ホーム > 循環器病あれこれ > [126] よく考えて! 飛びつく前に ─ 健康食品・サプリメントの功罪 ─

[126] よく考えて! 飛びつく前に ─ 健康食品・サプリメントの功罪 ─

「知っておきたい循環器病あれこれ」は、「公益財団法人 循環器病研究振興財団」が循環器病に関する最新情報を分かりやすく解説した発行物を、国立循環器病研究センターが許可を得てHTML化したものです。
文章・図表・イラスト等の転載・引用のご相談は循環器病研究振興財団までご連絡ください。

国立循環器病研究センター
薬剤部長 老田 章

健康食品を正しく理解して

もくじ

  1. 拡大する健康食品市場
  2. 健康食品のイメージ
  3. 普通の食品とどう違う
  4. 健康食品と薬は違います
  5. 薬を一緒に使うとダメ
  6. 健康食品に飛びつく前に
  7. 相談すべき場合は?
  8. 違法な健康食品の流通
  9. こんなこと思っていませんか?
  10. 情報源はたくさんあるものの
  11. おさらい

「テレビ、雑誌、新聞、インターネットなどで毎日目にする健康食品。市場にはさまざまな健康食品が流通していますが、健康食品が原因で体調を崩す事例なども出てきており、注意が必要です。あふれる情報にふりまわされず、健康食品について正しく理解できるよう、このパンフレットを参考に、冷静に考えてみて下さい」

これは、厚生労働省のHP(ホームページ)に掲載されている「健康食品の正しい利用法」の「はじめに」の文章です。

今回は「健康食品・サプリメントの功罪」をテーマに話を進めます。どちらも効果があるのでは、と期待しやすく、しかも情報がはんらんしています。実際はどうなのかよく知ってから使用しないと、かえって健康にマイナスとなる場合があります。

厚生労働省や消費者庁などが出している情報をもとに、とくに循環器病の患者さんに心がけてほしい情報を中心にまとめてみました。もちろん、一般の方が正しい健康情報を身につけるため、読んでいただくことも大歓迎です。

拡大する健康食品市場

健康食品やサプリメントの市場規模は、年々拡大しています。

テレビなどの健康食品のCMで有名な俳優さんやタレントさんをよく見かけますね。街の薬局でも次々登場する健康食品がずらり並んでいます。あなたの周りにも健康食品を使われている方が大勢いらっしゃるかもしれません。

よく知っている有名人がCMに出ていると、その健康食品をつい身近に感じたり、専門家の説明や実際に使用された方の体験談を聞いて、なるほどと思ったりしませんか。私たちの周りには、ひと昔前に比べ健康食品の情報が満ちあふれているのです。

最近の調査によると、約3割の方が健康食品を毎日利用し、なんと約8割の方が利用した経験があるという結果が出ており、しかも大人だけではなく、高校生から幼児にも使用が広がっています。

健康食品のイメージ

皆さんは健康食品にどのようなイメージをお持ちでしょうか?

2014年に東京都文化局が実施した健康食品についてのアンケート調査の結果は〈図〉のとおりです。

図 健康食品のイメージ調査
(2014年にインターネット都政モニターアンケートとして実施)

(質問:あなたは、「健康食品」に対してどのようなイメージをお持ちですか。最も近いものを次の中から1つだけお選び下さい)

健康食品のイメージ調査結果の円グラフ

健康食品のイメージは

  • 栄養を補う .......... 43.9%
  • 美容・ダイエット・健康維持に効果がある .......... 20.9%
  • 薬のように病気を治したり予防したりする効果がある .......... 1.5%

との回答がある一方で、

  • ほとんど効果がない .......... 25.2%
  • かえって健康に悪い .......... 3.7%

など、人により様々なイメージを抱かれています。また、価格が高いとよく効くと考える方もいらっしゃると思います。

健康志向が高まる中、自分の食生活に不安を抱く人、さらに健康増進 を求める人が"いわゆる健康食品”に期待をかけ、摂取されているのではないでしょうか。

普通の食品とどう違う

食品といえば、日常、食べているお肉、魚、野菜や醤油、砂糖の調味料など一般的な食品が浮かびます。では「健康食品」とは?

これは、広い意味で食品の一部ですが、特に法令では定義されていません。一般に「健康の保持増進に資する食品として販売・利用されるもの」の総称です。

そのうち、実際に「健康の保持増進効果」があると確認されているものもあれば、確認されていないものもあります。

「健康食品」といわれているものは、◆「おなかの調子を整えます」とか「脂肪の吸収をおだやかにします」など、その機能を表示することが国に許可されている「保健機能食品」と、◆そうでない、「いわゆる健康食品」に大きく分類されます。

「保健機能食品」は、特定の保健の目的が期待できる食品の場合にその機能について、また、国の定めた栄養成分について、一定の基準を満たす場合、その栄養成分の機能を表示することができる制度です。

「健康食品」のうち、国の表示制度として認められているものが「保健機能食品」であり、その中に「①特定保健用食品」、「②栄養機能食品」、「③機能性表示食品」の3つがあります。

このほかに“健康食品”、“健康補助食品”、“栄養補助食品”、“栄養強化食品”、“栄養調整食品”、“健康飲料”、“サプリメント”など、様々な名前で呼ばれている食品がありますが、これらは、国が制度化し許可したものではありません。

皆さんがよく聞かれる「トクホ」は、保健機能食品のうちの「①特定保健用食品」のことで、「コレステロールの吸収を抑える」などの表示が許可されている食品です。

「②栄養機能食品」は必要な栄養成分(ビタミン、ミネラル)が不足しがちな場合、その補給・補完のために利用できる食品です。

「③機能性表示食品」は 特定の保健の目的(健康の維持および増進に役立つ)が期待できるという機能性を表示することができる食品です。

わが国の「健康食品」などの分類を〈表1〉にまとめました。

表1 健康食品等の分類

健康食品と薬は違います

CMを見ていると、健康食品が自分の病気の治療に使えるように思えませんか? しかし「人の病気の診断、治療または予防に使用されることが目的とされる物」は薬(医薬品)だけであり、健康食品とは異なります。

「健康食品で病気が治る」わけではなく、「健康食品は病気の治療に使えない」ということをしっかり理解しておく必要があります。

健康食品は外観がカプセルや錠剤のものが少なくありません。一見、薬(医薬品)と同じように思えるかもしれませんが、医薬品は臨床試験などを行い、有効性や安全性を確認したうえで厚生労働省が病気の治療に使用できると承認したもので、健康食品とは異なります。

健康食品の中には「コレステロールの吸収を抑える」などと表示されているものもありますが、健康食品は病気の治療には使えません。

薬を一緒に使うとダメ

病気だから健康食品は体にいいと考える方がいるかもしれません。

病気で薬を服用している人が、健康食品を摂取した場合、
 薬 + 健康食品 = 病気が早く治る
と早合点しがちですが、実はそうではないのです。

健康食品をとることで、あなたの病状を悪化させたり、あなたが服用している薬の効果を強めたり、弱めたりする影響を与えることがあるからです。また、薬の副作用のような事例が多数報告されています。

薬と健康食品を同時に摂取したことによって、副作用などが起きた事例の一部を〈表2〉にまとめました。当センターでよく処方されている医薬品も多く、皆さんの中にもこれらの薬を服用されている方がおられのではないでしょうか?

これらはすでにわかっている薬と健康食品の組み合わせの一部で、まだ知られていない組み合わせもあると思います。薬を服用している方は安易に健康食品を使用せず、必ず医師・薬剤師に相談してください。

表2 健康食品に添加されている(天然)成分と医薬品の相互作用の組み合わせ

健康食品に飛びつく前に

単純に、健康食品は健康に役立つと考え、安心していませんか?

健康食品を選ぶ前に必ずチェックすべき点を挙げておきます。

  • 健康食品を買う前に「本当に必要かどうか」考えてみましょう
  • 表示内容を確かめること。成分名・含有量・問い合わせ先の有無、製品について質問や使用して何か不都合なことがあった場合の連絡先を確認しましょう。(製造者、販売者、輸入者......お客様相談窓口が記載されていると相談しやすいですね)
  • 違法品への注意......「海外製品」、「個人輸入」は要注意
  • 医師・薬剤師に相談する......特に受診中の方は必ず相談を

使い方のルール

  • 薬のような使い方はしない......薬とは違います。
  • ルールを守る......とりすぎてはいけません。たくさん飲めばよく効き、より健康になると誤解し、多く飲みすぎていませんか?
  • 何種類もの健康食品を使用していませんか?
  • 薬と併用しない
  • アレルギーに注意する

実際に使っているとき

  • 受診時に医師に、健康食品を使用していることを相談(薬剤師にも)新たに健康食品の使用を考えているときも相談を
  • 具合が悪くなったら医師・薬剤師に相談。健康食品が原因で体調を崩す場合があります

相談すべき場合は?

医師や薬剤師に相談すべき場合をまとめてみました。繰り返しますが、お薬を服用されている方は自己判断で健康食品を使用するのではなく、必ず医師や薬剤師に相談してください。

[現在の状況][こんな場合、必ず相談を]
病気で既に受診し薬を服用中 → 新たに健康食品を使用しようと考 える
健康食品を使用している方 → 受診や薬の服用を始める
健康食品を使用している方 → 具合が悪くなるなど体調の変化

既に受診して薬を服用し、さらに、健康食品も使用している方で、特に具合の悪いところがない方でも、健康食品の使用の有無は、治療を行うための大切な情報となります。ですから、使用している健康食品については医師、薬剤師に必ず伝えてください。

違法な健康食品の流通

「食品です」と宣伝しながら、故意に薬の成分を添加している製品が流通しています。これは「無承認無許可医薬品」で違法です。

医薬品の成分が含まれていますから、本来、医師が患者さんを診断し、病気の治療にあった薬(厚生労働省が承認した製剤)が選ばれ、適切な量、服用方法などが指示されたものが使用されねばなりません。また、服用後も副作用がないかなど十分なチェックが必要です。

強壮効果のある健康食品として販売されている171製品を実際に買い上げて分析した厚生労働省の平成26年度の調査結果によると、171製品のうち9製品から3種類(シルデナフィル、タダラフィル、ホモタダラフィル)の医薬品の成分が検出されました。いずれも同じ作用の成分 で、シルデナフィルは皆さんご存じのバイアグラの成分でした。

詳しくは平成26年度「無承認無許可医薬品等買上調査」の結果をご覧ください。

このように違法な健康食品も出回っています。インターネットで外国の製品を手軽に購入できますので十分な注意が必要です。

例えば、次のような危険な緊急事態が生じかねません。

糖尿病によいと購入した製品に実は糖尿病治療薬が含まれていた
   ↓
◆健康な人がこれらの製品を使用した場合
◆糖尿病ですでに低血糖治療薬を服用中の人が知らずにこれらの製品を使用した場合
   ↓
どちらの場合も低血糖症状が生じる可能性があり、生命に関わる事態になりかねません

強壮目的でバイアグラなどが含まれていたほかに、次のような目的で医薬品成分が含まれているケースもありました。
リウマチの改善を目的 → 副腎皮質ホルモン
ダイエットを目的 → 利尿剤、下剤、代謝機能亢進剤、食欲抑制剤

こんなこと思っていませんか?

健康食品というイメージから、いろいろ誤解しやすいことがあります。以下、皆さんがよかれと思われる判断が、実は危険な誤解である場合があることを説明しましょう。

☆健康食品だから、薬の副作用のような体に悪いことは起こらない。
→→そうではありません。健康食品が原因で体調を崩す場合があります。治験(臨床試験)を実施し承認された薬でも、すべての副作用がわかっているわけではありません。健康食品は薬に比べ、十分に研究されておらず、未解明な成分がほとんどです。(まだ見ぬ副作用が起こり得るのです)

☆健康食品をたくさん摂取すれば、より健康になる。
→→たくさん摂取することで、体調を崩す原因になることがあります。普通の食事なら同じものをたくさん食べようとすると飽きたり、満腹になって食べることにブレーキがかかったりします。しかし、健康食品は特定成分を凝縮して錠剤などの形にしたものもあり、たくさん取れば、摂取過剰になることがあります。決められた量以上に摂取するのは危険ですので、やめましょう。

☆多くの種類の健康食品を同時にたくさん摂取すればより健康的になる。
→→これも間違いです。
医薬品については複数の薬を同時に服用することによる影響(薬物相互作用といいます)についての研究や、実際に併用後に起きた副作用の情報が集められています。しかし、まだ見つかっていない組み合わせも多くあります。
一方、健康食品は人への作用が未解明な成分が多く、医薬品ほど多くの研究や情報がないので、多種類の健康食品を同時摂取すると思わぬ副作用が発現する可能性が高まります。自己判断で健康食品の複数摂取は避けてください。

☆天然・自然は安心・安全か?
→→天然・自然だからといって安心・安全というわけではありません。
健康食品の説明に、「天然成分配合」や「自然」の文字があると安全で体にやさしいと感じ、安心していませんか?
ところが天然成分には毒性の高いものも少なくありません。皆さんご存じのふぐ毒やきのこ毒などもあり、一概に「天然・自然」=「安全」とはいきません。また、通常食べている量では問題なくても、濃縮されている健康食品を多量に摂取すると健康被害が生じる危険が高まり ます。
天然由来成分を原料としている健康食品でもアレルギーの原因になり、因果関係がはっきりしない被害報告が数多くあります。(ロイヤルゼリー、コリアンダー、ウコン、エキナセア、ゼラチン、プロポリスザクロなど)
もう一度言いますが、天然由来は必ずしも安全ではなく天然・自然≠安心・安全なのです。

情報源はたくさんあるものの

私たちの暮らしの中に、テレビや雑誌、インターネットなど膨大な情報があふれ、健康食品の情報も目立っています。テレビや雑誌を見ていると、この健康食品を使うと自分の病気や具合の悪いところがよくなると思わせ、使ってみたい衝動に駆りたてるCMも多く見受けられます。

有名人や使用体験者が映っている健康食品のCMをよく見ると「個人の感想です」、「個人差があります」、「効能・効果を表すものではありません」などテレビ画面の片隅に書かれているのを気づかれた方も多いと思います。

健康食品に関して販売業者などから提供される情報は、一般的に商品の良さ(有効性)が強調され、皆さんが使ってみようかなという動機づけを促すような情報が際立っています。

その中で公的機関や公益的、中立的な団体・組織が提供している情報は信頼のできるものです。それらを〈表3〉にまとめました。活用してください。

表3 健康食品に関する公的機関のホームページ
名称アドレス/内容
厚生労働省 http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/hokenkinou/index.html
健康食品の正しい利用法(健康食品のホームページ)
厚生労働省 http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/index.html
食品の安全に関するQ&A(9.健康食品)
内閣府食品安全委員会 http://www.fsc.go.jp
食品の安全性評価に関する情報
内閣府食品安全委員会 http://www.fsc.go.jp/kigai_jyoho/
健康食品に関する危害情報について
国立健康・栄養研究所 https://hfnet.nih.go.jp/
「健康食品」の安全性・有効性情報
消費者庁 http://www.caa.go.jp/foods/index.html
食品表示に関する情報
消費者庁 http://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/health_promotion/
健康や栄養に関する表示の制度について
消費者庁 http://www.caa.go.jp/foods/pdf/syokuhin1442.pdf
「機能性表示食品」って何?
国民生活センター http://www.kokusen.go.jp/
健康食品に関する個別製品の商品テスト結果など
東京都 http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/anzen/supply/
健康食品に関する情報(健康食品ナビ)
厚生労働省、日本医師会、
国立健康・栄養研究所
http://dl.med.or.jp/dl-med/knkshoku/kensyoku_pamph.pdf
健康食品による健康被害の未然防止と拡大防止に向けて

おさらい

健康の基本は「栄養」、「運動」、「休養」です。「栄養」について言うと、特定の栄養(成分)を偏ってとるのではなく、適量をバランスよく摂取することが大切です。

よく1日何種類以上の食材を食べましょうとよく言われますが、まさしくこれがまんべんなく食事をしていることになります。

バランスよく食事が取れる状況では、特にサプリメントは不要です。栄養素の欠乏症があれば医師や薬剤師に相談するのが正しい方法で、自分の判断で複数のサプリメントを内服するのは害の方が多いことが少なくありません。

「おさらい」として心がけてほしいポイントをあげておきます。

  • 健康食品にはいろいろ分類がある
  • 健康食品は病気の治療に使えない(薬ではありません)
  • CMや周りの人の体験談に惑わされない
  • その健康食品が自分に本当に必要かよく考え、医師、薬剤師などに相談してください
  • すでに病気で薬を服用されている方は、一緒に飲んで問題はないか確かめてください
  • 自己判断で多量の使用や多種類を一緒に飲むことは避けてください
  • 飲み始めて、体の具合が悪くなれば、すぐに服用をやめ、医師、薬剤師に相談してください
  • 違法な健康食品にご注意(特に海外製品、個人輸入品)
  • 中立・公平な情報源を信頼し判断材料にしてください

ページ上部へ