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[63] 脳梗塞の新しい治療法

「知っておきたい循環器病あれこれ」は、「公益財団法人 循環器病研究振興財団」が循環器病に関する最新情報を分かりやすく解説した発行物を、国立循環器病研究センターが許可を得てHTML化したものです。
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2007年7月1日 発行

-t-PA静注療法-

病院長 峰松 一夫

t-PAが血栓を溶かし、「眠れる森の美女」の目を覚ました

イラスト:脳梗塞の新しい治療法-t-PA静注療法-

もくじ

おばあさんがよくなった!

2006年のある夜、10時頃のことでした。その日の仕事がやっと終わった私は、SCU(脳卒中集中治療室)に向かいました。緊急入院した90歳代のおばあさんが、重症患者用ベッドで治療を受けていました。目は閉じたままで、名前を呼んでも返事がなく、右手足は全く動きません。「ご高齢で、これだけ重症だと命を救えるかどうか……。うまくいっても寝たきりだろう」と思いました。

おばあさんは、ある薬の注射中でした。新薬のt-PAです。「ご高齢でしたが、発症から病院到着まで1時間と早く、『適正治療指針』(後で説明します)にも適合していたので……」と当直医が説明してくれました。

この患者さんのことが気になった私は、翌朝いつもより早くSCUに出勤しました。大変驚いたことに、患者さんはベッドに座り、自力で朝食中でした。担当看護師が「先生が帰られた後で、意識が急速に回復し、手足のまひもなくなりました」と笑顔で報告してくれました。新薬t-PAの効果を心から実感した瞬間でした。数日後に患者さんは退院、歩いて自宅へ帰られました。

このページでは、夢の新薬といわれるt-PAの効果や問題点、より有効な治療法開発に向けた取り組みについて解説します。

脳梗塞は治せるの?

わが国の脳梗塞の現状は深刻です!

わが国の脳卒中死亡者は年間約13万人にのぼります。病気別では「がん」、「心臓病」に次ぐ第3位です。患者数は130万人と非常に多く、かつ増加中です。寝たきり、介護の必要な患者の3~4割は脳卒中が原因で、これは第1位です。脳卒中にはいくつかのタイプがありますが、脳梗塞が全体の約7~8割と多数派を占めています。

高齢者に多い脳梗塞は、今後さらに増加し、重症化すると予想されています。そう遠くない未来の脳梗塞クライシス(危機)を避けるためには、予防を徹底し、t-PAを用いた超急性期治療を普及させなければなりません。

脳梗塞とは何か?

脳卒中(脳血管障害)とは、脳の血管が破れたり、詰まったりして起こる病気です。このうち、脳血管が詰まり、脳に血液が流れなくなって障害が起こるものが脳梗塞です。詰まる血管の大きさや場所、原因によって (1)ラクナ梗塞 (2)アテローム血栓性脳梗塞 (3)心原性脳塞栓症 に大別されています。

ラクナ梗塞は、脳の中の細い動脈が詰まってできる直径15mm未満の小さな梗塞です。日本人に多いタイプでしたが、最近は減少傾向です。

首や脳の表面を通る比較的大きな血管の動脈硬化が原因となるのが、アテローム血栓性脳梗塞です。ライフスタイルの欧米化と関係が深く、増加中です。

不整脈の一種である心房細動や、ある種の心臓病では、心臓内に血栓(血の塊)ができます。これがはがれて脳動脈を詰めると、心原性脳塞栓症となります。突然に発症し、重症例が多いという特徴があります。全国調査では、心原性脳塞栓症患者の約2割が入院中に亡くなり、半数が要介護状態でした。心房細動は高齢者に多いので、心原性脳塞栓症も増加すると予想されています。

これまでの脳梗塞治療は虚無主義?

脳梗塞発症後、数日~数週間は、さまざまな治療が行われてきました。薬物療法としては (1)少量ウロキナーゼ静注法 (2)抗凝固療法 (3)抗血小板療法 (4)血液希釈療法 (5)脳浮腫軽減療法 (6)脳保護療法などがあります。<図1>でそれぞれの療法の目的と使用薬剤を説明しています。

残念ながら、これらの治療法の効果は弱く、完全に回復させるものではありません。症状の進行や再発の防止、合併症対策などが主な目的で、消極的、もしくは保存的な治療といえます。急性期脳梗塞に対しては、脳外科手術もほとんど無力です。こうした脳梗塞治療の虚無主義(ニヒリズム)を打破した革命的な治療法こそが、今回のテーマのt-PA静脈注射療法(t-PA静注療法)なのです。

図1 これまでの脳梗塞急性期の薬物治療(国内)
図1:これまでの脳梗塞急性期の薬物治療(国内)

t-PA静注療法とは何ですか?

では、t-PAという薬剤、あるいはt-PA静注療法とは何でしょう?一言でいうと、血栓を溶かす薬(血栓溶解薬)がt-PAであり、この薬を使って脳への血液の流れ(脳血流)を早期に回復させ、脳を障害から救うのがt-PA静注療法です。

眠れる森の美女-虚血性ペナンブラの話

動物実験で脳血管を詰めると脳梗塞ができます。一方、脳血流を早期に再開させると、完全または部分的に回復します。血流低下が軽いほど、閉塞時間が短いほど、回復は良好です。こうした回復可能な領域を、日食時の半影部分を意味する「ペナンブラ」と呼ぶようになりました<図2>。ペナンブラは、有名な童話の「眠れる森の美女」にも例えることができます。

人でも、詰まった血管を短時間で再開通させることができれば、治療につながる可能性があります。でも、その方法は、簡単には見つかりませんでした。

図2 発症早期に血栓溶解療法が必要な理由:ペナンブラ
図2:発症早期に血栓溶解療法が必要な理由:ペナンブラ

t-PAとはどんな薬?

脳動脈閉塞は、多かれ少なかれ血栓が原因です。血液中にあるフィブリノーゲン(線維素)が、種々の原因で固形成分のフィブリン(線維)に変わり、血栓が形成されます。ちょうど寒天が固まるのに似ています。元々は、傷口から出血するのを防ぐメカニズムなのです。

血液中には、フィブリンを溶解させる成分も含まれています。プラスミノーゲンと呼ばれる前駆体からできるプラスミンです。その作用を増強するのが血栓溶解薬です。最初に開発された血栓溶解薬のウロキナーゼやストレプトキナーゼは、血栓そのものを溶かす作用が弱く、大量に使うと、逆に出血しやすくなるという欠点がありました。事実、CTのない時代にこれらの薬剤を大量に使った脳梗塞治療の試みは失敗しました。つまり、脳出血や死亡者が増え、むしろ有害な結果でした。

1980年代前半、第二世代血栓溶解薬のt-PA(組織プラスミノーゲン・アクチベータ)が開発されました。この薬は血栓そのものに作用しやすく、出血傾向は少ないという特徴がありました。心筋梗塞の原因である冠動脈血栓症に有効性が認められ、その治療に用いられました。

t-PA静注療法による脳梗塞治療革命の始まり

脳梗塞への血栓溶解薬療法の試みは、CTが普及した1980年代後半から再開されました。世界初のt-PA静注療法の本格的な臨床試験は日本で実施され、発症6時間以内にt-PA静注が行われると血流の再開通が明らかに促進されること、さらに、症状も軽くできそうなことが示されました(1993年発表)。しかし、使われたt-PA製剤(英国製)は、特許権の問題で製造販売中止となり、臨床応用も頓挫してしまいました。

発症3時間以内の脳梗塞624人を対象にした米国の臨床試験の結果が、1995年に発表されました。

使用されたt-PA製剤は「アルテプラーゼ」と言い、体重1kg当たり0.9mgが投与されました。3か月後にほぼ無症状となった患者はt-PA群31%に対し、偽薬(見かけは同じだが薬効成分は入っていない物質)群20%で、日常生活に支障がないレベルに回復したのは、t-PA群39%、偽薬群26%でした<図3>。この治療効果は、「奇跡的」と話題になりました。「眠れる森の美女」が目を覚ましたのです。

問題もありました。出血性合併症の増加です。試験では症状悪化を伴う頭蓋内出血が、偽薬群0.6%に対し、t-PA群6.4%で、t-PA群は明らかに高率でした。ただし死亡率は、偽薬群21%、t-PA群17%で、t-PA群は少なめでした。

本試験での好成績により、アルテプラーゼは1996年に米国で「初の脳卒中治療薬」として承認されました。その後、カナダ、欧州諸国など世界40か国以上で承認され、日常診療に使われるようになりました。

わが国の臨床治験J-ACTと保険承認

特許問題で研究が挫折して以来、わが国では長く足踏み状態が続きました。「失われた10年」ともいわれています。2002~04年にやっと、国内承認を目指したアルテプラーゼ臨床治験J-ACT(Japan Alteplase Clinical Trial)が実施されました。発症後3時間以内の脳梗塞103人が対象で、体重1kg当たり0.6mgと海外用量の3分の2が投与されました。

治療成績は<図3>に示す通りです。3か月後の「障害なし」は日本での臨床治験J-ACTで37%で、アメリカの臨床治験での39%とほぼ同じでした。症状悪化を伴う頭蓋内出血は5.8%対6.4%、3か月以内の死亡も10%対17%で、日本での臨床治験の成績の方が良好でした。

日本の臨床治験終了後、厚生労働省に承認申請が行われ、平成17年(2005年)10月11日から、アルテプラーゼが脳梗塞に使えるようになりました。

図3 日本の治験(J-ACT)と米国の治験成績(NINDS)との比較
図3:日本の治験(J-ACT)と米国の治験成績(NINDS)との比較

t-PA静注療法の保険承認のもたらしたもの

アルテプラーゼの保険承認は、急性期脳卒中診療現場に大きな影響をもたらしつつあります。

適正治療指針と全国講習会

日本脳卒中学会は、承認後直ちに「適正治療指針」を作成し、学会ホームページ(http://www.jsts.gr.jp/)と学会機関誌「脳卒中」に掲載しました。この指針には施設基準も定められ、その中で治療実施担当者の講習会受講を必要条件としました<表>。指針講習会は、承認後の半年間に各都道府県で2~3回、延べ約160回開催され、受講者も8,000人を超えました。

市販後調査

厚生労働省は、承認後2.5年間、3,000例以上の使用成績調査(全例調査)を承認条件としました。本薬の製造販売会社からの報告では、承認後18か月間の国内推定使用例数は約5,700例で、月300例以上という当初の予想を上回るペースでした。

使用成績調査がまとまると、わが国の診療現場でのt-PA静注療法の効果や問題点が明らかになってくると期待されています。

表 日本脳卒中学会が勧告した施設基準の骨子

http://www.jsts.gr.jp/

表:日本脳卒中学会が勧告した施設基準の骨子

国立循環器病センターの治療実績

国立循環器病センター脳血管内科での治療成績を紹介します。承認後1年間の発症後3時間以内の緊急入院患者は285人で、132人(46%)が脳梗塞でした。t-PA静注療法はこのうち40人(30%)に実施されました。これは、3時間以内入院の14%、1週間以内入院脳梗塞410人の10%に相当します<図4>。

t-PA静注療法を行った40人の治療成績を<図5>に示します。グラフの縦軸は脳卒中症状を点数化した「NIH脳卒中スケール(NIHSS)」の点数(スコア)です。4点以下はごく軽症なのでt-PA静注は不要です。5~9点は軽症、10~15点は中等症、16点~20点は重症、21点以上は超重症であり、23点以上の患者さんへのアルテプラーゼは慎重投与になります。横軸は評価時期です。

治療を実施した40人のスコアの中央値は、治療前13点(中等症)、治療2時間後9点(軽症)、24時間後8点(軽症)、3週間後3点(ごく軽症)と順調に改善しました。治療24時間後で、スコアが4点以上低下した明らかな改善例は21人(53%)と過半数を超えました。日常生活に支障がないレベル(転帰良好)に改善した患者さんは、3週間後38%、3か月後50%でした。死亡者はなく、発症36時間以内の症状悪化を伴う頭蓋内出血は2人(5%)でした。以上の成績は、極めて良好なものです。

図4 国立循環器病センター脳血管内科におけるt-PA投与頻度(承認後1年間)
図4:国立循環器病センター脳血管内科におけるt-PA投与頻度(承認後1年間)
図5 国立循環器病センターのt-PA治療結果
図5:国立循環器病センターのt-PA治療結果

効果と問題点

t-PA静注療法は、それまでの脳梗塞の治療法に比べ、革命的な治療法です。しかしながら、さまざまな限界や問題点があるのも事実です。

治療を受けられる人、受けられない人

脳梗塞患者のすべてがt-PA静注療法を受けられるわけではありません。日本脳卒中学会が適正治療指針を発表したのも、できるだけ合併症を避け、この療法の効果を高めることが目的でした。

この療法の大前提条件は (1)発症(あるいは発症していなかったことが確認された最終時刻)から3時間以内に治療開始が可能なことです。病院での診断に要する時間も考えると、 発症から2時間目位までに、治療可能な医療機関を受診する必要があります。 (2)観察中に症状の急速な改善 がないこと (3)軽症ではないことも必要です。症状の急速な改善がある場合、軽症である場合は治療しなくても症状が良くなる可能性が高く、脳出血などの合併症の危険性もあるこの療法は不要と考えられます。

出血の危険性を増す悪条件を避ける必要もあります。適正治療指針の「禁忌」(危険が予想され、投与が勧められない症状・状態)の項には、各種出血性疾患の既往、出血の危険性のある頭蓋内疾患、高度の血圧上昇、極端な低血糖や高血糖、血小板減少や抗凝固療法、頭部CTでの広範な病巣などが含まれます。

投与するかどうか慎重な検討が必要な「慎重投与」の項には、出血を起こしやすい状態(10日以内のけがや分娩、月経期間中など)や病気(消化管潰瘍など)、高齢、重篤な神経症状、昏睡などが挙げられています。

合併症とその回避策

最大の合併症は出血です。特に頭の中に出血を起こして症状が悪化する頻度は、t-PA薬を使わない場合の3~10倍とされ、いったん起こってしまうと死亡率も高いという問題があります。合併症回避のための厳格な症例選択が、世界各国のガイドラインで強調されています。欧米の調査では、ガイドライン違反率と死亡率との間に密接な関係があることが示されています。

重篤な出血は、投与後36時間以内(特に24時間以内)に起こりやすく、この間は、頻回の診察と血圧測定が必要です。一定以上の高血圧が続くようであれば、適切な降圧治療を行います。症状悪化時には画像診断を迅速に行い、頭蓋内出血があれば脳外科的処置も含めた適切な治療をします。

救急車と病院体制

t-PA静注療法の普及が本格化した米国では、脳梗塞急性期診療の流れを7Dで表現しています<図6>。7Dとは (1)発見→ (2)出動→ (3)搬送→ (4)来院→ (5)情報→ (6)方針決定→ (7)治療開始を表す英単語がすべてDで始まることに由来します。これらのすべてを、3時間以内に完結しなければなりません。逆算すると、発見から来院までの猶予はわずか2時間です。病院側も患者来院から60分以内に治療を始める必要があります。これは容易なことではありません。

国立循環器病センターでは、1990年代末に、脳血管内科及び脳神経外科の日直・当直医と救急隊とを携帯電話で直結するホットライン体制をつくりあげました。いずれ来るt-PA静注療法時代を見据えてのことです。この仕組みにより、救急隊の搬入要請に対する迅速な対応が可能となり、発症3~6時間以内の緊急入院は3~4倍に急増しました。

t-PA承認を機に、脳血管内科は院内体制をさらに強化し、24時間体制で3人1組のt-PA当番制度を設けました。治療対象になりそうな患者さんの搬入要請を受けた日直・当直医は、直ちにt-PA当番医、検査技師、緊急外来、SCUなどに連絡を入れ、即応態勢を整えます。

国内の脳卒中診療機関の多くが、私どもと同じように、診療体制の強化を図り、t-PA静注療法時代への適応に努めているようです。

図6 t-PA治療の理想的流れ(7つのD)
図6:t-PA治療の理想的流れ(7つのD)

さらなる進歩のために

日本ではt-PA静注療法が始まったばかりです。多くの患者さんがこの療法の恩恵を受けるために、解決しなければならないことがたくさんあります。

市民への脳卒中キャンペーン

t-PA静注療法のことは、一般の皆さんにはまだよく知られていません。テレビ、新聞などのマスメディア、書籍やパンフレット、市民公開講座、学校や会社、老人クラブなどでの講演会などを活用し、脳梗塞のこと、t-PA静注療法の実際を、多くの方々に知ってもらう必要があります。このページの目的もそこにあります。

市民の皆さんには (1)脳卒中の初期症状<図7>を知っていただくこと (2)脳卒中が疑われる場合は直ちに専門病院を受診すること (3)迷う時には「かかりつけ医」に電話相談するか (4)救急車を呼ぶこと を徹底する必要があります。脳卒中の初期症状や初期対応方法については、下記の「循環器病あれこれ」シリーズを参考にしてください。

(2)脳卒中が起こったら

(36)脳卒中予防の秘けつ

イラスト:変だと思ったら、医師に相談
図7 脳卒中の初期症状いろいろ
図7:脳卒中の初期症状いろいろ

救急医療を変えよう

これまでは、病院受診までの時間が多少遅れても、脳卒中患者さんの命や後遺症が大きく左右されることはありませんでした。急性期脳卒中専門病院の概念も、あって無きがごときものでした。t-PA静注療法の承認は、この常識が通用しなくなったことを意味します。米国では、心臓発作を意味するHeart Attack(ハート・アタック)に準じて、脳卒中をBrain Attack(ブレイン・アタック)と呼び、救急疾患として扱うことが強調されています。そのための法律もつくられようとしています。

わが国の体制整備はまだ不十分です。患者さんや家族の方が、直ちにかかりつけ医に電話相談し、救急車を呼び、発症2時間以内に病院に到着できたとしても、t-PA静注療法が実施できるとは限りません。<表>に示した施設基準を満たすのは大変なのです。

米国では、t-PA静注療法が実施可能な救急医療機関を一次脳卒中センター(Primary Stroke Center)として認証し、これを全米くまなく整備する取り組みが始まっています。ヨーロッパでも同様の機運が広がっています。わが国でも、類似の仕組みを作り、そのネットワークを国内中に張り巡らせる必要があります。

もっと治療成績を良くしたい

日本では始まったばかりのt-PA静注療法ですが、欧米では承認からすでに10年前後経過し、次世代の急性期治療への取り組みも本格化しています。

詳細は省略しますが、 (1)t-PA静注療法中に、頭の外から脳血管に向けて超音波を照射し、これにより血栓溶解のスピードアップと治療効果の向上を目指す (2)次世代t-PA製剤と先進画像診断を組み合わせ、発症3~9時間以内の血栓溶解療法を目指す (3)マイクロカテーテルと呼ばれる細い管を脳血管に通し、血栓に直接薬剤を作用させる局所線溶療法を併用する (4)t-PAなどの薬剤を用いず、血管内治療技術で血栓を破壊あるいは摘出する などの方法が検討されています。わが国でも、一部はすでに検討中です。

終わりに

2005年10月にわが国で始まったt-PA静注療法について、簡単に解説しました。この療法が、これまでの脳卒中治療とはまったく異なる意味を持つ積極的治療であること、劇的改善を期待できる一方で、頭蓋内出血という危険な側面も併せ持っていることなどがお分かりいただけたでしょうか?

少しでも多くの患者・家族の皆様が、国内のどこに住んでいても、この新しい治療法の恩恵を受けられるよう、脳卒中救急医療体制の改革、一次脳卒中センター網の全国整備を急ぐ必要があると思います。

皆様のご支持、ご声援をお願いします。

 

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