの酸素を赤ちゃんに与えることです。
身体から帰ってきた血液を受け止めて、また送り出す場所が心臓です。血液が増えることは普段より多くの血液を受け取って、普段より多くの血液を送り出すことになります。
その血液の量が1.5倍に増えるのですから、単純に考えて心臓は普段の1.5倍の働きをしなくてはなりません。つまり、血液の量が増えるのは赤ちゃんには役立つ変化ですが、心臓には負担になると言えます。
普通の心臓の働きであれば、この変化には十分耐えられます。しかし、心臓の働きが落ちている場合には耐えきれず、心不全(心臓の機能が低下して、血液を十分に送り出せなくなった状態)になってしまうことがあるのです。

2.心臓が大きくなって脈拍数が増えます
たくさんの血液が帰ってきた心臓は、二つの方法でそれを滞りなく送り出していきます。一つは心臓を大きくして、一回の拍動で送り出す血液の量を多くする方法です。妊娠の初期にはこちらが主な心臓の変化になります。しかし、心臓もどこまででも大きくなることはできません。
そこで次の方法として心臓の拍動する回数を増やします。回数が増えれば、より多くの血液を送り出すことができます。このような働きにより妊娠中は脈拍数が増えるのです。〈図1〉

図1 循環血液量と心拍数の妊娠中の変化
図1	循環血液量と心拍数の妊娠中の変化

脈拍数は自然に調整され、例えば運動すれば多くなり、安静にすれば少なくなります。しかし、心臓の病気のためこの仕組みがうまく働かない患者さんの場合、心不全になってしまうことがあります。

脈拍数は運動すれば多くなる

3.血管が広がって血圧が下がります
妊娠すると血管は動脈も静脈も広がります。動脈は心臓から出ていく血管、静脈は心臓に戻ってくる血管です。静脈は広がることにより増えた血液を受け止めてくれます。つまり、静脈の中にある血液が増えることで、一度に心臓に帰ってくる血液を少し減らせるのです。これを「前負荷の低下」といい、心臓の負担が減ります。
動脈は広がることで、心臓から血液が出ていきやすくします。これを「後負荷の低下」といいます。心臓は大きな力を入れなくても血液が出ていきやすくなり、やはり負担が軽くなります。
この動脈と静脈の変化によって血圧は下がります。しかし妊娠の後期には血圧はもとに戻り、最後には妊娠前と同じか少し高くなります。これは血液の量の増加を血管の広がりで受け止めきれなくなるからです。

4.血液が固まりやすくなります
分娩するとどんな人でも出血します。分娩でできる産道の傷からの出血と、胎盤が剥がれた後の子宮からの出血です。その出血に備えて血液は、妊娠の終わりに向かって固まりやすくなっていきます。
この働きは、妊婦さんにとっては出血を減らすという意味で有利な働きです。しかし、心臓に病気がある患者さんの中には血液をサラサラにする薬を飲んでいる方がいます。血液を固まりにくくすることが心臓の病気にとって、または治療のため心臓に使われる人工弁などにとっても必要だからです。こうした場合、妊娠によって血液が固まりやすくなることは不利に働くことになります。
このような患者さんが妊娠した場合、妊娠により固まりやすくなっている血液に対して、それに負けないように固まりにくくしていく必要があります。血液をサラサラにするにはワルファリンという薬が最もよく使われていますが、この薬は妊娠中には使えません。赤ちゃんへの悪影響が知られているからです。
そこで、ヘパリンという薬に切り替え、しっかりと血液をサラサラにしていかねばなりません。しかし、ヘパリンは注射しかなく、しかも血液を固まりにくくする作用はワルファリンより短時間で不安定です。
サラサラになりすぎず、固まりやすくなりすぎず、微妙な調整を行わなくてはならないのですが、使える薬はヘパリンしかなく、とても大変で注意深い管理が必要になります。

5.その他の変化
いま挙げた他にも心臓に関する変化はたくさんあります。
例えば血管の壁の強さが変わります。分娩では膣を広げて赤ちゃんが出てきます。それに備えて膣を柔らかくして伸びやすくするのです。この働きは、エストロゲンというホルモンによって起こります。
このホルモンは血液に乗って全身をめぐりますから、膣だけでなく他の体の部分も柔らかくなり、血管の壁も柔らかくなるのです。
この変化自体、増えた血液を受け止める血管の変化として役立つものです。しかし、もともと血管に病気のある患者さんにとっては不利に働きます。血管が弱い場合、血管が膨らみすぎ、その結果、破裂してしまうことがあるからです。

分娩による心臓への負担

こうした変化を乗り越え、いよいよ分娩の時期がやってきます。分娩とその直後は最も注意を要する時期です。なぜなら妊娠期間という長い時間をかけて変化してきたものが、短時間で大きく変化するからです。心臓の働きに問題があっても、時間をかけて変化することで、身体はその変化に適応することができます。しかし、短時間での急激な変化に耐えられるとは限りません。分娩後も同じです。分娩が終わると、妊娠中9か月かけて変化したものが約1か月半でほぼ元に戻ります。この戻っていく過程の方が急で、身体の適応が難しいのです。

1.陣痛による心臓への負担
妊娠中の子宮は赤ちゃんが入っていて、とても大きくなっています。そこには胎盤に酸素を運ぶため大量の血液が流れ込んでいます。陣痛は赤ちゃんを外に出そうとする子宮の収縮ですが、子宮が収縮すると、まるで湿ったスポンジを絞るように血液が子宮から出ていきます。その出ていく先は静脈です。
分娩直前の陣痛は2~3分ごとにやってきます。つまり。2~3分ごとに子宮から大量の血液が静脈に流れ込み、心臓に帰っていくことになります。その量は300mlから500mlです。この量の血液を2~3分ごとに輸血し、脱血するのを数時間繰り返していることになるのです。
さらに、陣痛は痛いものです。人間は痛みを感じると血管が収縮します。この収縮は主に動脈で起こります。つまり心臓から血液を送り出すのにより力が必要になります。すでに説明しました前負荷が上昇し、後負荷も上昇することになり、心臓には負担となります。

2.分娩後の心臓への負担
分娩が終了すると子宮はギュッと収縮して小さくなります。この収縮は陣痛のとき以上で、静脈に帰っていく血液の量は800mlから1000mlに達します。一度にこれだけの量の血液が心臓に帰ってくるのですから、大きな負担になることがお分かりでしょう。
すでに説明しましたが、分娩が終わると身体は約1か月半かけて妊娠する前に戻っていきます。身体に蓄えられた水分は、増えた血液とともに身体から尿として出ていきます。戻ってくる水分量と出ていく尿量のバランスがうまく取れないと一気に心臓の負担が大きくなります。
実は身体が妊娠前に戻るときのほうが、心不全になりやすいことが分かっています。〈図2〉

図2 妊娠の時期と心不全の頻度
図2	妊娠の時期と心不全の頻度

実際の妊娠中の管理

さて、実際に妊娠した場合、妊娠による変化を踏まえた管理の計画を立てていきます。それぞれの病気や状態にあった計画と医療が求められるのです。

検査の計画
妊娠中の検査は、お腹の赤ちゃんへの影響を考慮して行わなければなりません。そして妊娠の各時期の変化を考慮したタイミングで行う必要があります。また、妊娠中と妊娠していない時とでは正常値が違うことにも注意が必要です。
赤ちゃんへの影響ですが、心臓超音波検査(心エコー)、採血検査、心電図などはまったく影響がありません。胸部レントゲンは放射線を使う検査なので、心配される方が多いと思います。しかし、実は通常の検査のレントゲン撮影では、赤ちゃんへの影響はないことが分かっています。 お腹の赤ちゃんに影響が現れる放射線量は100mSV(ミリシーベルト)からとされています。おなかを隠さずに胸部レントゲン撮影した場合の赤ちゃんの被曝量は0.01mSV。腹部の撮影でも最大で4.2mSVです。これらはまったく赤ちゃんに影響を与える量ではありません。
もちろんあえて行うことはありませんが、有効な情報が得られると考えられる時には積極的にレントゲン検査も行っています。
次に検査の時期です。国立循環器病研究センター産婦人科では妊娠中少なくとも3回の心臓の検査をします。妊娠初期に心臓への影響が出始めた時、妊娠中期以降にその影響が最大になる時、そしてその最大の負荷が続いたまま、いよいよ分娩を迎える前の3回です。それぞれ妊娠12週、妊娠24~28週、妊娠34~36週になります。
病状によってはそれ以上の回数、変化に応じて行うことになります。では、それぞれの検査で分かることとその意味を説明しましょう。

心臓超音波検査(心エコー)

心臓の動き、大きさ、形、血液の流れ方を調べることができ、多くの情報が得られる主な検査の一つです。
胸の上から機械を当てて、そこから超音波信号を心臓に向けて発信し、心臓から反射する信号を拾って記録、リアルタイムで心臓の動きを見ることができます。心臓が十分に収縮しているかどうか、各部分が上手に協力して動いているか、血液は順調に流れているか、逆流してないか、などが分かります。更に詳しい部分を観察するためには、より心臓近くの食道から記録する方法もあります。

超音波検査でみた心臓。四つの部屋が確認できます。いろんな角度から心臓の形と動きを検査します

心電図

心臓が収縮するときに現れる電気信号を記録する検査です。心臓は決まったリズムで収縮しますが、その命令を出すのは刺激伝導系と言われる場所です。そこに病気があると不整脈が現れます。また、心臓に大きな負担がかかると刺激伝導系に不具合が生じる場合があります。
心電図はこの刺激伝導系からの命令で収縮する心臓が発する電気を体の表面から拾っているので、間接的に刺激伝導系の様子を知ることができます。この検査には安静時に行うものと24時間記録するホルター心電図があります。
妊娠するとそれまでなかった不整脈が現れることがあります。また、もともと不整脈がある場合には、より回数が増えることが知られています。不整脈の種類や症状によっては、妊娠中でもお薬を使わなくてはならない場合があります。

採血検査

多くの情報が得られる検査です。特に重要なのは心臓の働きに関係するBNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)、ANP(心房性ナトリウム利尿ペプチド)という物質で,心不全のときに心臓の働きを助けるために作られるものです。つまり心臓に負担がかかっているとその数値が上がります。妊娠に関わらず心不全のマーカー(目印)として用いられています。

分娩の管理

私達が分娩を管理するとき、決めなくてはならない大切なことがあります。一つはいつ産んでもらうか、もう一つはどうやって産んでもらうかです。
まず、いつ産んでもらうかですが、通常の分娩は妊娠37週から41週の終わりまでに行われ、この時期の分娩を満期産(正期産)といいます。それより前を早産、後を過期産といいます。多くの場合、妊娠37週以降に自然に来る陣痛を待って、分娩してもらうことになります。
もともと重症な心疾患を持っている患者さんでは、あえて早産で分娩してもらうことがあります。妊娠中に心臓の働きがどんどん落ちていった場合もそうせざるを得ないことがあります。
しかし、早産は赤ちゃんが未熟児で生まれてくることです。赤ちゃんの不利益をできるだけ少なくするため、お母さんの心臓の働きが許す限り、できるだけ赤ちゃんをお腹の中にとどめておく、つまり成熟させる努力を続けなくてはなりません。
一方、妊娠を継続することで母体の生命が危険になった時、お母さんの命を救うためにやむを得ず妊娠を終了することになります。とても重症の場合、このギリギリのタイミングを見つけ出して分娩してもらわなければなりません。
次にどうやって産んでもらうかです。大きくは帝王切開と経腟分娩に分けられ、経膣分娩には、普通の分娩と無痛分娩とがあります。一般に特別な状況をのぞくと経膣分娩が勧められます。また、一部の病気や状態では無痛分娩が選択されます。
単に心臓に病気があるという理由で、帝王切開することは普通、ありません。なぜなら帝王切開と経膣分娩では経膣分娩のほうが心臓に負担が少ないことが分かっているからです。 一方、痛みは心臓に負担をかけますが、無痛分娩によって心臓の負担を軽くできることも分かっています。無痛分娩をすると血管が緩んで開き、その分、心臓に戻ってくる血液が血管で保持されて少なくなり、結果として心臓への負担が減るのです。
気をつけねばならないのは、無痛分娩によって逆に心臓に負担がかかる病気や状態があることです。大動脈弁狭窄症、閉塞性肥大型心筋症、一部の先天性心疾患などでは、心臓に帰ってくる血液が急に減ると心臓が〝空打ち〟になり、一気に状態が悪化することがあります。だから個々の状態に応じた分娩方法の選択が必要です。
さて、分娩を管理するにあたっては、細かな点で調整すべきことが多々あります。例えば点滴の量です。分娩中は様々な状況に備えて静脈に点滴を入れています。分娩中は食事や水分を取ることができないので、必要な水分を点滴で補充しますが、その仕方にも工夫が必要で、ポンプを使って必要量を計算し、こまめに調整します。
抗生剤の使い方にも細心の注意が必要です。
例えば弁膜症のような病気では、心臓に細菌がつきやすくなります。分娩では膣などの産道にどうしても傷がつきやすく、そこからわずかに侵入する細菌が血液に乗って心臓にたどり着き、心臓の中で感染症を起こすのです。心内膜炎といいます。
心内膜炎は心不全を起こすことのある重篤な病気で、心内膜炎を予防するため分娩中、定期的に抗生剤を慎重に投与する必要があります。
心臓の働きに問題がなく分娩を迎えた場合でも、油断は禁物です。例えば、分娩で出血が多かったとします。普通はまず少なくなった血液を体中に巡らせるために脈拍数を増やします。そうすることによって血圧を維持するのですが、その働きが正常ではない場合があります。
この場合、出血で少なくなった血液を有効に体に回していくことができず、一気に血圧が低下し、ショック状態になってしまうのです。
通常通りの経過では心臓の病気が影響を与えることがなくても、ひとたびなにか起きると、それに心臓がうまく対応できないことがあるのです。診療ガイドラインでは、中等度以上のリスクがある患者さんの分娩は経験のある循環器科のある施設で行うことを勧めています。
しかし、軽症の場合でも血液循環に関するさまざまな状況に対応できる施設での分娩、または、すぐにそういった施設へ搬送できる産科施設での分娩がより安心かもしれません。

いろんな科の力を合わせて

妊娠、分娩の管理は産婦人科の専門で、国立循環器病研究センター産婦人科では心臓病がある患者さんの分娩を年間100例近く行っています。
産婦人科医は、心臓のこともよく分かっていると思います。それでも、心臓のことは循環器が専門の医師の方が詳しく分かっています。逆に循環器の医師は妊娠や分娩に詳しくはありません。ですからいろいろな分野の専門家が集まり、それぞれの得意分野を生かしワンチームとして一人ひとりの妊婦さんを支えていくことが大切です。
無痛分娩や帝王切開のときには、心臓に配慮した麻酔が必要で、麻酔科もチームに入ってもらわなくてはなりません。生まれた赤ちゃんの診療を行う新生児科も大切なチームの一員です。さらに、助産師、看護師、ケースワーカー、臨床心理士など多くの職種の専門家が力を合わせて安全な妊娠、分娩管理を行うのです。まさにワンチームなのです。

多くの職種の専門家が力を合わせて

前もってカウンセリングを受けましょう

最初の問いかけに戻ってみましょう。「私は赤ちゃんが産めるんですか?」、「私は妊娠してはいけないんですか?」。どちらの質問にも妊娠前にお答えしておく必要があります。
例えば妊娠してから、妊娠を続けるとお母さんの命が危険にさらされると分かった時、やむをえず妊娠を中断しなくてはなりません。このことが与える心理的、肉体的ダメージはとても大きなものです。
前もって、妊娠したらどうなるのかをきちんと知っておいてもらうことは本当に大切なことなのです。
「こんなはずじゃなかったのに」、「そんな話、聞いてない」というのは不幸なことです。国立循環器病研究センター産婦人科では、妊娠前の患者さんに〝妊娠前カウンセリング〟をしています。
それぞれの心臓の状態を検査して、「妊娠したらこんな管理をしますよ」、「こういう感じで進んでいきますよ」、「こんな難しいことがありますよ」、「こんな点に注意していけば元気な赤ちゃんが産めますよ」、「産んだあとの育児はこんなふうにしましょう、ご主人とおばあちゃんにはお家で授乳などを手伝ってもらえるように準備しておきましょう」など、妊娠から育児までの全体を踏まえたお話をしています。
妊娠するにしても、しないでおくにしても、とにかく知っておくことが肝心です。そしてしっかりとしたイメージを持っての妊娠に臨むことが大切です。カウンセリングを通じて私達はきちんとそれにお答えしたいと思っています。

おわりに

妊娠、分娩は人生の大きなイベントです。基本的にはお祝い事です。ですから不幸な気持ちになってほしくありません。「新しい命」を授かるという覚悟と正しい知識を持って妊娠してください。後は私達がしっかりと支えていきたいと思っています。

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