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[120] 循環器病の治療薬...特徴と注意点

「知っておきたい循環器病あれこれ」は、「公益財団法人 循環器病研究振興財団」が循環器病に関する最新情報を分かりやすく解説した発行物を、国立循環器病研究センターが許可を得てHTML化したものです。
文章・図表・イラスト等の転載・引用のご相談は循環器病研究振興財団までご連絡ください。

国立循環器病研究センター
薬剤部
特任副薬剤部長 和田 恭一

薬と正しく付き合おう

もくじ

  1. 抗血栓薬
  2. 高血圧の薬
  3. 心不全治療のβ遮断薬
  4. 糖尿病の治療薬
  5. 脂質異常の改善薬
  6. おわりに


循環器病の診断・治療法は日々進歩し、治療薬も年々増えています。

高血圧、心臓病、脳卒中などに代表される循環器病の場合、お薬の服用が毎日、しかも長期にわたることが多く、ついつい日常茶飯事になり、注意を払わず、惰性で服用することが多いようです。家族の方も本人がどんなお薬を処方されて飲んでいるのか、無関心の場合があるのではないでしょうか。

しかし、薬がうまく効いているかどうか、副作用が出ていないかどうかは、まず、本人は当然として、毎日接する家族の方に薬への関心がなければどうにもなりません。

この冊子では、多くの患者さんや家族の方が薬を正しく理解し、正しく薬とつきあえるように、主な循環器病の薬(抗血栓薬、高血圧の薬、心不全の治療薬のβ遮断薬、糖尿病薬、脂質異常の改善薬)の特徴と注意点について解説します。

抗血栓薬

血液は血管を流れ、体中に酸素や栄養を運んでいます。しかし、なにかのきっかけでその流れが悪くなると、血液が固まって血の塊(血栓)ができます。血栓が血管の中で詰まる病気を「血栓症」と言います。

血栓症は、詰まった場所によって脳梗塞・心筋梗塞・肺塞栓症などと呼ばれます。これらの病気になると体内の臓器に酸素や栄養が行き渡らなくなるため、重大な事態になる可能性があります。血液の流れが悪くなる要因として考えられているのが、高血圧や脂質異常症、糖尿病など の生活習慣病、喫煙、過度の飲酒、不整脈などです。

血栓症の予防、さらに発症後の再発予防には、生活習慣の改善、原因となる病気の治療とともに、血を固まりにくくする(血をサラサラにする)薬が用いられます。この薬を総称して「抗血栓薬」と言います。

抗血栓薬の種類は?

血流の速い血管で起こる血栓症では血小板が、血流の遅い血管などで起こる血栓症では、血液を固まらせる凝固因子というものが大きく関わってきます。

ですから抗血栓薬は、血小板の働きを抑える「抗血小板薬」と、凝固因子の働きを抑える「抗凝固薬」の二種類に分けられ、それぞれに複数の薬があります。

◆抗血小板薬[バイアスピリン®、バファリン81mg®、プラビックス®、エフィエント®、パナルジン®、プレタール®](®は商品名) 
血液は、酸素を運搬する赤血球、体に侵入した細菌などを攻撃する白血球、血液を固まらせる血小板などの成分で構成されています。これらの成分のうち、血小板の働きを抑え、血流の速い血管での血栓を予防するのが抗血小板薬です。

◆抗凝固薬[ワーファリン®、プラザキサ®、イグザレルト®、エリキュース®、リクシアナ®]
血液を固める様々な凝固因子の働きを抑え、血流の遅い血管などで血液が滞るために起こる血栓を予防します。
ただし、血小板と凝固因子は、お互いに影響しあって血栓をつくっていますので、両方の働きをはっきりと分けることが困難な場合もあります。そこで血栓症ができた状況を考えて抗血小板薬と抗凝固薬を使い分け、場合によっては併用することもあります。

副作用は?

これらの薬を服用している間は血液がサラサラになっているため、出血しやすくなっています。ですから、皮下出血が起きやすくなったり、鼻血、転倒したときなど、けがによる出血、脳出血など重大な出血、胃や腸の出血などが起きたりすることがあります。

青あざがなかなか治らない、鼻血がなかなか止まらない、便に血が混じるなど、出血が疑われる場合は、医師・薬剤師にすぐに相談してください。

抗血小板薬(バイアスピリン®、バファリン81mg®、プラビックス®、エフィエント®、パナルジン®、プレタール®)と抗凝固薬(ワーファリン®、プラザキサ®、イグザレルト®、エリキュース®、リクシアナ®)を併用している場合、特に出血に注意が必要です。

また、プラビックス®やパナルジン®を服用していると、発熱、のどの痛み、全身倦怠感、皮膚や白目が黄色くなる、食欲不振、発熱や体のだるさが起きやすくなる場合があります。プレタール®では頭痛や動悸(どうき)、頻脈(ひんみゃく)が起こることがあります。

これらの薬は、長期間、しっかり飲み続けることが大切な薬ですが、いま挙げたように、いつもと違う症状が出た場合は、自己判断で飲むのをやめてしまわず、医師・薬剤師に必ず相談するようにしましょう。

食事の影響は?

抗血栓薬の中でワーファリン®は、食事の影響を強く受けることが知られています。ワーファリン®を服用している間は、原則として次の三つのことを守ってください。

  • 納豆・クロレラ・青汁は禁止です。
  • 緑黄色野菜(ほうれん草など)はとくに制限しなくてもよいのですが、一時的に大量にとることは避けてください。
  • 偏食や大量の飲酒は避けましょう。

ワーファリン®はビタミンKによってその働きが妨げられます。

納豆・クロレラ・青汁には大量のビタミンKが含まれています。納豆に含まれるビタミンKはそんなに多くはありませんが、ネバネバに含まれる納豆菌が摂取後約72時間も腸内でビタミンKを合成し続けると言われています。

ですから、少量の納豆を摂取しても結果的に多量のビタミンKを摂取したことになります。納豆はたとえ少量でも食べないでください。

また、プレタール®を服用されている場合、グレープフルーツジュースを飲むと、この薬の作用が強く出てしまい、副作用が出やすくなるおそれがありますので、注意が必要です。

他の薬は、食事によって大きな影響を受ける可能性は少ないと考えられます。詳しくは、薬剤師にご相談ください。

(文責:寺田侑加、池田麗、内堀聡子)

高血圧の薬

高血圧は、自覚症状がほとんどありません。しかし、高血圧が続くと、長い時間をかけて血管がボロボロになったり、心臓や脳に負担をかけて心筋梗塞や脳卒中といった病気の引き金となったりします。

降圧薬の種類は?

降圧薬には降圧利尿薬、カルシウム拮抗薬、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)、レニン阻害薬、アルドステロン拮抗薬、ベータ(β)遮断薬、アルファ(α)遮断薬、アルファ・ベータ遮断薬、中枢性交感神経抑制薬があります。主な降圧薬の作用を説明します。

  • 降圧利尿薬[ラシックス®、フルイトラン®など]:
    体内の余分な水分、ナトリウムなどを尿として体の外に出して血圧を下げます。
  • カルシウム拮抗薬[アダラート®、コニール®、カルブロック®、アムロジン®、ノルバスク®など]:
    血管を収縮させる筋肉に働きかけて収縮を抑え、血管を広げ血圧を下げます。
  • アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)[タナトリル®、レニベース®など]、アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)[アジルバ®、アバプロ®、オルメテック®、ミカルディス®など]:
    アンジオテンシンⅡという血圧を上げる物質の働きを抑え、血圧を下げます。また、心臓や腎臓を保護する働きもあります。

副作用は?

血圧が下がり過ぎることによるめまい、ふらつきがあらわれることがあります。個々の薬によって副作用が異なりますので、いつもと違う症状が現れたら自己判断で中止するのではなく、医師または薬剤師に相談するようにしてください。

◆アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)特有の副作用
ACE阻害薬で、痰(たん)が出ない空咳(からせき)という副作用が比較的高い頻度で起こります。
この空咳は、ACE阻害薬がブラジキニンという物質の分解も一緒に妨げてしまうことが原因です。ブラジキニンが身体に蓄積すると、気道にある、この物質をキャッチする受容体を刺激するため、のどの違和感や咳が起こります。アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)の方は空咳の副作用はないので、ACE阻害薬からARBに変更されるケースもあります。

食事の影響は?

一部のカルシウム拮抗薬は、グレープフルーツと一緒に摂取すると、薬が効きすぎる可能性があると指摘されていますので、一緒に服用しな いでください。詳しくは、薬剤師にご相談ください。カルシウム拮抗薬は、その名前から牛乳などのカルシウムを多く含む食品や、カルシウムのサプリメントと飲み合わせが悪いように思えますが、影響はありません。

(文責:村津直子、大和幹枝、内堀聡子)

心不全治療のβ遮断薬

心不全とは、何らかの原因で心臓の働きが弱くなり、全身へ十分な血液を送れていない状態のことを言います。心臓の働きのうち、どの働きが、どの程度、低下しているのか、その低下が急に起こってきたのか(急性心不全)、徐々に起こってきたのか(慢性心不全)などによって、心不全の種類や程度はさまざまです。

心不全に使われる主な薬のβ(ベータ)遮断薬について説明します。

 

β遮断薬とは?

この薬は、慢性心不全など心臓が弱っているときに使われます。

慢性心不全になると、交感神経という神経の働きが活発になって、弱っている心臓の働きを補おうとします。しかし、長い間このような状態が続くと、心臓はかえって頑張りすぎて疲れてしまい、心不全がだんだんと悪くなっていきます。

β遮断薬は、この交感神経の働きを抑えることで、無理をしている心臓の動きを少し休める作用があります。心臓の心拍数や収縮力を抑えることで、心臓の負担を軽くします。長期的に服用することで心不全の悪化を防いでくれます。

心臓を、左のイラストのように、荷物を引いて坂道を登る馬に例えると、登る速度を落として心臓を休ませ、楽に動けるようにしてくれる薬です。

β遮断薬にはいくつかの種類がありますが、代表的なものとして、心不全に使われるアーチスト®やメインテート®があります。


副作用は?

心臓の働きを抑える薬ですので、飲み始めや、量を増やした後は心臓の働きが悪くなったり、脈拍や血圧が下がったりして、体のだるさやふらつきが生じることがあります。

そのため、最初は少ない量から飲み始め、心臓の働きを見ながら時間をかけて少しずつ増やしていきます。長期間飲み続けることが大切な薬ですので、調子が良いと思って勝手に飲むのをやめたりしてはいけません。また、薬の副作用ではと疑われる症状が出た場合、自己判断で飲むのをやめてしまわず、まず主治医や薬剤師に相談してください。

食事の影響は?

β遮断薬は、基本的に食事との相互作用は少ない薬です。食事との食べ合わせは、あまり気にする必要はないでしょう。しかし他の薬同様、お酒と一緒に飲むのは避けてください。

(文責:田中章友、松田紗知、内堀聡子)

糖尿病の治療薬

糖尿病は、すい臓から分泌されるインスリンの働きが不十分であったり、インスリンが少なかったりすることによって高血糖(血液の中にたくさん糖がある状態)が続く病気です。

インスリンは体の中で唯一「血糖値を下げる」働きのあるホルモンです。

血糖値が高い状態が続くと、血糖の高い血液が全身をめぐることによって血管が傷み、あちこちの臓器に障害が起きてきます。これが糖尿病合併症で、中には心筋梗塞や脳卒中といった病気の合併症も起こります。これらを予防するためにも、適切な血糖コントロールを行うことが極めて大切です。

糖尿病には1型と2型があり、日本人の糖尿病の95%は2型糖尿病といわれています。1型糖尿病はインスリンがまったく出ないタイプ、2型糖尿病はインスリンの効き目が悪くなっているタイプです。

糖尿病初期のころは、高血糖を是正しようと、すい臓から大量のインスリンが分泌されます。しかし高血糖が長い間続くと、次第にすい臓が疲労して、インスリンが出にくくなります(インスリン分泌低下)。 

さらに肥満などが加わると、血液中のブドウ糖が臓器に取り込まれにくくなります。このためインスリンが出ていても、体の組織でインスリンが効きにくくなるのです(インスリン抵抗性)。

このように2型糖尿病の場合、インスリン分泌低下・インスリン抵抗性、またはその両方が組み合わさることによってインスリンが上手く作用しなくなり、血糖値が下がりにくくなっています。

血糖値をよくするには?

糖尿病治療の基本は食事療法、運動療法の二つが中心です。これらを行っても血糖値が下がらなければ、薬物療法を行います。

糖尿病の薬はいずれも血糖値を下げる作用があり、症状に応じて一種類、または数種類の薬を組み合わせて用います。

糖尿病薬の種類は?

1型糖尿病の場合、インスリンを注射する必要がありますが、2型糖尿病の場合はこのようにさまざまな種類の飲み薬を組み合わせて治療をします。

インスリンの分泌が低下している場合は、インスリンの分泌量を高める薬(インスリン分泌促進薬)、インスリンの効きが悪くなっている場合は、インスリンを取り込みやすくする薬(インスリン抵抗性改善薬)を使用します。食後の高血糖が目立つ場合はα-グルコシダーゼ阻害薬を、肥満があり、腎臓の働きが落ちていない場合にはSGLT2阻害薬を使います。

また、血糖値が高い状態が続くと、よりインスリンの分泌が悪くなり、効きも悪くなる悪循環に陥ることがあります。これを「糖毒性」といいます。糖毒性を解除するために、一時的にインスリン注射を使用する場合もあります。

2型糖尿病の病態に合わせた経口血糖降下薬の選択

〈インスリンの分泌量を高める薬(インスリン分泌促進薬)〉

  • スルホニル尿素剤(SU剤)[ダオニール®・オイグルコン®、グリミクロンHA®、アマリール®]
    すい臓に作用してインスリンの分泌を促します。
  • 速効型インスリン分泌促進薬[スターシス®、グルファスト®、シュアポスト®]
    スルホニル尿素剤(SU剤)と同様、すい臓に作用してインスリンの分泌を促しますが、異なるのは、効果が現れるまでの時間が早く、作用する時間が短いことです。そのため、低血糖を起こしにくいというメリットがあります。

〈インスリンを取り込みやすくする薬(インスリン抵抗性改善薬)〉

  • ビグアナイド系(BG系)血糖降下薬[メトグルコ®、ジベトス®]
    血液中のブドウ糖を肝臓・筋肉など内臓に取り込ませ、取り込んだ糖をなるべく血液に戻さないようにする薬です。また腸での糖の吸収を抑える働きもあります。
  • インスリン抵抗性改善薬[アクトス®]
    肝臓や筋肉細胞で糖が正常に取り込まれない状態(インスリン抵抗性)を改善します。
  • DPP-4阻害薬[ジャヌビア®、エクア®、ネシーナ®、トラゼンタ®、テネリア®、スイニー®、オングリザ®、ザファテック®、マリゼブ®]
    すい臓に働きインスリンの分泌を促すインクレチンというホルモンを分解する酵素(DPP-4)の働きを阻害して、インスリンの分泌を促します。
  • GLP-1受容体作動薬[ビクトーザ®、バイエッタ®、リキスミア®、ビデュリオン®、トルリシティ®]
    インクレチン製剤を投与することで、インスリンの分泌を促します。

〈糖の吸収や排せつを調節する薬〉

  • α-グルコシダーゼ阻害薬[グルコバイ®、ベイスン®、セイブル®]
    小腸での糖の分解を遅らせて、糖の吸収も遅らせ、食後の高血糖を抑えます。
  • SGLT2阻害薬[スーグラ®、フォシーガ®、ルセフィ®、デベルザ®、カナグル®、ジャディアンス®]
    腎臓に作用し余分な糖を尿と一緒に排泄し、血糖値を下げます。

〈インスリン注射薬〉

インスリン治療は、不足している量のインスリンを注射で補い、糖尿病でない人のインスリン分泌パターンに近づけることを目標とします。効き目の長さの異なるインスリンを組み合わせて治療を行います。

  • 超速効型インスリン[ノボラピッド®注(注射)、ヒューマログ®注、アピドラ®注]
  • 速効型インスリン[ノボリン®R注、ヒューマリン®R注]
  • 中間型インスリン[ノボリン®N注、ヒューマリン®N注、ヒューマ ログ®N注]
  • 持効型インスリン[トレシーバ®注、レベミル®注、インスリングラルギンBS注、ランタス®注、ランタスRX®注]

このほかに、効き目の長さが異なるインスリンを混ぜているものもあります。注射する回数を減らせるというメリットがあります。[例:ライゾデグ®配合注、ノボラピッド®30ミックス注、ヒューマログ®ミックス25注など]

副作用は?

薬や注射で補充したインスリンが体の必要量を上回ると、低血糖が生じることがあります。低血糖とは、血糖が必要以上に下がりすぎてしまう状態のことを指します。

次のような症状が現れます。
からだのふるえ、空腹感、発汗、動悸 など
症状には個人差があります。

低血糖の症状

低血糖はどんな時に起こりやすいのか

  • 食事の間隔をあけすぎたとき
  • 食事量が少なかったとき
  • 体を動かしすぎたとき
  • 血糖降下薬やインスリンの量を間違えたとき
  • 下痢や嘔吐が続いた時
などが挙げられます。

低血糖になったときは、ブドウ糖、または砂糖が含まれているジュースや飴などを摂取して安静にしてください。ただし、α-グルコシダーゼ阻害剤を内服している場合は薬の性質上、ブドウ糖でなければ効果がありません。

低血糖が改善されても、また症状が現れることがあるのでしばらく安静を保ってください。

重い低血糖(けいれん・昏睡)になった場合は救急車を呼ぶなどして医療機関をただちに受診する必要があります。

薬の飲み合わせは?

一緒に飲むと副作用が起こりやすくなる薬の組み合わせがあります。

例えば、スルホニル尿素剤(SU剤)とDPP-4阻害薬を併用することで低血糖が起こりやすくなると言われていますので注意してください。

食事の影響は?

糖尿病治療薬は、基本的に食事との相互作用は少ない薬ですが、他のお薬と同様、お酒と一緒に飲むのは避けてください。

お薬を飲んでいても、食事療法の自己管理は続けましょう。

(文責:大咲あゆみ、越智純子、内堀聡子)

脂質異常の改善薬

脂質異常症とは、高カロリー高脂肪の食事や運動不足などの生活習慣、または遺伝によって、血中の悪玉(LDL)コレステロールや中性脂肪が増加したり、善玉(HDL)コレステロールが低下したりした状態をいいます。

こうした状態が続くと、血管にコレステロールがたまり、動脈硬化が進み、さらには心筋梗塞や脳梗塞へと進む危険性が高くなってしまいます。これらを予防するためにも、適切な脂質コントロールを行うことが大切です。

脂質異常症を治療するには?

脂質異常症の治療は、食事療法・運動療法の二つが中心です。これらを行っても脂質異常症が改善しない場合、薬物療法が必要になります。食事療法・運動療法は、コレステロールの合成や処理のシステムを調節し、正しい状態に戻そうとするため、薬を飲んでいても続けることが大切です。

改善薬の種類は?

  • HMG-CoA還元酵素阻害薬[リピトール®、クレストール®、リバロ®、メバロチン®、ローコール®、リポバス®]
    肝臓でコレステロールが作られるのを抑える薬です。悪玉(LDL)コレステロールを強力に低下させます。
  • フィブラート系薬剤[ベザトールSR®、リピディル®]
    主に肝臓で中性脂肪が作られるのを抑え、中性脂肪を低下させます。善玉(HDL)コレステロールを上昇させる効果もあります。
  • 陰イオン交換樹脂[コレバイン®]
    腸内で、コレステロールが豊富に含まれている胆汁酸と結合して、コレステロールを便中に排泄させ、低下させます。
  • 小腸コレステロールトランスポーター阻害薬[ゼチーア®]
    腸内で、コレステロールが豊富に含まれている胆汁酸の再吸収を抑制することによってコレステロールを低下させます。
  • プロブコール[シンレスタール®]
    LDLコレステロールを胆汁酸として排泄させたり、LDLコレステロールの酸化を抑えたりして、動脈硬化を予防する働きがあります。
  • ニコチン酸誘導体[ペリシット®、ユベラN®]
    ビタミンの一種で、肝臓で中性脂肪が作られるのを抑えます。HDLコレステロールを上昇させる効果もあります。
  • EPA(イコサペント酸エチル)[エパデール®]・EPA+DHA(ドコサヘキサエン酸エチル)[ロトリガ®]
    青魚に含まれる成分(不飽和脂肪酸)から作られた薬で、中性脂肪を下げる効果があります。また、血液をサラサラにする効果もあります。

副作用は?

HMG-CoA還元酵素阻害薬では「手足・肩・腰・全身の筋肉が痛む」、「手足がしびれる」、「手足に力が入らない」、「全身がだるい」、「尿が赤褐色になる」といった症状があらわれることがあります。このような症状があらわれたら直ちに医師または薬剤師に相談してください。

食事の影響は?

一部のHMG-CoA還元酵素阻害薬は、グレープフルーツと一緒に摂取すると、薬が効きすぎる可能性があると言われていますので、一緒に服用しないでください。詳しくは、薬剤師にご相談ください。

(文責:寺田侑加、大和幹枝、松田紗知、内堀聡子)

おわりに

循環器病の薬は、このようにさまざまな効き目の薬があります。薬を飲んでおられて何か不安に思われたときは、自分で勝手にお薬を中止するのではなく、必ず医師・薬剤師にご相談ください。


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