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[100] 元 NHKアナウンサー山川さんの脳梗塞からの生還記

「知っておきたい循環器病あれこれ」は、「公益財団法人 循環器病研究振興財団」が循環器病に関する最新情報を分かりやすく解説した発行物を、国立循環器病研究センターが許可を得てHTML化したものです。
文章・図表・イラスト等の転載・引用のご相談は循環器病研究振興財団までご連絡ください。

 

症状消えても安心せず

元 NHKアナウンサー山川さんの脳梗塞からの生還記

循環器病研究振興財団は、患者さんや家族の皆さん、社会への情報発信として「知っておきたい 循環器病のあれこれ」の冊子を1998年から発行してきました。脳卒中、心臓病、高血圧症など循環器病の予防・治療・リハビリについて、国立循環器病研究センターでの診療・研究をもとに、最前線の情報を紹介し、今回100号を迎えました。

その特別企画として、脳梗塞で倒れたあと、言語障害を過酷なほどのリハビリで克服、社会復帰された元NHKアナウンサー山川静夫さん(80)に、ご自身の体験を中心に山口武典・循環器病研究振興財団理事長(国立循環器病研究センター名誉総長)との対談をお願いしました。

山口武典理事長 山川さんといえば、NHK紅白歌合戦の白組司会者、「ひるのプレゼント」「ウルトラアイ」などを担当されたアナウンサー、さらに歌舞伎評論家、文筆家として、皆さんよくご存じと思います。山川さんが脳卒中の70パーセントを占める脳梗塞(心原性脳塞栓症)に見舞われ、失語症が残ったのは平成12年(2000年)1月のことでした。まず発作前の健康状態から伺います。

山川静夫さん NHK時代は定期健診を受けたり、受けなかったり、健康には案外、無頓着でした。一度、期外収縮があると言われたことがありますが、健康にはあまり関係がないということで、のんびり構えておりました。ただし、勤めているのはいいことで、勤めているからこそ、日々の規則正しい生活が裏打ちされています。ところが、平成6年に定年退職したら、この裏打ちがなくなった。

いくら夜遅くても、朝、いくら遅くまで寝ていてもいいのですから、ついつい飲む機会も増える。血圧がどんどん上がり、肥満体になってきました。体が重くなると動きも鈍くなる。悪いことづくめです。

熱心に体験を語る山川静夫さん(左)と対談する山口武典理事長

山口 規則正しい生活が定年をきっかけに乱れる。よくある話です。

言葉を失った夜

山川 定年から5年後、平成11年のクリスマスあたりから、せきが出て体調がよくなかったんです。しかし、正月もよく飲んでました。で、1月16日の夕食後、横になってテレビを見ていたら、腕がぶらっと下がって、全然きかない。何か言おうとしても、ろれつが回りません。即、救急車を呼んでもらい、近くの都立荏原病院に入院しました。

山口 そのとき、頭が痛いとか、どんな具合で?

山川 とにかく、ふぬけの状態でした。発作前、就寝の時に心臓がものすごくドキドキして、不安なことがよくありました。

山口 おそらく心房細動(不整脈の一種)が起きていたのでは...。

山川 そうだと思います。入院翌日、主治医の先生から、心臓にできた血栓が脳に飛んで、言語中枢の方に行く血管に詰まったと聞きました。

山口 その血栓を溶かし、血流を再開するt-PA(血栓溶解薬)による治療を入院後、すぐに受けられたのですね。この薬は、効果が期待されながら、当時はまだ臨床試験中で認可が下りていませんでした。

t-PAの効果

山川 たまたま入院先が臨床試験の参加施設、しかも主治医の先生がその担当者、希望があればこの薬を使おうということで、私の知人の医師に相談してもらい、投与が決まりました。発作後、3時間以内(現在は4時間半以内まで使用可能)でないと使えない薬ですが、私の場合は発作から、1時間半ほどで打ってもらいました。

山口 入院までに時間がかかっていたら、病院が臨床試験に参加していなかったら、主治医が担当者でなかったら、受けられなかったところです。ラッキーでしたねえ。t-PAが認可され、投与できる病院が増えた今でも、脳梗塞を起こした人で3時間以内にt-PAを受けることができたのは、約4パーセントに過ぎません。

山川 病気が治るということは運もありますね。医術、t-PAという新薬、リハビリ。その三拍子がそろって、今があるのです。

山口 リハビリに過酷なまでに取り組まれたのは、脳卒中医療関係者の間では有名な話です。

発症当日の山川さんの脳MRI画像

五感を総動員して特訓

山川 アナウンサーがしゃべれないのは困ったことで、社会から身を引いてしまわなくてはならない。これは大変なことになったと、ものすごくハードなことをやった訳です。病院のリハビリというのは手ぬるいですね。月、火とやって、次は金曜日といった具合。それでは間隔があいてだめなんで、自分でもやることにしました。

失語症をなぜ克服できたのか? アナウンサーだったからです。アナウンサーの初期訓練はすさまじいものです。「ア、エ、イ、ウ、エ、オ、ア、オ」「カ、ケ、キ、ク、ケ、コ、カ、コ」......。ア行からワ行まで発声練習を毎朝100回もやるんです。それを思い出し、「アナウンス読本」という教科書を開き、テープレコーダーを片手にずっとやりました。

山口 さすが、しゃべることのプロ、ハードル(目標)が高いですね。

山川 普通の人なら、カタコトでも意思疎通ができれば、それでいいと納得されるかもしれませんが、こちらはそうはいかない。テープレコーダーで声の調子を確かめ、まだまだダメだとはっぱをかけるんです。

日記もつけました。「読み、書き、そろばん」といいますが、そろばん、つまり計算力も落ちますね。読解力も落ちる。読んでも頭にはいってこない。朗読もできない。ですから、リハビリは必死でやりました。

いま、よく言うことですが「リハビリは24時間だ。24時間でなければだめだ」と。もちろん24時間連続してはやれませんが、起きている間はまずリハビリです。

山口 山川さんの話しっぷりは、若々しくて明瞭、失語症があった方とはとても思えません。往年の〝山川節〟、完全復活(笑)。

普通にしゃべれるようになるまでにどれくらいかかりましたか?

山川 いまでも毎日がリハビリです。なんとかしゃべれるようになるまでに1年半ぐらいかかったかなあ。

山口 先ほど病院のリハビリは手ぬるいと、耳の痛いご指摘がありました。病院の名誉のために言っておきますと、山川さんが倒れられた当時と比べ、病院でのリハビリはより積極的になってきました。「急性期リハ」は、起こったその日から始まり、2週間ぐらいで「回復期リハ」に入り、3?4時間のリハビリをします。

山川 もちろん専門スタッフによるリハビリが基本です。同様に大切なのが、自分でも特訓することです。私の体験をもう少し説明します。

発声練習のほか、テレビ画面を見て実況放送のまねごとをしたり、看護師さん相手にしゃべったり...。歌舞伎の、「三人吉三(さんにんきちさ)」や「白波五人男(しらなみごにんおとこ)」の解説もしましたが、ろれつが回らないので伝わったかどうか。とにかく、なんとかもう一度しゃべりたいという一念と、もう自分でやるしかないという気力でやってきました。

文楽の住大夫のリハビリに威力

山口 その特訓が周りの方のリハビリにも威力を発揮していますね。

山川 尊敬する文楽の太夫、人間国宝の竹本住大夫(すみたゆう)が昨年、脳梗塞で倒れました。そこで、ぼくは例の「ア、エ、イ、ウ、エ、オ、ア、オ」の図表を大阪へ送り、電話口で住大夫に大声で発声してもらったりしました。これだけでなく、日々涙ぐましいほどのリハビリを続けられたようです。めでたくこの1月、舞台に戻ってきました。

文楽の人形遣いで大親友の吉田簑助(みのすけ)は脳出血をやった。しゃべれなくなったのですが、幸いなことに人形の頭を扱う左手の方は大丈夫だった。まひした右手をリハビリして、舞台に復帰しました。二人のリハビリぶりに、職業意識というか、何としても治りたいという執念を感じました。気力と執念、そういうものが人間の回復力を生み出すんですねえ。

義姉が脳梗塞で半身不随になり、介護施設に入っています。ここには言語中枢に障害が起きた人が大勢いて、看護師さんからリハビリの手伝いを頼まれます。「ア、エ、イ、ウ、エ、オ、ア、オ」から始めますが、皆さん、声が小さい。「ダメですよ。もっと大声で」と激励し、厳しく指導しています。リハビリは形式に流れやすく、なまぬるいやり方では効果がありません。やはりハードルを次第に高くし、厳しくやることです。でも、苦痛になってはいけません。向上を楽しみにしないと...。

脳の右半球と左半球の差

山口 患者さんが、自分のリハビリ体験をもとに新しい患者さんに教える。患者さんの指導に欠かせない重要なポイントです。山川さんが指摘されるように、患者さんに積極的にリハビリに取り組む意欲があるかどうかが一番、大切な点です。

一般的に右利きの人が、脳卒中で左の脳をやられると、失語症になります。では、右の脳がやられて失語症がないからいいかというと、そうではありません。右脳がやられると意欲がなくなります。

左の脳がやられ、失語症になった場合、回復が悪いのではと思いがちですが、むしろ左脳をやられた患者さんの方が、リハビリにのりやすいと言われています。右半球がやられると、ぼーっとして意欲が出てこない。だから右と左で大分、状況が違います。

言語中枢は左です。山川さんの場合、左がやられても、ひどい失語症ではなかったから、よかったのです。ひどい失語症になると、人の言うことがわからないし、人に意思を伝えられない。非常につらい思いをされることになります。

言語中枢はどこに?

山川 なるほどねえ。失語症のリハビリも発声訓練だけではダメで、書くとか、読むとか、言語中枢を複合的、組織的に刺激しないと活性化しないし、難しいことですが、意欲をもってもらう配慮が必要ですね。

山口 おっしゃる通りだと思います。いったん脳梗塞が起きたら、再発予防が課題となります。ライフスタイルをどう改善しました?

歌舞伎は身を助ける

山川 まず、早寝早起きに切り替えました。驚くべきことに、夜は8時半か9時までに就寝。夜のテレビで見たい番組は録画して翌日観賞。朝は4時半起床、5時から1時間散歩、帰ってきて朝食。そのあと、前日のことを日記にまとめます。3食何を食べたのか、何をしたのか、どのくらい覚えているかをチェックしながら手書きします。なにしろアナログ人間ですから、パソコンはダメなんです。

昼間はよく歌舞伎を見に出かけます。その感想や劇評も日記に記入しておきます。芝居に行くのは、いい運動になりますねえ。メモをとるため手を動かす、ストーリー追うため頭を使う、役者の動きを目と耳で追いかけるといった具合。それに行き帰りによく歩きますから。

最近「歌舞伎は恋」(淡交社)という本を出しました。学生時代から60年にわたってのめりこんできた歌舞伎の世界、つまり役者とその芸への熱烈な思いをつづったものです。趣味の歌舞伎がリハビリにつながり、本にもなった。まさに趣味は身を助けるのです。

山口 疫学調査で酒は1日1合から1合5勺までとされています。山川さんはどれくらい? 食生活についてもお尋ねします。

山川 (普通の350ml入りより小さい)250ml入り缶ビールを1日1缶。ジョッキではすぐなくなるので、小さなコップにしました。すると、何杯も飲んでいるという意識が働きます。そういうことにも知恵を働かせてね。昔はぐいぐいやっていましたが、今はチビリ、チビリ(笑)。

生まれた静岡には清水港からマグロが、焼津港からカツオが入ってくる。マグロのトロは東京市場へ行ってしまうので、残りの赤身をたくさん食べて育ちました。茶どころで、緑茶を三度、三度、飲んでます。脳梗塞が比較的軽くてすんだのは、魚とお茶のおかげかなと思っています。

山口 同感です。牛肉、豚肉など肉類に比べれば魚は絶対に有利。ドコサヘキサエン酸という脂があって、体にとてもいい。緑茶には今話題のカテキンが含まれていますからね。

血管は入れ替わらない

山川 ところで、先生に質問があります。脳梗塞など脳卒中で脳の一部の細胞が死んじゃった場合、その細胞はよみがえりませんか?

山口 死んだ細胞の周りの細胞が、トレーニングすることによって、悪くなった細胞の働きの代用するようになると考えられています。ですから、再生しません。

山川 全身の血液は生まれ変わりますね。髪の毛や皮膚も生まれ変わる。では、全身の血管の方は入れ替わるのでしょうか。

山口 難しい質問ですが、入れ替わらないと思います。動脈硬化が進んでいくと、古くなったゴムの管のように固くなってしまう。それに血圧が高いと、血管の内皮が傷ついて血栓ができやすくなります。

山川 皮膚や髪の毛の細胞は入れ替わるけれど、血管は入れ替わらない。これは大変なことですね。だから血管を大切にしなくては。

〝5過ぎ〟さようなら

山口 血管を健やかに保つには遺伝も影響しますが、やはり生活習慣がかぎとなります。市民健康講座などで「〝5過ぎ〟はやめましょう」と呼びかけています。「食べ過ぎ」「飲み過ぎ」「吸い過ぎ」「働き過ぎ」「怠け過ぎ」の〝5過ぎ〟です。食べ過ぎると糖尿病になります。肥満も起こります。たばこの吸い過ぎは動脈硬化につながりますし、肺がんにも関係します。飲み過ぎも、塩辛いものをさかなに飲みますから、さらに血圧が上がりやすく、高血圧になっていきます。怠け過ぎると太ります。

日ごろから〝5過ぎ〟にご注意

働き過ぎるとストレスがかかって血圧が上がってしまいます。

循環器病の予防に「〝5過ぎ〟のない生活が一番」と呼びかけますが、皆さん、症状がないうちは、あまり守ってくれません。

山川 日々実行し、継続してもらうには、やはり楽しさというか、「おもしろいな」という要素が必要でしょうね。

「かるしおレシピ」をどうぞ 

山口 それに該当するかどうかわかりませんが、国立循環器病研究センターは、高血圧予防・ケアとして、1日の塩分をわずか数グラムに抑えながら、うまい減塩食にした献立をまとめた「国循(こくじゅん)の美味しい! かるしおレシピ」(セブン&アイ出版)を出しました。センターの調理師長が京都の料亭で修業した人で、だしをうまく使って塩分を控え、京料理風の美味を実現した料理が紹介されています。

手前みそですが、この本、非常によく売れているようです。奥様方がお読みになって、調理していただければ、と思っています。

「かるしおレシピ」の表紙

「かるしおレシピ」の表紙

ワーファリン問答

山川 血液がさらさらになるワーファリン(ワルファリン)を飲み続けていますが、ぼくは4錠、この薬の飲み仲間は2錠。だから、「お前の方が2倍症状が重いんだ」「おれの方は軽症」といった話が、仲間うちでよく持ち上がります。服用量が多ければよいのか、少なければよいのか。あさはかな質問でしょうか。

山口 あさはかです(笑)。個人の体質によってワーファリンの有効量は違うので、服用量が多いから重いということはまったくありません。ワーファリンは1か月に1回、血液を検査して最も適した服用量に調節しなくてはならない煩わしさがあります。

2年前から血液検査の煩わしさがなく、脳出血のリスクも少ない新薬が使われ始めました。ワーファリンと新薬には、それぞれ一長一短があって、体重の軽い人、腎臓の悪い人、高齢者はワーファリンが向いています。そうでない人で、忙しくて月1回病院へ検査に行くのは...という方には、新薬がいいだろうというのが、現段階のコンセンサスです。

脳卒中予防10か条

山川 ワーファリンを飲んでいる場合、納豆は禁止です。素人考えですが、どちらも血液をさらさらに作用がありますから、納豆を食べればもっとさらさらになって効果があがると思うのですが...。

山口 納豆はワーファリンの作用を抑えますから、ワーファリンの効果が全然出てこなくなります。

山川 では、ワーファリンをやめて、納豆をどっさり食べても効果があるのでは?

山口 納豆だけでは効果が弱く、ワーファリンが必要です。どうしても納豆を食べたいという患者さんは、新しい薬に変えてもらえばよいでしょう。

山川 ゆで大豆、オクラ、ネギ、玉子をかき混ぜた〝納豆もどき〟を考え、よく食べています。私にはワーファリンがよく合っているので、〝納豆もどき〟で我慢しながら、ワーファリンを継続します。

もう一つお尋ねします。一時的に手がしびれたり、言語障害が起きたりして、それが数時間ですっかりよくなる「一過性」と呼ばれる発作がありますね。治れば放置していいのですか。

広げようアクト・ファスト運動

山口 比較的小さな血栓が脳にひっかかった場合、体の防御反応で血栓を溶かそうという働きが出てきます。その働きで血栓がさらに小さくなって先の方へ行って、症状がパッとよくなることがあります。

ただし、一過性でよくなっても、心臓や頚動脈に血栓が残っていて、それが飛んで脳梗塞を起こす人が3か月間で1割以上います。しかも、その大部分は48時間以内に起きています。ですから、一過性でよくなっても、重大な前触れ症状と受けとめ、すぐに受診してください。

脳卒中の場合、いち早く受診してもらうため、世界中で 〝ACT FAST(アクト・ファスト)運動〟を展開中です。ACTは「実行しよう」、FはFACE(顔)、AはARM(腕)、SはSPEECH(話すこと)、TはTIME(時間)のことで、「顔、腕、言葉」に異常があれば、脳卒中を疑って、時間をおかず、すぐに受診を――という運動です。盛んにやっているつもりですが、全国的な展開にはなっていません。

アクト・ファスト運動を呼びかけるポスター(国立循環器病研究センター提供)

さて、こちらから山川さんに質問します。今の医療への注文はなんでしょう?

心に伝わる言葉は

山川 まず言葉ですね。お医者さんには心がこもった言葉で、伝わる言葉で、患者さんが納得する言葉で、診断結果などを説明してほしい。体を部分的に診るのではなく、患者を全体的に総合的に診てほしい。分野が細分化しすぎて、総合的に診る訓練ができておらず、すぐ他の分野に任せてしまう傾向が強まっているのではないでしょうか。

山口 おっしゃるとおりです。若い医師が、老人の患者さんに「検査結果は〝やばい〟ですよ」と説明したそうです。「ついに、危ない結果が出たんだ」と、患者さんがショックを受けたのは当然です。ところが、この医師は 〝すごくいい結果が出た〟という意味で〝やばい〟と軽々しく、若者言葉で言ったのです。このように、まともな言葉が話せない、敬語ができないというのは情けない事態です。

患者さんの話を聞きながら、それをパソコンに入力するのに懸命で患者さんの顔をほとんど見ないのも問題です。われわれの若いころは「手当て」が大切にされていました。患者さんの脈をとり、血圧を測り、触診しながらコミュニケーションを図ってきましたが、今は「それで何がわかるんだ」と軽んじられているのも問題です。

山川 患者は先生に手を当ててもらうことで、助かったという気持ちになり、きちんと診てもらったという安心感を抱きます。結局、これは理論じゃなくて、感性の問題でしょう。

山口 医療技術が進めば、進むほど「手当て」によるコミュニケーションの大切さを医療者はかみしめる必要があります。本日は患者さんの体験の重みがずっしりと伝わってくる貴重な対談となりました。ありがとうございました。

(この対談は6月21日、東京・新橋の日本テレビタワー内読売テレビ放送東京支社で行いました。)

 

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