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[114] 脳出血 最新情報と対処法

「知っておきたい循環器病あれこれ」は、「公益財団法人 循環器病研究振興財団」が循環器病に関する最新情報を分かりやすく解説した発行物を、国立循環器病研究センターが許可を得てHTML化したものです。
文章・図表・イラスト等の転載・引用のご相談は循環器病研究振興財団までご連絡ください。

国立循環器病研究センター
脳血管内科
吉村 壮平

リハビリ継続には趣味と仲間が大切

もくじ

  1. はじめに
  2. 脳出血は日本の国民病
  3. 脳出血の原因―生活習慣と高血圧
  4. 脳出血の症状
  5. 脳出血の治療―すぐに救急車を
  6. 脳出血を起こした後
  7. こんなときはどうする
  8. おわりに

はじめに

突然、意識がもうろうとしたり、半身麻痺になったりして倒れてしまう脳卒中は、脳へ血を送る血管の異常によって起こる三つの病気の総称です。

その三つは、血管が詰まって起こる脳梗塞、血管が破れて起こる脳出血と、くも膜下出血です〈図1〉。今回はこのうち脳出血について最新情報をもとに解説します。

図1 脳卒中の種類

脳出血は、脳溢血と呼ばれることもあります。脳の血管が破れて脳の中に出血し、その血液の塊が脳細胞を圧迫して壊してしまうことで、突然に頭痛、運動麻痺や言葉の障害、意識が悪くなるなどさまざまな症状が起こります。

症状の程度もいろいろで、軽いしびれ感だけの場合から、一生手足の障害が残ってしまう場合、さらには命の危険につながることもあります。

こう説明すると、とても怖い病気だと心配される方もいらっしゃると思います。「父親が脳溢血で亡くなったので、自分もそうならないだろうか?」とか、「ときどき頭痛やめまいがするのだけど、脳出血の前触れじゃないかしら?」とか、「自分はもう歳だし死ぬのは怖くないが、 障害が残って家族に迷惑をかけるのはいやだなあ」とか。

脳出血は確かに恐ろしい病気です。心配なこともありましょう。しかし、どのような病気かをよく知らないために、要らぬ心配をしたり、逆に脳出血を起こしやすい生活をしてしまったりすることがあってはなりません。

このページを読んでいただければ、脳出血はどのような病気か、その予防法、症状が出たときの対処法、脳出血を起こしてしまった後の生活について、正しく理解していただけると思います。

脳出血は日本の国民病

脳卒中は、がん、心臓病とともに日本人の3大死因とされてきましたが、2012年に肺炎による死亡が脳卒中を上回り、現在は日本人の死因の第4位です。

では、脳卒中による死亡の内訳をみてみましょう。〈図2〉をご覧ください。1960年代初頭の脳卒中死亡の大部分は脳出血でしたが、1970年頃から、急激にその割合が減っているのが分かります。この大きな変化はなぜでしょうか?

図2 脳卒中の死亡率の推移 厚労省「人口動態統計」より

脳出血の原因は、後ほど詳しく説明しますが、その大部分は高血圧が原因です。昔の日本人には重症の高血圧の方がたくさんいました。漬け物、干物、みそやしょうゆといった調味料などからたくさんの塩分を口にしていましたし、効果的な高血圧治療薬(降圧薬)はまだありませんでした。

その後、脳卒中予防に高血圧の治療が重要であることが分かり、塩分を取りすぎないよう指導されるようになり、効果の大きい降圧薬が広く用いられるようになりました。

住民健診、社員健診の普及で高血圧の早期発見が可能になり、国民皆保険制度で長期間治療できるようになったことも大きな出来事です。こうして高血圧の治療がうまくいくようになり、さらに病院での脳卒中治療技術が向上したことで、脳出血による死亡が年々減ってきました。

では、脳出血はもう過去の病気でしょうか?そう簡単にはいかないのです。近頃は以前と違った問題が生じてきたのです。

一つは高齢化の問題です。年齢別の脳出血発症の割合をみると、80歳未満では年々、減ってきたのに、80歳以上では逆に増加しています。

高齢者が増えたことと、高齢者では高血圧治療の管理が難しいことがその理由と考えられています。高齢者に特有の「アミロイドアンギオパチー」(アミロイドという蛋白質が脳血管にたまって起こる血管障害)という病気による脳出血も増加してきていると言われています。

もう一つの問題は、抗血栓薬(血管の中に血液の塊ができにくくする薬。たとえばアスピリン)を内服する患者の増加です。

生活習慣の欧米化、社会の高齢化などで、動脈硬化性疾患(心筋梗塞、脳梗塞、手足の血管の動脈硬化による末梢動脈疾患)や心房細動といった病気が増え、これらの病気の再発予防には抗血栓薬の内服が重要だからです。しかし、この薬には出血しやすくするという副作用があります。血液の塊ができにくくすることは、血が止まりにくくなることにつながるのです。

だから、抗血栓薬を服用している患者の脳出血が近年増えてきたと考えられており、このような患者では、脳出血が重症化しないか、細心の注意を払って治療することが重要です。

日本人を含む東アジア人は、他の人種に比べて脳出血をより起こしやすいことが分かっていますから、われわれ日本人にとって脳出血は引き続きあなどれない、やっかいな病気なのです。

脳出血の原因―不適切な生活習慣の末、高血圧が最大の原因

では、脳出血にならないためにはどうしたらいいでしょう。それを知るためにはその原因が何かを知っておかねばなりません。脳出血の最大の原因は、ずばり高血圧です。

長年血圧が高いままほうっておくと、脳の血管に負担がかかり続け、極めて細い動脈(直径200-300μm=注)の壁が傷んで血管壊死という状態になり、ついには破れて血管の外、つまり脳の中に血液があふれ出てしまうのです。

(注)μm:マイクロ・メートルの略。1μmは0.001ミリ・メートル

さらに言いますと、高血圧は血管を傷め、動脈硬化の原因となりますから、心筋梗塞、脳梗塞、末梢動脈疾患、くも膜下出血などの病気の主要な原因の一つでもあります。高血圧は生活習慣病、つまり塩分の取りすぎや偏食、喫煙、飲酒、運動不足、肥満、ストレスなどの生活習慣〈図3〉が原因ですから、脳出血を含む脳卒中(加えて心筋梗塞などの動脈硬化性疾患も)は、生活習慣の乱れがそもそもの原因と言うことができます。

図3 生活習慣病の原因

ですから、脳出血は基本的に遺伝する病気ではありません。ご両親が脳出血を患っていたとしても、自分もいつか脳出血になってしまうのではないかと心配する必要はありません。

しかし、生活習慣は小さな頃から一緒に生活してきた親と似てしまうものです。ご両親が脳卒中を患った、高血圧であった、などという場合、自分は塩分を取りすぎる生活をしていないか、お酒の量は多すぎないか、運動する習慣は身についているか、などの視点で生活習慣を振り返り、もし問題があれば、ご自分の強い意志で生活習慣改善に取り組んでほしいと思います。

脳出血のその他の原因として、脳血管の異常(動脈瘤、血管奇形、もやもや病など)や、脳腫瘍からの出血、血液の病気、肝臓の病気、重症感染症などがありますが、それほど頻度が高いわけではありません。

繰り返しますが、問題は生活習慣病です。だから、一番注意を払ってほしいのは、病気をしたことがなく病院にかかっていない方も、1年に1回ぐらいは健康診断を受け、自分の体の状態、生活習慣の乱れをよく知っておくことが重要なのです。

さきほど少し触れましたが、高齢者には出血の原因に「アミロイドアンギオパチー」という病気があります。以前はそれほど多い病気ではありませんでしたが、高齢化社会になって注目されています。

高血圧がなくても脳のいろいろなところの血管がもろくなり、脳出血を繰り返し起こしてしまうやっかいな病気です。はっきりとした原因や予防法は残念ながらまだ分かっていません。少なくとも、血圧が高くならないようにする、抗血栓薬を使いすぎないようにする、などの注意が必要でしょう。

脳出血の症状―卒然として中る。FAST

脳出血予防の話をしてきましたが、ここからは、万が一脳出血を起こしてしまった時のための話をします。

まずは脳出血の症状についてです。症状は、脳梗塞の場合と同じで、症状のみで脳出血か脳梗塞かの区別は難しいです。それは突然に起こる、半身(右手足または左手足)の麻痺や感覚の異常、意識状態の悪化、目の動きの異常、目の見えにくさ、言葉の異常、歩行障害、頭痛、めまい、嘔吐、痙攣、呼吸障害などさまざまです。出血を起こした脳の場所〈図4〉や、出血の程度によって症状が違うのです。とてもすべては覚えられませんよね。

図4 出血の部位による分類

脳出血の起きやすい部位は分かっています。それぞれの部位の名前により、
被殻出血、視床出血、皮質下出血、橋出血、小脳出血に分類されます。


図5 脳卒中の特徴的症状を訴えるFAST運動図6 脳出血の頭部CT画像(矢印部分が脳出血)

しかも、このなかの頭痛、めまい、嘔吐などの症状は、脳出血以外の病気でもよく起こる症状ですから、紛らわしいのです。実際、感染性胃腸炎(嘔吐下痢症)と診断されて消化器内科に入院したけれど、どうもおかしいということで頭部CTを撮ってみると、実は小脳出血であった、という診断の難しい症例もあります。

ポイントは「突然に」起こることと、「顔、腕、言葉」の症状です。「卒中」という言葉は、「卒然として中(あた)る」、つまり突然、邪気のような病気の原因にぶつかったみたいに倒れることから来ています。

顔(face)、腕(arm)、言葉(speech)の異常は脳卒中に特徴的な症状で、それぞれの頭文字をとって、FAST(Tは症状がでた時間=time)というキャンペーンが行われています〈図5〉。このような場合はすぐに救急車を呼んで受診しましょう。また、経験したことのないような激しい頭痛やめまい症状が続く場合や、症状が徐々にひどくなる場合も、病院を受診するのが無難でしょう。

脳出血の診断は頭部CTで比較的容易にできますが〈図6〉、血管の形に異常がないかを調べたり、脳梗塞かどうかを診断したりするために、MRIを用いることもあります。

一方、以前から時々経験したことのある頭痛やめまい感は、脳卒中によるものではない場合が多く、すぐに救急車を呼ぶほどではないでしょう。とはいえ、ご本人にとっては生活に困る頑固な症状でしょうから、主治医や神経内科の先生に相談してみてください。よい対処法がみつかることもあります。

脳出血の治療―寝かせたまま動かすな...は古い慣習。すぐに救急車を

ここから脳出血の治療について話を進めます。さきほど説明したような脳卒中の症状が出たら、すぐに救急車を呼びます。意識障害があるか、嘔吐していたら、嘔吐物をのどに詰まらせないよう横向きに寝かせてあげて救急隊の到着を待ちましょう〈図7〉。

図7 意識の悪い時の寝かせ方

数十年前まで、脳卒中になったらその場から動かすな!が常識でした。でも現在は違います。いち早く病院に運び、脳卒中専門のチームが診療することで、死亡率を低下させたり、退院後の生活動作をよくしたりすることが可能だと分かっているからです。たとえ軽い症状でも、時間がたつほどに症状が重くなることがありますので、早く病院にたどり着くようにしましょう。

病院に着いて、脳出血の診断がついたら即、入院し、治療開始です。

脳出血は、破れた血管から脳の中にあふれ出す血液が止まらなければ、麻痺が強くなったり、呼吸が不安定になったり、意識が低下してしまいます。また、出血の周りの脳は、炎症を起こして腫れてきます。この脳の腫れによっても症状が悪くなってしまいます。

最初の数日間の治療がとても大切です。入院中は、ベッドで安静にし、高血圧の治療が行われます。血管から脳へあふれ出る血液を少なくするためには、血圧を下げた方がよいと考えられていますが、どのくらいまで下げればよいかは、まだはっきり分かっていません。最近は、収縮期血圧(血圧の上の数値)を140mmHg程度まで薬で下げることが多いようです。ただし、個々の患者さんの状況によって、この目標値は変わります。

そのほか、脳の腫れが起きてきた場合は脳の腫れをとる薬を使用したり、呼吸の状態が悪い場合は人工呼吸器を使用したりします。また脳出血のストレスによる胃潰瘍や、肺炎などの感染症の治療、さらに安静にしている間に足の静脈にできる血の塊を予防する治療などを行います。

最近は、抗血栓薬を服用している脳出血患者が多く、この場合原則として抗血栓薬はいったん中止します。一部の抗血栓薬に対しては、その効果を急速に弱くする中和薬があり、それを投与する場合があります。

このように、脳卒中専門のチームは、頭だけではなく全身の治療を注意深く行うわけですが、それでも症状が悪くなってしまうときは、手術が必要になる場合があります。

頭の骨を開けて、血の塊を取り除いたり、脳の中にたまった水を外に出して脳の圧迫を減らしたりする手術です。手術によって退院後の生活動作がよくなることを期待できる方もいますが、残念ながら脳出血の症状を手術でなくしてしまうことはできません。血管からあふれ出た血液による圧迫で破壊された脳の傷は、血液を取り除いても残ってしまうからです。出血の場所によって手術が難しい方もいます。いずれにせよ、脳卒中専門のチームがよく考え、患者さんやご家族と相談して手術をするかどうか判断をします。

脳出血を起こした後―リハビリと再発予防

脳出血を起こした直後の治療について話してきましたが、もっと長い目で、退院した後の生活まで含めて説明します。

脳出血を起こした後に重要になってくるのは、起きてしまった症状・障害をいかに軽くするか、二度と脳出血を起こさないためにはどうしたらいいか、の2点です。

1)リハビリテーション―退院後も自分なりに工夫して続ける

脳出血による麻痺などの症状はその後どうなっていくのでしょうか。

血液の圧迫により脳にできた傷は一生残ってしまいます。基本的に、死んでしまった脳細胞は生き返らないのです。症状を消してしまう手術や薬もありません。症状をなるべく軽くし、生活がうまく送れるようにするための治療が、リハビリテーションです。

症状が悪くならないか気をつけながら、入院早期からリハビリを開始します。リハビリには、立ち上がりや歩行などの訓練をする運動療法、箸を使ったり家事の訓練をしたりする作業療法、言葉を話したり、食べ物の飲み込み方を訓練したりする言語療法があり、個々の患者さんに適切な訓練を組み合わせて行います。リハビリで症状や障害がよくなる時期は、だいたい半年くらいまでとされており、その期間はリハビリ専門病院で訓練を続ける必要があります。

リハビリ病院を退院した後も、患者さん自身が工夫してリハビリを続けることが大切です。人間ですから、使わない機能は衰えて行きます。せっかくリハビリで改善した症状も、退院後に使わなければ、また衰えてしまいます。

年齢を重ねるだけで体の機能は衰えて行きますが、脳出血などでいったん障害の起きた体の機能は、障害がないところに比べて年齢による衰えも強く出てしまいます。ですから、例えば左半身の麻痺が出た方は、なるべく意識して左半身をよく使う工夫を続けるのが望ましいのです。

とはいえ、退院後に自分ひとりでリハビリを続けるのはつらいこともあります。いかに楽しく、気分を盛り上げてリハビリ的な活動を継続できるかがポイントです。趣味と仲間を持つことをお勧めします。カラオケでも将棋でも旅行でも盆栽でも構いません。好きなことをするために、家の外に出かけたり、人と会って話したり、図書館で調べたりしてみてください。好きなことなら続く可能性が高いのです。

また、ヘルパー訪問やデイサービス、ショートステイ、訪問診療などの介護サービスも積極的に利用することをお勧めします。「他人の助けは借りたくない。恥ずかしい」という方もいらっしゃいますが、核家族化が進む現在、家族の介護負担を減らし、良好な介護生活を長続きさせるためにも、利用できる社会サービスは利用するのが得策です。

2)再発予防―血圧の自己管理、バランスを考えた薬物治療

一度脳出血を起こした方は、そうでない方に比べて再度脳出血を起こす可能性が高くなってしまいます。脳出血は高血圧などの生活習慣病によって脳の血管が傷んだ結果起きますから、一度脳出血を起こしたということは、脳の他の血管にも少しずつ傷みがでてきているということだからです。

最近はMRIの検査で、症状を起こさないような小さな脳出血の傷跡を見つけることができるようになりました。脳出血を起こした方の脳のMRIをみてみると、小さな出血の傷跡が知らないうちにできていることがよくあります〈図8〉。このような小さな脳出血の傷跡がいくつもある方は、より注意深く脳出血再発予防をしなければなりません。

図8 頭部MRIで見えるごく小さな出血の傷跡(矢印部分)

他の病気に対して抗血栓薬を飲んでいる人も注意が必要です。主治医は、心筋梗塞や脳梗塞などの動脈硬化が原因で血管が詰まる病気の予防(血を固まりにくくすること)と、脳出血予防(出血しにくくすること)の両方のバランスをよく考えて、抗血栓薬の治療を続ける方がいいのか、続ける場合はどの薬を用いるのがよいか、まさに悩みながら治療します。「脳梗塞は予防できたが、脳出血になってしまった」では意味がありませんから。

ただし、出血が怖いからといって、自分で勝手に抗血栓薬をやめてしまうことは控えてください。あなたにとってとても大切な薬が使われているかもしれません。最近は、副作用としての脳出血をより起こしにくい抗血栓薬も用いられるようになっています。治療内容について心配なときは、薬を処方してくれている主治医によく説明をしてもらってください。

再発予防のために、主治医に処方してもらう薬はとても大切ですが、自分で工夫できることはないでしょうか?

ぜひ自分で家庭での血圧測定と記録をしてみてください。血圧は、季節でも変動しますし(通常冬の方が高くなりやすい)、一日の中でも、秒単位で上がったり下がったりするのが普通です。数週間に一回だけ、かかりつけの病院で測定しただけでは、いつもの血圧がどのくらいかは判断が難しいことがあります。毎日だいたい決まった時間に自分で血圧を測り、ノートに記録して外来受診の時に持ってきてもらえば、主治医は降圧薬の調整がしやすくなります。

また、自分の血圧がどのくらいかを自覚できれば、塩分の取りすぎに注意するなど、生活習慣改善の第一歩ともなります。血圧管理は自分で行うべきものと自覚して続けましょう。

具体的な血圧の目標値ですが、一般的にはまず140/90mmHg未満にすることが第一目標です。可能であれば130/80mmHg未満を目指すことが勧められています。ただし、ご高齢の方や動脈硬化が進んだ方は、血圧の下げすぎによるふらつきなどが起こることもありますので、こうしたことを勘案して目標の血圧値を設定します。

脳出血を起こしたからといって、その後の生活で制限しなければならないことは、それほど多くありません。できる範囲の適度な運動はむしろ積極的にした方がいいですし、飛行機、船などでの旅行なども構いません。ただし、麻痺などの症状が残っている場合、自動車の運転は危険なことがありますので、可能かどうか主治医に確かめてください。

暴飲暴食は控え、塩分控えめ、腹八分、禁煙、節酒(1日平均日本酒1合未満)などの生活習慣改善に取り組んでください。血圧が過度に上昇するのを予防するために、冬期は部屋の中が寒くなり過ぎないように暖房したり、外に出るときは暖かい服装にしたり、工夫してください。バーベル挙げのような一瞬に激しく筋肉を使うスポーツも、急激に血圧が上がるので避けた方がよいかもしれません。それから、薬の飲み忘れは絶対にないように努力しましょう。どうしても飲み忘れる方は、薬をすべて朝方にまとめるとか、一度に飲む薬を一緒の袋に入れるなど、工夫できますので、かかりつけの医師や薬剤師に相談してみてください。

こんなときはどうする

脳出血後の痙攣

大脳の表面近くに出血した場合や、比較的大きな出血の場合、その脳出血の傷跡が原因となって、しばらくしてから痙攣発作を起こす方がいます。初めての発作の場合や、発作が数分以上続く場合は病院を受診してください。適切な薬を内服することで、その後の発作を予防できます。

「自宅で測った血圧が160もある」

心配になって何度も血圧を測り、さらに血圧が上がってしまい、とうとう救急車まで呼んでしまう方がいますが、一時的にこの程度の血圧だったとしても、すぐに脳出血になることはありません。先ほど触れたように、血圧はすぐに変動します。一回一回の血圧の値で一喜一憂する必要はありません。

大切なのは、だいたい、毎日の血圧が目標値を達成していることです。時々血圧が高いな、と思ったら、次回外来を受診するときに主治医に相談すればいいのです。

「最近手のしびれが強い気がする」

いつもの症状に比べて明らかに強い症状が、突然、出たときは、再発の可能性がありますのですぐ受診してください。また、脳出血のあと数か月して、後遺症のしびれ感が強くなることがあります。また、天気が悪い日や風邪を引いたときにしびれ感が強くなるのも、よく経験されることです。触れただけで痛みを感じるなど、あまりひどい症状の時は薬を使うこともありますので、主治医に相談してみてください。

「何もする気が起きない」

脳卒中後は、入院が長くなったり、後遺症のため生活が不自由になったりして、気分が落ち込むことが多くなります。家族の援助、退院し自宅へ戻る、社会サービスの利用などの働きかけで改善する場合もありますが、改善がみられず、程度がひどい場合「うつ状態」になり、専門医による治療が必要な場合もあります。逆にいえば、適切な治療により改善する可能性がありますので、主治医に相談してください。

おわりに

このページをお読みになって、あなたが脳出血について抱いておられた不安は、少しは解決できたでしょうか。ここだけで、脳出血のすべてはとても紹介できませんので、残った疑問点は主治医に質問してください。また、日本脳卒中協会ホームページ(http://www.jsa-web.org/index.html)などで勉強していただくのもよいでしょう。

脳卒中は、わが国の死因順位第4位、要介護原因(寝たきりの原因)第1位であるだけでなく、死因第3位の肺炎、要介護原因第2位の認知症、第3位の骨折・転倒の原因としても重要です。脳出血は、よりよい治療法の開発はもちろん大事ですが、患者さんを社会全体で支えるための仕組みとか、一人一人が病気になったときの適切な対応を知っておくことがとても重要な病気です。このページが皆さんの理解の助けになれば、幸いです。

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