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[133] 循環器病の予防 鍵は10項目 ─ 健康長寿を目指す ─

「知っておきたい循環器病あれこれ」は、「公益財団法人 循環器病研究振興財団」が循環器病に関する最新情報を分かりやすく解説した発行物を、国立循環器病研究センターが許可を得てHTML化したものです。
文章・図表・イラスト等の転載・引用のご相談は循環器病研究振興財団までご連絡ください。

国立循環器病研究センター
予防健診部医長 小久保 喜弘

循環器病対策...血圧を制することが第一歩

もくじ

  1. 高血圧にならないために
  2. 動脈硬化にならないために
  3. がんにならないために
  4. しっかり睡眠をとる
  5. 入浴について
  6. 食べ順が大事
  7. 間食をとりすぎない
  8. 疲れをため込まない
  9. 家庭血圧の重要性
  10. 年に1回の健診を受ける
  11. かかりつけ医をもつ

循環器病にならないために心がけることは何でしょうか。それを科学的根拠に基づいてまとめました。科学的根拠としたのは、病気の予防・治療の指針であるガイドラインで、それぞれのガイドラインは国内外の論文を徹底的に調べ、確からしいと判断できた項目をまとめたものです。

今回は、高血圧と動脈硬化性疾患予防の二つのガイドラインで重視されている10の項目を中心に話を進めます。これら10項目をしっかり実行していただければ、他の病気のガイドラインでもその多くが重なりますので、高血圧や動脈硬化性疾患ばかりではなく、さまざまな疾患予防も心がけることになり、ひいては健康長寿を目指すことにつながると考えます。

世の中には実に多くの健康情報があふれていますが、私たち人類に普遍的ともいえるこれら10項目を、まず心がけていただければ何よりです。

高血圧にならないために

血圧が高いと循環器病になりやすく、循環器病にかかった方のうち、男性で約5割、女性で約3割の方が、血圧が高いことが要因で発症していることが分かりました。ですから血圧が循環器病の最大の危険因子であり、血圧を制することが、循環器病を制する第1歩といえます。

日本の高血圧ガイドラインの生活習慣改善の指針には7項目が書かれています〈表1〉。それは、減塩(1日6g未満)、野菜・果物を積極的にとる、魚を多くとる、適正体重の維持、運動習慣、適正飲酒、禁煙(受動喫煙を受けない)の7項目からなります。

表1 生活習慣の改善目標:高血圧治療ガイドライン2014
  • 減塩:1日6g未満
  • 野菜果物を積極的に摂取※1
  • 飽和脂肪酸の摂取を控え、魚(多価不飽和脂肪酸)を積極的に摂取
  • 減量:適正体重を維持
  • 運動習慣:中程度の強度の有酸素運動※2を中心に定期的に(毎日30分以上を目標)※3
  • 飲酒:男性1合、女性・やせは0.5合まで
  • 禁煙(受動喫煙を含む)

※1 糖尿病、腎障害の治療などを受けられている方は主治医に相談する。
※2 有酸素運動:ジョギング、ウオーキングなど、呼吸で酸素を取り込みながら、持続的に行う運動。
※3 心血管病のない人が対象。

高血圧改善のための生活習慣改善ポイント:7項目


世界中の主要各国に高血圧ガイドラインがあり、高血圧予防のための生活習慣改善のポイントは、人種を超え、文化を超えてほぼ同様な指標になっています。つまり、高血圧予防の生活習慣改善のポイントは、ここに挙げた7項目が私たちに普遍的なものであり、目指すべき目標です。

塩分のとりすぎは、高血圧をはじめ循環器病や胃がんなどのリスクを高めます。高血圧ガイドラインでは、高血圧患者さんの減塩目標が1日6g未満となっています。

出来合いのお惣菜やお弁当、外食には塩分が多く含まれているため、気付かないで過剰に塩分を摂取しがちになります。また、調理された料理に醤油やソースを添加すると過剰な塩分を摂取してしまいますので、かけ醤油は控えた方がよいです。

国立循環器病研究センターは、素材のうまみや天然だしを活かしたおいしい減塩食を開発し、「国循のおいしい!かるしおレシピ」として出版し、その普及に努めています。

高齢の方は味覚が鈍くなるので、味付けの濃いものを摂取しがちになります。味付けを塩味だけではなく、お酢やバルサミコ(酢の一種)、かんきつ類などの酸っぱい味付けや香辛料を使った味付けなどにすると、味にメリハリがつき、減塩にもつながります。

くさみ消しとして粉山椒はとても強力で、かば焼き風に粉山椒を使うと魚の苦手な方もいただけるようになります。カレー粉を使うと料理の幅が広がりますが、固形カレーには塩分が入っているので要注意です。

野菜や果物は、ビタミンCなど抗酸化ビタミン、体によいミネラル(カリウム、マグネシウム)、食物繊維が豊富です。野菜・果物をよくとると血圧が3~4mmHg下がることが分かっています。野菜をとる頻度が高ければ高いほど、さらに血清ビタミンC濃度が高ければ高いほど、脳梗塞と脳出血の発症率は低くなります。果物を十分とると、循環器病死亡の危険度が下がります。治療中の方はかかりつけ医に従ってください。

果物には太る、血糖が高くなるイメージがありますが、そのような研究結果はほとんど見かけません。欧米では食事の中で野菜と一緒にとることが多いのに対し、日本では食後のデザートでいただくことが多いので、そうしたイメージを持ってしまうのかもしれません。リンゴであれば1個、バナナであれば2本、キウイフルーツであれば2個が1日の目安量です。

魚は脂質に多価不飽和脂肪酸という脂肪酸が含まれており、虚血性心疾患の予防や、血圧改善に関連しているとみられています。魚の摂取量と心筋梗塞死亡率の関係を調べた多くの国の調査によると、魚を多くとるほど心筋梗塞死亡率が低下していますので、魚を多く摂取すれば寝たきりや認知症の予防も期待できます。塩加減に気を付けて魚を積極的に摂取するとたんぱく質もとれ、健康長寿につながる食生活といえます。

肥満は循環器病、高血圧のリスクを高めます。これまでに発表された多くの論文を合わせて分析した研究では、約4㎏の減量で約4mmHgの血圧低下が認められています。

一方、やせ願望にも問題があります。戦後以降、日本人の特に若い女性で、やせ傾向が続いています。やせたお母さんから生まれる赤ちゃんは将来、メタボリックシンドロームになりやすいこと、高齢期を迎える時に寝たきりや認知症のリスクが高まることが分かっています。

また、高齢者の無理なダイエットは筋肉を喪失しやすいことも分かってきており、不適切なダイエットにはくれぐれも注意が必要です。

運動は定期的に(できれば毎日30分以上)行うことが目標です。しかし、運動はもっとも実践しにくい生活習慣改善の一つで、いかに日常生活の中で身体活動量を増やすかがカギとなります。

1階から3階に上がるときに階段を利用するよう心がける、歩いて10分程度の距離は車を使わず歩くなど、ちょっとしたことを実践することで身体活動量は増えます。ただし、高血圧の患者さんが激しい運動をすると、運動中の血圧上昇がいちじるしくなるので慎重に行うべきです。

適正飲酒量は日本酒に換算して男性で1合、女性で0.5合となっており、ビールでは中瓶1本、ウイスキーではダブル1杯、ワインではグラス2杯程度にそれぞれ相当します。この適正飲酒を超えると過剰飲酒と呼ばれ、高血圧、脳卒中、心房細動などのリスクが高まります。お酒は百薬の長とはいえ、ほどほどに、できれば「休肝日」を設けるとよいでしょう。飲めない方は無理して飲まないようにしてください。

喫煙はすべての疾患のリスク因子であるといっても過言ではありません。せっかく健康を意識して体によいことをしても、その効果は喫煙によって打ち消されてしまうことも、しっかり覚えておく必要があります。

例えば、果物や食物繊維の多いものの摂取は循環器病の予防に期待できますが、喫煙者にはそれらの予防効果が期待できません。体によいことよりも喫煙の悪いことの方の影響力がいかに大きいかが分かります。

喫煙とメタボリックシンドロームの循環器病発症への影響力をみた報告では、男性の場合、喫煙とメタボリックシンドロームが循環器病発症にほぼ同じ影響力がありました。一方、女性の方は喫煙率が低いので喫煙の影響力が男性ほどではありませんが、メタボリックシンドロームの女性が喫煙すると循環器病発症リスクが非常に高くなることが分かりました。

自分で禁煙がなかなかできない場合、禁煙外来で禁煙のお手伝いをしておりますので、私たちと力を合わせて一緒に禁煙に取り組むこともできます。

動脈硬化にならないために

動脈硬化は、心臓病、脳卒中、認知症、下肢動脈閉そく症などさまざまな疾患を起こす病気です。

動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017年版に掲載されている生活習慣の指針〈表2〉は、高血圧ガイドラインの生活習慣改善の指針の内容と重なることが多く、重なっていないが重要なのは、大豆製品を多くとる、食物繊維を多くとる、加工食品の大量摂取を控える―の3項目です。

つまり、動脈硬化性疾患の予防には、高血圧ガイドラインの生活習慣改善の指針の7項目に、これら3項目を合わせた10項目を実践することが大切なポイントです。

大豆を多くとると総コレステロール、LDLコレステロールといった「悪玉コレステロール」が1割ほど下がり、HDLコレステロールといった「善玉コレステロール」がわずかに増えることが、過去の論文を総合的に解析して分かりました。

大豆にはイソフラボンをはじめ体によい成分が含まれています。イソフラボンだけ、大豆たんぱく質だけではその効果が低く、大豆を丸ごと摂取するのが効果的と分かりました。

わが国で行われた大規模な調査で、大豆製品をとればとるほど女性では脳梗塞、虚血性心疾患の発症リスクが下がり、特に閉経後でそれがはっきりみられました。

大豆製品は豆腐、納豆、みそ、煮豆などいろいろあります。中でも納豆、みそなど発酵性大豆製品を多くとると高血圧になりにくいという報告もありました。しかし、とり過ぎは塩分過剰になるので注意が必要です。

イソフラボンは大豆にしか含まれていない成分なので、尿中に排せつされるイソフラボンを測定すれば、どれだけ大豆製品を摂取しているかが分かります。それをうまく利用して、多くの国でイソフラボン排せつ量と心筋梗塞死亡率の関係を調べると、イソフラボン排せつ量が多いほど、つまり大豆製品を多くとるほど心筋梗塞の死亡率が低いという結果になりました。

最近、がんの危険度も低くなることも分かってきました。大豆製品をまんべんなく積極的に摂取することは、魚と同様にたんぱく質もとれて、健康寿命を延ばすのに貢献するといえます。

表2 動脈硬化性疾患予防のための生活習慣の改善
  • 禁煙し、受動喫煙を回避する
  • 過食と身体活動不足に注意し、適正な体重を維持する
  • 肉の脂身、卵、果糖を含む加工食品の大量摂取を控える
  • 魚、緑黄色野菜を含めた野菜、海藻、大豆製品、未精製穀類の摂取量を増やす
  • 糖質含有量の少ない果物を適度に摂取する
  • アルコールの過剰摂取を控える
  • 中等度以上の有酸素運動を毎日合計30分以上を目標に実施する

動脈硬化性疾患予防のための生活習慣改善ポイント:高血圧改善ポイントの他に3項目

食物繊維を多く摂取することも、循環器病の予防に大切です。特に水溶性の食物繊維は日常摂取しにくい栄養素です。海藻、キノコ類、根菜類、果物に水溶性食物繊維が含まれていますので、積極的に摂取するよう心がけてください。ご飯もときには玄米、分つき米、雑穀米にするとよいです。

動脈硬化予防で大事なのは、どんな脂肪をとるかです。まず大切なのは、肉の脂身、バター、ショートニング(食用加工油脂の一種)に多く含まれている飽和脂肪酸の摂取量を減らすことです。

加工食品を摂取すると飽和脂肪酸の摂取も増えてしまいます。飽和脂肪酸を減らすことで循環器病が17%減少し、さらに飽和脂肪酸を魚などに多く含まれる多価不飽和脂肪酸の摂取に置き換えることで循環器病が27%減少することが、これまでの多くの論文を総合して解析した結果わかりました。

果糖を含む加工食品も多くの食品に含まれています。なかでも「異性化糖」と呼ばれる甘味料のとりすぎが問題となってきました。異性化糖はブドウ糖と果糖が主成分の液状の糖で、トウモロコシなどから作られ、清涼飲料水、ジュース、シロップなど多くのものに使われています。

最近の研究によると、異性化糖を大量にとり続けると血液中の血糖の代謝に異常が生じる耐糖能(たいとうのう)障害や、高血圧になる危険性が高くなることが分かってきました。過去の多くの論文を総合した解析では、加糖飲料 を毎日コップ1杯ほど摂取している人は、摂取していない人と比べて糖尿病になるリスクが約10%高い結果となりました。世界保健機関(WHO)は、2016年から加糖飲料をとらないよう推奨しており、欧米でその実践が始まっています。

がんにならないために

〈表3〉の「がん予防12か条」をご覧ください。1~8条は高血圧ガイドラインとほぼ重なっています。9~12条はがんの情報に関するものです。

がんの危険因子の多くは、循環器病の危険因子と重なっていることもあり、がんを発症された方は、循環器病が発症しないよう十分に注意する必要があります。また、元々潜在的にがんがあり、それが原因で循環器病が発症することも最近、分かってきました。循環器病を発症して落ち着かれたら、がん検診を受けられるのもよいと思います。

表3 がん予防12か条

しっかり睡眠をとる

睡眠不足によって血圧上昇や、循環器病発症のリスクが高まります。なかなか寝付けない、途中で目覚めてしまう、朝早くから目覚めてしまうといったことで寝不足を感じておられる方は、かかりつけ医に相談するとよいでしょう。

自分では寝ているつもりでも寝不足の状態が続く場合、睡眠時無呼吸症候群の可能性もあります。家族から、いびきが大きい、睡眠中に呼吸が止まることがあると言われた場合には、まずかかりつけ医に相談してください。

入浴について

入浴には水圧の作用、温熱の作用、そして浮力の作用があります。入浴で、血管やリンパ管が圧迫され、血液やリンパ液の流れが改善します。また、温熱効果により新陳代謝が活性化され、老廃物の除去が期待できます。さらに、湯につかると浮力が働くため、体全体の筋肉をリラックスさせる効果が期待できます。

このように、入浴により健康増進を図ることが可能ですが、入り方を間違えると大変危険になります。特に寒い冬にお風呂に入るときには、脱衣室と浴室を温めておくことです。一般的な注意として、湯の温度は熱すぎない程度に、長時間つからない、首までつからない、多量飲酒時、発熱時、血圧が高い時には入浴を控えてください。また、入浴中に脱水症状を起こさないよう補水を十分行ってから入浴してください。

食べ順が大事

日本人の健康な人と糖尿病患者を対象とした研究で、主食(ごはん)を先に食べ、15分後に主菜(魚)を摂取したグループと、逆に主菜(魚または肉)を先に食べて15分後にごはんを食べたグループを比較すると、主菜が先、ごはん後のグループの方が食後の血糖上昇が抑制されていました。

また、米国人の糖尿病患者を対象とした研究で、(1)炭水化物(パンとオレンジジュース)を最初にとり、10分後にたんぱく質(皮なし鶏肉)と野菜を食べる(2)たんぱく質と野菜を最初にとり、10分後に炭水化物をとる、(3)サンドイッチ(鶏肉と野菜)とオレンジジュースを半分とり、10分間後に残り半分を食べる―の3グループに分けて比較しました。その結果、血糖上昇が抑えられたのは最後に炭水化物をとった(2)のグループでした。サンドイッチを食べたグループと、最初に炭水化物をとったグループの血糖の推移はあまり変わりませんでした。日本人だけではなく米国人でも、炭水化物を最後にとる方が血糖の急激な上昇を抑えられることが分かりました。

日本では懐石料理があり、料理の最後にご飯、水菓子(デザート)が出る、つまり炭水化物が最後という形式になっています。なぜそうなったか、諸説ありますが、断食をしたお坊さんが下山時に温められた石を抱きかかえて、最初にとる食事を試行錯誤して考案されたものが懐石料理ともいわれています。

「いただきます」のときに、ご飯をよそわないで食べ始め、ご飯のお供程度のおかずになった時に、自分のおなかと相談してご飯の量を決めるとよいでしょう。まだおなかが空いていればご飯をしっかりとればよく、逆におなかがいっぱいであればご飯は少なく、場合によっては頂かなくてもよいと思います。最初にご飯をよそうと、おなかがいっぱいでもつい義務感から食べてしまいがちです。

また、サンドイッチのように炭水化物とたんぱく質が一品料理になった食べ物が、日本にはかなりあります。麺類、どんぶり物、カレー、ピザなどがそれに該当します。これら一品料理を頻繁にとることはよくないことがお分かりになると思います。どうしてもこうした一品料理をというときは、おかずとして野菜サラダなどを最初にとり、そのあと一品料理をゆっくり召し上がるのがよいでしょう。

なお、先に説明した食事の研究で、主菜から炭水化物までの10~15分間が比較的長いと感じる方も多いかと思います。しかし、家族で食事に時間をかけ、会話を楽しみながらゆっくりいただくのは、ストレス発散や心地よい休憩時間になるばかりではなく、血糖の急激な上昇抑制や満腹中枢を刺激して食べ過ぎ防止につながるのですから、この効果は見逃せません。

間食をとりすぎない

間食が習慣になっている方は案外、多いようです。食事が足りないから間食が必要な方、間食をとるため食事の量を減らしている方までいます。

どうしても間食が必要な場合は、炭水化物や脂肪の多いお菓子や菓子パンではなく、食事の一部や副菜や果物にするとよいでしょう。

特にご高齢のご家族が、お菓子などを取り揃えて間食されているのを見かける場合があります。高齢者は食が細くなっているので、間食として体に必要な食品をとることを考えたらよいと思います。高齢者の9人に一人はたんぱく質摂取不足です。魚と大豆製品を日に1回とるように心がけるとよいでしょう。寝たきりや認知症予防のためには、お菓子などの間食をとっている場合ではないでしょう。

疲れをため込まない

疲れをためるのはやはり万病のもとです。血圧が高くなり、心臓に負担をかけてしまいます。疲れをためても、それを持ち続けないように休息をとるようにしてください。

休息をとっても疲れがとれないとき、自分がさぼっているからではなく、病気による場合もあります。例えば甲状腺機能低下症があれば倦怠感が続きます。がんを発症していても、疲れがとれないですぐ疲れやすい状態がみられることもあります。うつ状態でも疲れがいつまでも続いている感じがします。休息してもなかなか疲れがとれない場合は、かかりつけ医にご相談ください。

家庭血圧の重要性

家庭で血圧を測定することはとても重要です。なぜなら、起床し排尿をすませたときの早朝血圧と就寝時の血圧はかかりつけ医が知らない血圧値だからです。しかも、血圧の高い方は早朝血圧が一番高いことが多いからです。

日常の血圧は高くはないのに早朝血圧だけが高い方は、早朝高血圧と呼ばれます。こうした方は1日の中で血圧が高い時もあるので、循環器病の発症リスクが高くなります。早朝高血圧がある場合にはかかりつけ医にご相談ください。

日ごろの血圧は高くないけれども、まれに非常に血圧が高い場合に、例えば外出などの用事があるときは大事をとり、自宅で様子を見ることも必要です。血圧がそれでも非常に高い場合にはかかりつけ医に相談してください。

家庭血圧は日々の自分の状態を知る手段としてとても大事な情報なのです。

年に1 回の健診を受ける

年に1回の健診を受けることで、自分でも気づかない健康状態に気づくことができます。高血圧、高血糖、脂質異常症は自覚症状がほとんどないため、健診を受け確かめる必要があります。年に1回の健診で、自分でも点検をしてください。

「吹田スコア」と呼ばれる虚血性心疾患の予測法が開発されました〈表4〉。これは、年齢、性別、喫煙、血圧、LDLコレステロール、HDLコレステロール、耐糖能障害、家族で若くして虚血性心疾患発症のレベル別にスコア(点数)が付いており、これらのスコアの合計点で、10年後の虚血性心疾患の発症予測確率が分かるというものです。

表4 虚血性心疾患の予測因子と10年後予測確率

健診や外来などの簡単な検査を受ければ、自分で虚血性心疾患の10年後予測確率を計算できるようになっています。これをもとに、自分で変えられる項目(禁煙するなど)、かかりつけ医と相談のうえ改善目標を立てる項目(血圧を下げる、LDLコレステロールを改善するなど)に着目して、虚血性心疾患の予防に役立ててください。

最近、10年後に心房細動になる予測ツールが開発されました。心房細動は不整脈の一つで、脳卒中、心不全、認知症などの大きな危険因子となります。そのため、心房細動にならないこと、なっても早期に医師に診てもらうことがとても重要な病気です。しかし、自覚症状がみられない方が半数ほどいて、健診で心電図検査を受けても現れない時もあるため、自分が心房細動を起こしやすいかどうか知ることはとても重要なことです。

開発されたツールには、〈表5〉に挙げたように、性・年代、収縮期血圧、肥満指数(body mass index)、虚血性心疾患既往歴、心房細動以外の不整脈、non-HDLコレステロール(総コレステロール − HDLコレステロール)、過剰飲酒(日に2合以上)、喫煙、心雑音または弁膜症を用いて、それぞれの項目のスコアを合計し、10年後の心房細動の予測確率を求めることができます。健診や外来などの簡単な検査結果から予測できるのが特長です。

項目の中には、自分で変えられる項目(飲みすぎない、禁煙する)、かかりつけ医と相談のうえ改善目標を立てる項目(肥満指数、血圧、non-HDLコレステロール)があります。今後の心房細動予防に役立ててください。スコアが高い場合にはかかりつけ医に相談してください。

かかりつけ医をもつ

自分のかかりつけ医を持つことは、とても大切なことです。オーケストラでどんなに優秀な演奏家が集まったとしても、指揮者がいないとよい演奏ができません。それと同じで、かかりつけ医は指揮者と同様の役割を持ちます。各専門医の検査や治療の情報を統括するのがかかりつけ医の役割です。高齢になってからは特にかかりつけ医がとても大切になってきます。なお、この冊子には食事や運動について書かれていますが、現在かかりつけ医にかかっている場合には、先ずかかりつけ医の指示に従ってください。

表5 心房細動の予測因子と10年後予測確率

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