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[137] 心臓・血管・脳を診る最前線 ─ 画像診断と心臓レプリカの話 ─

「知っておきたい循環器病あれこれ」は、「公益財団法人 循環器病研究振興財団」が循環器病に関する最新情報を分かりやすく解説した発行物を、国立循環器病研究センターが許可を得てHTML化したものです。
文章・図表・イラスト等の転載・引用のご相談は循環器病研究振興財団までご連絡ください。

1. ここまできた画像診断
国立循環器病研究センター 放射線部 部長 福田 哲也

2. 〝心臓そっくりさん〟への期待 ... 子どもの心臓手術に威力
国立循環器病研究センター
教育推進部・小児循環器内科 部長 白石  公

画像診断装置の性能はアップしている

循環器心臓・血管・脳を診る最前線─ 画像診断と心臓レプリカの話 ─

もくじ

  1. ここまできた画像診断
  2. 〝心臓そっくりさん〟への期待...子どもの心臓手術に威力

1. ここまできた画像診断

循環器病は、かみくだいて言うと血液を全身に循環させる心臓や血管が正常に機能しなくなる病気のことです。それには高血圧、心疾患、脳血管疾患、動脈瘤、動脈解離などがあります。

心疾患には心筋梗塞、狭心症、弁膜症、心不全などがあり、脳血管疾患には脳梗塞、脳出血、くも膜下出血などがあります。心筋梗塞は日本人の死因の第2位、脳梗塞は3位ですから、適切、かつ迅速に診断し、もっとも適した治療につなげていくことが求められています。

その診断の手段には、身体的所見(診察した結果、得られる不整脈、体温、貧血など)、血液検査、生理機能検査(心電図や超音波検査など)があります。これらと並んで循環器病の診断に極めて大きな役割を果たしているのが、放射線機器による画像診断です。

まず、どんな場合にどの装置が活躍するかを解説します。

大型放射線機器とは

放射線機器とは放射線を使って画像診断する装置のことです。循環器病の検査で特に重要なのは大型放射線機器で、これにはCT(コンピュータ-断層画像)、MRI(磁気共鳴画像)、核医学検査、血管造影検査などがあります。

CTやMRIの検査を受けたことがある方は、少なくないと思います。
CT、MRIとも寝台に寝ているだけで検査が終わる「単純撮影」(単純CT、単純MRI)と、病変を診断しやすくするため造影剤を静脈内に投与して行う「造影検査」(造影CT、造影MRI)とがあります。

それぞれの検査について説明しましょう。

CT〈図1〉

X線を使って体の断面を見る、つまり〝輪切り像〟にしてみる検査です。ドーナツ型の部分のX線発生装置が回転して撮影します。最近はこの回転速度が高速になって、心臓など常に動く臓器を詳細にとらえることが可能になりました。

図1 マルチスライスCT
図1 マルチスライスCT

体内の様々な部位の病巣を発見でき、特に心臓、大動脈、気管支、肺などの胸部、肝臓、腎臓などの腹部の臓器を描き出すのに優れています。

図1 マルチスライスCT

「単純CT」と「造影CT」では、画像はどう違うのでしょうか。

〈図2〉と〈図3〉を見比べてください。〈図2〉の単純CTでは、動脈硬化による動脈の壁の石灰化などの変化が診断しやすい画像になります。一方、〈図3〉の造影CTでは、動脈をはじめとする血管が白く映るので、血管の中の状態が診断しやすくなります。

図2 単純CT画像

図2 単純CT画像

図3 造影CT画像

図3 造影CT画像

MRI〈図4〉

大きな磁石による強い磁場とラジオ放送に使うような電波を 使って画像にする検査です。そのため放射線被ばくがなく、小児でも安心して検査を受けることができます。骨や空気による影響が少なく、頭蓋骨に囲まれた脳、周囲を脊椎(せきつい)に囲まれた脊髄(せきずい)などの診断にも優れています。撮影した物質による違いを画像化しやすいのも特長です。

ただし、CTと比べ時間がかかり、検査場所が狭いため、狭い場所に閉じ込められるとパニック状態になる閉所恐怖症の方には向かないという欠点もあります。

図4 3テスラMRI

図4 3テスラMRI

核医学検査〈図5〉

患者さんに投与した放射性薬剤の体内分布を画像化し、診断する検査です。画像の細かさに難点がありますが、調べたい部位の機能を画像化しやすい点で優れています。核医学 検査には、ガンマ線を放出する薬剤を用いるSPECT検査と、陽電子を放出する薬剤を使うPET検査があります。

図5 核医学検査SPECT CT

図5 核医学検査SPECT CT

血管造影検査〈図6〉

動脈や静脈にカテーテル(細い管)を挿入して行う検査で、血管を撮影するだけでなく、カテーテルを通じ病変を治療することもできます。

基本的な検査の役割を説明しましたので、どんな場合に、どの検査が、威力を発揮しているかについて話を進めます。

図6 血管造影装置

図6 血管造影装置

心筋梗塞、狭心症の場合

心筋梗塞は、心臓へ血液を送る冠動脈という血管が急に詰まり、心臓の細胞が壊死(えし)することを言います。狭心症は、冠動脈が狭くなって、心臓が十分に活動するのに必要な酸素が供給されなくなる状態のことです。

CT検査では、ヨード造影剤を使用し、撮影された心臓 の厚さ1㎜の〝輪切り像〟を積み重ねて冠動脈の三次元画 像を作成します〈図7〉。

図7 冠動脈のCT三次元画像(冠動脈に明らかな狭窄はなく正常)

図7 冠動脈のCT三次元画像

三次元CT画像は、撮影して得られたデータをコンピューターで特殊な画像処理をしたもので、体内のより細かな情報を得ることができ、しかも特定の部位に限って三次元的に描き出すことも可能で、循環器病の診断に極めて有力です。

これでカテーテルを心臓へ挿入することなく、ひじや手首から造影剤を注射するだけで、冠動脈の狭窄(きょうさく)や閉塞(へいそく)を見ることができるようになりました。

通常、CT撮影の際には、一時的に息を止めてもらい、臓器の動きによる画像のブレを防ぐようにしますが、冠動脈を撮影するには一時的に息を止めるだけでなく、動いている心臓も止まっているように撮影しなければなりません。そのため、心電図で心臓の動きをとらえながら撮影します。

CTによる冠動脈撮影で病変が見つからなければ。高い確率で冠動脈は〈図7〉のように正常です。しかし動脈硬化などによって冠動脈に石灰化が起きていると、血管が狭くなった狭窄病変があるように映ってしまうことがあり、この検査結果が疑われる場合は、血管造影でさらに詳しく診ていく必要があります。

以前は、X線発生装置が1回転する間に1断面の画像データが得られていましたが、最近のCTでは、X線をとらえて画像化する検出器が256列または320列と多数設置されており、X線発生装置が1回転する間に256または320画像の断面データを得ることができるようになりました。

X線発生装置の回転速度も、今は1回転0.2~0.3秒とぐっと高速化し、心臓の動きにもよく対応できるようになりました。

MRIは検査に時間がかかり、心筋梗塞の緊急検査として行われることはまずありません。しかし慢性の狭心症、心筋梗塞など虚血性心疾患の場合、カテーテル治療や手術のように体への負担が大きい治療をするか、それとも経過観察をすべきかを判断する際に重要となる心臓の筋肉の機能を客観的にとらえるのに、MRIは威力を発揮します。

造影剤を用いて、これまでに起きた心筋梗塞などでどれほど心筋が障害を受けたかを断面にして表示することもできます。また超音波検査と同様、心臓機能を解析することも可能です。

核医学検査では、SPECTで心臓の機能を描き出すことができます。
運動時と安静時では、必要とするエネルギーや酸素の量が異なります。
それが正常な状態なのか、それとも心筋が血液不足になっているのか、すでに心筋に障害が起きているためなのか...などを確かめるため、SPECT検査では患者さんに実際に運動してもらって薬剤を注入し、撮影して描き出します。

弁膜症の場合

心臓弁膜症は、心臓に備わった弁に機能障害が生じる病気です。心臓の弁は4種類あり、それぞれの弁に機能障害が起こる可能性があります。
心臓弁膜症はタイプに応じ、心不全症状(疲れやすい、呼吸が苦しい、浮腫など)や失神などが現れます。内科での治療が行われ、重症の場合は手術も検討されます。

大動脈弁狭窄症の治療は、胸を開けて直接、大動脈弁を取り替えたりする手術や、カテーテルを通じて大動脈弁を取り替えたりする「経カテーテル大動脈弁置換術」があります。大動脈弁狭窄症は、高齢者やこの狭窄症の下地となる病気を持っている方が多いため、経カテーテル大動脈弁置換術は体への負担が少ない治療として注目されています。

今まで、大動脈弁狭窄症の診断法は超音波検査が中心でしたが、弁が石灰化していると見えにくかったり、検査者の技量によって見えたり、見えなかったりすることがありました。

最新のCTでは心電図と連動して撮影し、高い空間分解能(細かく詳しく見えること)によって、弁の状態や数、動きを描き出すことが可能になりました。これらの画像はカテーテルによる治療前に、本番を想定して手順を検討する予行演習(シミュレーション)にも使われています。

大動脈解離の場合

大動脈解離は、内膜、中膜、外膜の三層構造になった大動脈の壁の内膜が裂け、そこから血液が中膜側に流れ込み、膜と膜の間に隙間ができる、つまり解離が起こる極めて危険性の高い病気です。

動脈硬化、高血圧などを原因として急激な胸痛、背中の痛みなどで発症し、大動脈の破裂、出血や脳梗塞、さらに腸管、腎臓、脊髄、下肢などに血液が流れない状態(虚血)となります。特に上行大動脈に解離が起きた場合、24時間以内に死亡する確率が高く、直ちに適切な診断と治療への橋渡しが必要です。

大動脈解離は造影剤を使うCTで診断でき、解離の部位、破裂の有無、大動脈から枝分かれした動脈の狭窄、閉塞による臓器への血流低下状態も鮮明に描き出します。造影CTは治療計画や手術前の予行演習にも使われています。

近年、大動脈解離の治療として、カテーテルを通じてステントグラフト(網状の筒)を挿入して破裂を防ぐ「ステントグラフト内挿術」が広く行われています〈図8〉。

図8 大動脈が解離した部分に設置されたステントグラフト(白い網目の部分)

図8 大動脈が解離した部分に設置されたステントグラフト(白い網目の部分)

大動脈瘤の場合

大動脈瘤は、大動脈が正常な太さの2倍以上にふくれ、ちょうど〝こぶ〟(瘤)のようになった状態で、〝こぶ〟が胸部では50㎜、腹部では45㎜を超えると破裂して大量出血し、命にかかわることがあり、慎重な経過観察が重要です。大動脈瘤はCTで容易に診断でき、経過の観察は多くの場合、造影剤を使わないCT検査で行われています。

治療は、従来の手術法に加えて、大動脈解離のところで説明した「ステントグラフト内挿術」が広く行われています。

造影剤を使う造影CTは、大動脈瘤の診断だけでなく、治療法の選択、治療後の経過観察、さらに、手術後、〝こぶ〟の中に血流が残存(エンドリークといいます)しているかどうかの診断や、治療計画にも使われています。

脳梗塞の場合

脳梗塞は脳の血管が細くなったり、血管に血の塊(血栓)が詰まったりして、酸素や栄養が送られなくなり、脳の細胞が障害を受ける病気です。細い血管が詰まって起こるラクナ梗塞、脳の血管に狭い場所ができ流れてきた血栓が詰まるアテローム血栓性脳梗塞、心臓にできた血栓が脳血管に流れて詰まる心原性脳塞栓症などがあります。

脳梗塞の診断にCT、MRI検査は活用されています。CTは初期の脳梗塞の診断には限界があるとされていますが、MRIは発症間もない脳梗塞を判断する撮影に優れています。脳梗塞の初期に、脳の組織が腫れたような状態によって生じる拡散障害をとらえることができ、初期の脳梗塞の診断に欠かせない重要な役割を果たしています。

MRIの画像は、急性期の薬物治療や、カテーテルを使って血栓を除去する手術ができるだけかどうかの判断にも使われています。

脳梗塞の緊急検査としてMRI検査と同時に行われる、脳内の血管の状態を把握するMRアンギオグラフィー(血管撮影)によって脳内の血管の狭窄、閉塞を診断することができます。また脳内の血流をCT上の画像としてあらわす最新の試みも行われています〈図9、図10〉。

図9 MRI拡散強調画像 (早期の脳梗塞部分や血流が低下した部分をはっきり画像化できる=画像の右手部分)

図9 MRI拡散強調画像

図10 造影CTから作成した脳灌流画像(脳梗塞で血流が低下した部分が黒~紫色で表示されている=画像の右手部分)

図10 造影CTから作成した脳灌流画像

肺高血圧症の場合

慢性血栓塞栓性肺高血圧症は、肺動脈に詰まった血栓がきっかけで起きた慢性的な肺高血圧症のことで、治療ができなければ最終的に右心不全となって死亡する予後不良の病気です。肺高血圧症にはいくつかのタイプがありますが、診断には画像検査が欠かせません。

これまで薬物療法か、血栓内膜摘除術という手術をするしかなかったのですが、最近は、カテーテルの先端にバルーン(ゴム風船)を取り付けた「バルーンカテーテル」を使う、体への負担が少ない治療法が注目されています。

その治療を行うための適応判断に核医学検査、造影CT検査が行われます。CTで肺動脈内の血栓をみることができます。またCTにはヨードマップ画像といって、造影剤が肺のどの部分に分布したかを画像にして、肺内の血流分布を間接的にみることができます。

最新のCTで撮影することで亜区域枝という細かな部分の血栓まで詳細にみられるようになり、肺動脈バルーン形成術という治療をするかどうかの判断に必要な画像となっています。

2. 〝心臓そっくりさん〟への期待...子どもの心臓手術に威力

 画像診断に続き、ここでは研究開発の最前線の話題を取り上げます。
子どもの心臓病の中でも患者さんがもっとも多い「先天性心疾患」を正しく診断し、患者さん一人一人により良い手術を行うために開発している、3Dプリンティング技術を応用した「超軟質精密心臓レプリカ」を紹介します。

生まれつきの心臓病「先天性心疾患」とは?

先天性心疾患は、赤ちゃん100人に1人が発症します。年間1万人を超える赤ちゃんが先天性心疾患を患うことになります。

この心臓病の主な特徴は、子どもの心臓がたいへん小さいこと、心臓の形が複雑で一人一人異なることです。そのため、心臓手術を成功させるには、患者さんの複雑な心臓の形を小児科医が正しく理解し、心臓外科医に正しく伝えることがたいへん重要になります。

先天性心疾患の画像診断

この心臓病の診断には、これまで様々な検査が用いられてきました。
心臓の影を診るだけの胸部レントゲン検査(X線検査)に始まり、心血管造影検査や断層心エコー検査が発展して心臓の動きや血液の流れを診ることができるようになりました。

しかし、これらの検査は心臓の断面を診る二次元の検査です。そのため、医師は断面の画像から実際の心臓の立体的な姿を頭の中で組み立てなければなりませんでした。

最近、「画像診断」で紹介したマルチスライスCT検査やMRI検査などの三次元の検査ができるようになり、様々な病気の診断と治療に役立つようになりました。ただし、形が複雑な先天性心疾患の手術には、これら三次元の検査を用いても十分とは言えません。なぜなら、映し出される画像は、心臓に影をつけただけの見かけの立体画像に過ぎないからです〈図A〉。

もしも本物の心臓とそっくりな大きさと感触を備えた模型を作ることができれば、画像診断の欠点を補えるだけでなく、模型を使って手術の予行演習(シミュレーション)もできるようになります。

図A 三次元CT検査で映し出された画像(左から胸部レントゲン検査、断層心エコー検査、心血管造影検査、マルチスライスCT検査による画像)

図A 三次元CT検査で映し出された画像

3Dプリンターと医療

このところ話題の3Dプリンターは、日本人が原理を発明しました。
光で固まる柔らかい樹脂に、コンピューターで制御されたレーザ光線を当てて、薄いおせんべいのような形を作り、何層にも積み重ねて立体的な図形を作る技術です〈図B〉。

図B 心臓レプリカができるまで

図B 心臓レプリカができるまで

最近では、医療の分野でも応用され、骨や関節の手術では、3Dプリンターで模型を作って手術の計画が立てられています。しかし、骨や関節の手術とは違い、子どもの心臓手術に役立てるには、正確で本物の心臓に近い柔らかい模型を作らなければなりません。

そのために、画像の調整、材料の開発、3Dプリンティングの方法など、すべての面で高い技術が必要となります。

先天性心疾患を診る心臓レプリカ

私たちは先天性心疾患の手術の予行演習のために心臓模型(レプリカ)を作ることを2001年に思い立った時から、正確な画像が撮れるマルチスライスCT検査をもとに、精密3Dプリンターである光造形法を使って開発を進めてきました。

2009年からは京都のベンチャー企業とともに、光造形と真空注型という技術を組み合わせて心臓の内部までも細かく再現できる「超軟質精密心臓レプリカ」を世界に先がけて開発しました。

〝心臓そっくりさん〟で手術の予行演習!

この心臓レプリカは、患者さんの心臓を忠実に再現しているだけでなく、メスやハサミを使って切ったり、針と糸を使って縫ったりすることができ、患者さんの手術の予行演習(シミュレーション)ができます。
さらに、手術で絶対に切ることができない部分、例えば厚い筋肉でできた心室を切り開いて、様々な角度から心臓の内部を確かめることもできます。

もしも、手術を始めて患者さんの心臓を開けたとき、心臓の形が予想とは違っていたら、外科医は大きなストレスを感じてしまい、場合によっては、患者さんの命に関わる事態に陥ります。

心臓レプリカを活用すれば、前もって安全な手術計画を立てることができ、たいへん役に立ちます。ある心臓外科医は、「患者さんの心臓レプリカを手に入れることは、学生時代のテスト前夜に試験問題を手に入れるようなものだ」と言いました。

まさにその通りだと思います。もちろん答えは自分で考えねばなりませんが、予め勉強して答えを準備できるので、試験当日は迷うことなくスラスラと解答を書けて、高得点が取れるというわけです。

手術の開始と同時に、心臓外科医は前もって頭に入れた最適な手術を迷うことなく手がけることができ、患者さんの命を救うことにつながります〈図C〉。

図C 心臓レプリカを使った手術シュミレーション

図C 心臓レプリカを使った手術シュミレーション

心臓レプリカのこれから

今、私たちは、この技術をできるだけ多くの患者さんに使ってもらえるよう努力を続けています。3Dプリンターを使った臓器模型は、これまでは医師や看護師の教育ツールとしてのみ認められていましたが、2018年秋に「立体臓器模型」という名前で医療機器として認められました。

軟質で精密な心臓レプリカを作るには、数十万円のお金がかかりますが、この費用が医療保険で支払われるよう、臨床治験の準備を進めています。

このレプリカを作るには、約1週間かかります。私たちは、京都の精密機器企業、大阪の化学企業をとともに、柔らかい臓器模型を作るために「紫外線硬化式インクジェット3Dプリンター」を開発しました。約2日間で心臓レプリカができ上がり、費用もこれまでの半分以下になります。今後はこの新しい方法を発展させてゆく予定です。

最後に

以上が、私たちが開発している「超軟質精密心臓レプリカ」です。この技術が、世界中の子どもたちの心臓手術に少しでも役立つよう、正確で早く、そしてできるだけ安価でできるよう、今後とも努力いたします。

参考:子どもの心臓病について、詳しくは、「循環器病あれこれ」シリーズの「27号:お子さんが心臓病と言われたら」、「73号:子どもの心臓病」、「119号:心臓病の子どもが大人になったら ―成人先天性心疾患の注意点―」をご覧ください。公益財団法人循環器病研究振興財団のホームページhttp://www.jcvrf.jp/で読むことができます。

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