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周産期心筋症

周産期心筋症とは、産褥(さんじょく)心筋症とも呼ばれ、心臓病のなかった女性が妊娠・出産に際し、突然、心機能が低下し、心不全を発症する疾患です。周産期心筋症は、日本ではまだあまり知られていない病気ですが、これから増えてくる可能性があり、このサイトを通じて正しい情報提供をしていきます。

*周産期とは、妊娠中から産後の母体が元の状態に戻るまでの期間のことです。

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  1. 妊娠・出産に伴う心臓や血管の変化
  2. 周産期心筋症とは
  3. 発症頻度
  4. 周産期心筋症を発症しやすい妊婦とは
  5. 周産期心筋症(心不全)の症状
  6. 周産期心筋症の検査
  7. 周産期心筋症の治療
  8. 退院後の生活の注意点
  9. 次の妊娠について

1. 妊娠・出産に伴う心臓や血管の変化

女性にとって妊娠・出産はとてもうれしい出来事ですが、同時にからだの中では、おなかの中の赤ちゃんを育て出産するため、大きな変化が起こります。ここでは、妊娠や出産に伴ってお母さんの心臓や血管に起こる変化について説明します。

(1)血液量の増加

妊娠すると、からだを循環する血液の総量は徐々に増加します。とくに、血液の中の液体成分である血漿(けっしょう)は、妊娠6週目頃から増え始め、20週後半には妊娠前より平均して50%増えます(下記、グラフ参照)。

このことには、次の3つの利点があります。

  1. 妊娠の経過とともに、胎児を育む子宮は大きくなり、必要とする血液量が増え、新たな血管もできてきます。血液量が増えることで、新しくできた血管にも十分に血液が行きわたることになります。
  2. 妊婦さんの腹部にある血管は、大きくなっていく子宮によって圧迫されやすい状態にあります。そのため、足などからの血液が心臓へ戻りにくくなります。血液量の増加により、心臓へ戻る血液の量が減りにくいようにしています。
  3. 分娩時には、平均で300~500mLほど出血します。しかし、血液量が増えることで、このような急激な出血に耐えられるようになっています。

このような妊娠中に増加した血液量が正常に戻るまでには、出産後、約4~6週間かかるといわれています。

(2)心拍数(脈拍)の増加

よりたくさんの血液を全身に送り出すために、心拍数(脈拍)も妊娠前に比べ約20%まで増加します。

循環血漿量、心拍数の変化

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(3)血圧の低下

妊娠中に増える女性ホルモンには血管を開く作用があるため、妊娠初期~中期にかけて血圧は低下します。

(4)血液の固まりやすさの変化

妊娠中は女性ホルモンの影響で、血液中の血液を固まらせる物質が増加します。これにより、流産や分娩などの出血時に、出血が止まりやすくなっている反面、血管内で血液が固まり、血管を詰まらせてしまうリスクが高くなります。

(5)大動脈の変化

妊娠中は、女性ホルモンの影響で、全身に血液を送る太い血管である大動脈の壁の一部がもろくなります。このため、もともと大動脈に異常をきたす病気を持っている方は、妊娠により、大動脈に瘤ができたり、大動脈の壁が裂けたりすることがあります。しかし、もともと大動脈の病気を持っていない方には、このような異常が起こることはありません。

2. 周産期心筋症とは

周産期心筋症とは、心臓病のなかった女性が妊娠・出産に際し、突然、心機能が低下し、心不全を発症する疾患です。心不全とは、全身に血液を送る心臓のポンプの働きが弱くなり、全身へ十分な血液が供給されず、からだが酸欠状態に陥った危険な状態です。また、からだのさまざまな部分に水が溜まり、いろいろな症状が出てきます。

周産期心筋症は、

  1. 妊娠中から分娩後5ヵ月以内に新たな心不全の症状が現れる
  2. いままでに心臓の病気になったことがない
  3. 心不全の原因となるものが明らかではない
  4. 心臓超音波検査(心エコー検査)にて、心臓の機能の低下が確認できる

などが特徴的な疾患です。

参考リンク

3. 発症頻度

周産期心筋症は、国や人種によって発症頻度が大きく異なります。

最近のアメリカの調査では、周産期心筋症の発症頻度は2,229出産に1人の発症率であり、以前よりも増加傾向にありました。周産期心筋症という病気が広く知られるようになり、診断率が上がったことや、妊婦の高齢化と双子などの多胎妊娠が増えたことが、発症の増加に関係しているのではないかと考えられています。

また従来、ハイチやアフリカの一部の国では周産期心筋症が高頻度に見られるため、黒人に多い傾向があると報告されてきました。実際に、南カリフォルニアでの周産期心筋症発症率を人種別にまとめた報告によると、黒人>アジア人>白人>ヒスパニックの順であり、発症率はそれぞれ1/1,421出産、1/2,675出産、1/4,075出産、1/9,861出産でした。

黒人(1/1,421出産) > アジア人(1/2,675出産) > 白人(1/4,075出産) > ヒスパニック(1/9,861出産)

日本では、平成21年度に行った全国調査の結果によると、約2万出産に1人の発症頻度でした。しかし、発症頻度は年齢によって大きく異なり、35~39才に限ってみると、約1万出産に1人でした。これは欧米の発症頻度より低い値です。このことには、妊娠年齢における日本人女性の体形、生活習慣病の合併が少ないこと、多くの人が妊婦健診をきちんと受け、妊娠高血圧症などのコントロールができていることなどが関与している可能性があります。

しかし、米国においてさまざまな要因により発症率が年々高まっているように、今後日本においても、発症率が増加する可能性は十分にあります。

4. 周産期心筋症を発症しやすい妊婦とは

周産期心筋症になりやすい因子として、多産、高齢、多胎、妊娠高血圧症、黒人、切迫早産の治療や妊娠以前からの高血圧、喫煙、肥満などが知られています。

日本においては、平成21年度に行った全国調査結果によると、妊娠以前からの高血圧症、多胎、切迫早産治療、妊娠高血圧症候群の合併が多くみられました。また、少子化を反映してか、既に出産を何回か経験している妊産婦の発症が多い外国と違い、日本では患者の半数以上が初めて出産をした妊産婦でした。

日本人の周産期心筋症になりやすい因子

高齢、多胎妊娠、慢性高血圧症、妊娠高血圧症候群、切迫早産の治療

5. 周産期心筋症(心不全)の症状

心不全状態になると現れる代表的な症状を説明します。

労働時の息切れ

軽い労働をしただけで息切れがしたり、胸がどきどきしたりします。 また、心不全が進行すると、労働時のみならず、安静時にも息切れが出てきます。

妊娠後期にはおなかが大きくなり、仰向けで寝ることがつらくなります。通常は、片膝を立てて仰向けの姿勢から横向きになるようにすれば、眠ることができます。そのような体勢でも息苦しく、椅子に座ったり、上半身を起こした状態でないと眠ることができない場合には、心不全状態にある可能性があります。

周産期心筋症と診断された方のうち、 約80%がこの症状により医療機関を受診しています。

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喘息を患ったことがないのに、夜寝ているときに咳が出たり、息を吐くときにゼイゼイという雑音がしたりします。

周産期心筋症と診断された方のうち、 約37%がこの症状により医療機関を受診しています。

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全身のむくみ

妊娠中は大きくなった子宮が腹部の静脈を圧迫するため、足の血液が心臓へと戻りにくくなり、足がむくみやすくなります。しかし、足だけでなく、全身のあちこちにむくみを生じる場合は、心不全状態にある可能性があります。心不全状態では腎臓への血流量が減ることにより腎臓の機能が低下し、余分な水の排出ができなくなるためです。このむくみ方の特徴は、立っている場合には足がむくみ、横になっている場合には背中などにむくみが生じるというものです。また、そのむくみは、指で押すとへこみます。

周産期心筋症と診断された方のうち、 約37%がこの症状により医療機関を受診しています。

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倦怠感(けんたいかん)

からだがだるくなったり、元気が出なくなったり、疲れやすくなったりします。

周産期心筋症と診断された方のうち、 約24%がこの症状により医療機関を受診しています。

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体重増加

妊娠中、胎児の成長とともにお母さんの体重は増えますが、1週間に0.5~1kg以上も体重が増加し、むくみがひどくなることが続く場合には、心不全状態にある可能性があります。心不全状態では腎臓からの水分の排出が落ち、からだの中に水分が溜まって体重が増加するためです。

周産期心筋症と診断された方のうち、 約16%がこの症状により医療機関を受診しています。

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息切れ、浮腫(むくみ)、倦怠感などの症状は、多くの妊婦さんが経験する症状でもあります。しかし、妊娠中から分娩後5ヵ月までの期間に、程度が重く、どんどん悪くなっているように感じる場合には、周産期心筋症である可能性があります。心不全状態では、すべての症状が同時に起きるわけではなく、さまざまな組み合わせで症状が現れます。気になる症状がある場合には、早めに医療機関を受診することをお勧めします。

6. 周産期心筋症の検査

心不全の症状が現れて医療機関で受診すると、血圧、脈拍、聴診などの検査に加え、胸部レントゲン、心電図、心臓超音波検査(心エコー検査)、血液検査、必要に応じて心臓カテーテル検査などを受けることになります。とくに心臓超音波検査は重要です。

ここでは、代表的な検査である心電図検査、心臓超音波検査、心臓カテーテル検査について説明します。

(1)心電図検査

心電図検査は、両手足と胸にいくつか電極をつけ、そこから心臓で発生する微小な電気を記録する検査です。痛みを伴うことはなく、検査は短時間で終了します。心電図検査では、4つある心臓の部屋のうち、どの部屋に負荷がかかっているのか、リズムの乱れ(不整脈)があるか、心筋梗塞や心筋炎などの特徴的な変化があるかを調べます。

(2)心臓超音波検査(心エコー検査)

心臓超音波検査は、人間の耳には聞こえないくらいの高い周波数の超音波を利用して、心臓の動きを見る検査です。妊婦検診でも超音波検査を用いて胎児を診るように、超音波検査は人体にほぼ無害で、痛みもありません。この検査では、心臓の大きさ、形、心臓の壁の厚さ、動き方、さらに血液の流れる速度や方向により心臓の弁の状態などがわかります。

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正常産後1週間(左)と周産期心筋症(右)の心エコー検査(左室断面)画像 echo02.jpg

周産期心筋症の心臓は拡大しており、動きも低下している。

(3)心臓カテーテル検査

カテーテルは細いチューブのことです。このチューブを太ももの付け根か、腕や首などの動脈か静脈から挿入し、血管に沿って先端を心臓までもっていき、心臓の中の小部屋や血管を撮影したり、心臓の中の圧を測ったりする検査を心臓カテーテル検査といいます。この検査は局所麻酔で行います。

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カテーテル検査では、造影剤を注入することにより、心臓(心室)の大きさや動き方、心臓を栄養している血管(冠状動脈)の状態などを知ることができます。また、心臓や血管内の圧力を測ることもできます。 このように、心臓の中の小部屋の撮影や、心臓の中の圧を測ることを組み合わせて検査することにより、心不全の状態を正確に診断するためのさまざまな項目を調べることができます。

これ以外にも、カテーテル検査により、心筋炎や心筋症の診断のための心筋生検検査(心室の壁のごく一部をとってきて、その性状を顕微鏡で調べる)を行うこともあります。

7. 周産期心筋症の治療査

周産期心筋症の治療については、一般的な心不全と同様の治療が広く行われています。

(1)薬を用いた治療

薬物治療として、ACE阻害薬やβ遮断薬、利尿薬が多く用いられます。

ACE阻害薬、ARB

ACE阻害薬(アンギオテンシン変換酵素阻害薬)やARB(アンギオテンシン II 受容体拮抗薬)は血管を拡張し、心臓の負担を軽くする薬です。ACE阻害薬は心不全に伴う症状を和らげる作用の他に、心不全状態が進行することを抑える作用があるため、心不全治療でよく使われる薬です。ただし、副作用として空咳(たんの出ない咳)が出ることがあります。また、胎児への影響があるため、妊娠中に使ってはいけないことになっています。

β遮断薬

β遮断薬は、心臓の交感神経活動を抑制して、慢性的に心不全に陥っている心臓を長持ちさせる作用を持っています。 私たちの心臓は交感神経と副交感神経という自律神経によって調節されています。興奮したときに活発になるのが交感神経で、心拍数(脈拍)を上げたり心臓の収縮力を強めたりするように作用します。心不全では低下した心臓のポンプ機能を補うために、交感神経の活動が活発になります。これは短期的には心臓の機能を保つように作用しますが、長期にわたると逆に心臓の機能を悪化させてしまうため、β遮断薬を利用します。不整脈を抑える作用もあります。

利尿薬

利尿薬は、体内に溜まった水分を尿として排出させる薬です。利尿薬にはさまざまな薬がありますが、もっとも使われるのはフロセミドです。その他に、スピロノラクトンという薬なども使われます。

(2)機械を用いた治療

心不全状態が重い場合には慎重な治療が必要となります。適切な薬を用いた治療とともに、大動脈内バルーンポンプ(intraaortic balloon pump;IABP)や経皮的心肺補助装置(percutaneous cardiopulmonary support;PCPS)といった心臓の機能を補助する機械を用いた治療を行います。

大動脈内バルーンポンプ(IABP)

大動脈内バルーンポンプ(IABP)とは、心臓から全身へ血液を運ぶ大動脈内で、心臓が拡がるときに膨らみ、収縮するときに閉じるバルーンを用いた治療です。

心臓に栄養を運ぶ冠状動脈は、大動脈の付け根から心臓の表面を這うようにして走行します。心臓が拡張している間、大動脈と心臓は弁によって遮断されています。このとき、大動脈の付け根で血液は心臓の方へと逆流し、冠状動脈に流れ込みます。大動脈内バルーンポンプでは、拡張期にバルーンが膨らむことで逆流する血液が増えて冠状動脈への血流が改善し、心臓が酸欠状態となって機能が落ちることを防ぎます。また、心臓が収縮するときにバルーンが閉じることで、大動脈には急激な陰圧がかかります。この陰圧により、血液は心臓から全身へと引き出され、心臓の血液を押し出す機能を助けます。

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経皮的心肺補助装置(PCPS)

経皮的心肺補助装置(PCPS)とは、ポンプを使って太ももの静脈から血を抜きとり、抜き取った血液に人工肺の中で酸素を加え、太ももの動脈を通して体内に戻す機械です。心臓の血液を押し出す機能が落ちると、肺に行く血液量も減ります。肺に流れてきた血液は酸素を加えられますが、肺に行く血液が減ると血液中の酸素の量も減ってしまいます。この機械は心不全状態で減っている血液中の酸素の量を増やし、全身へ送るように補助します。

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以上の治療を組み合わせても心不全状態が改善しない場合には、心臓移植を行うこともあります。

8. 退院後の生活の注意点

退院後は、無理をしないことが一番です。乳飲み子を抱えての生活は、心臓に負担になることがたいへん多いため、周りの家族がしっかりサポートをして、負担を軽くすることが大切です。また、飲み薬による治療をしている場合や、心臓の機能の低下が続く場合には、必ず、かかりつけ医を定期的に受診してください。

以下に、日常生活で気をつけるべき点について解説します。

運動や労作について

心臓に負担をかけるような運動や労作を避け、合間に休むなどの工夫をしながら、息切れ等の自覚症状が出ないようにしましょう。

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水分制限について

水分の摂りすぎは心臓の負担になります。医師から水分を制限するよう言われている方は、飲料水量を測定し、制限範囲を守りましょう。

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カロリーについて

体重の増加は心臓の負担となります。かかりつけの医師と相談し、適切なカロリーを摂取するよう気をつけましょう。

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塩分制限について

塩分を摂りすぎるとからだの中に水分が溜まり、心臓の負担となります。医師から指示された塩分量(一般的には6g以下)を守りましょう。

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薬について

かかりつけの医師の指示に従って、飲み忘れたりしないようきちんと飲みましょう。

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体重測定について

心臓に負荷がかかるとむくみが出ることがあり、それに伴って体重も増加します。毎日、同じ条件で体重測定をしましょう。起床時、排尿後が良いでしょう。

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尿量、排尿回数について

心臓が弱ってくるとおしっこが出にくくなります。いつもと同じくらいの量、回数が出ているか、毎日チェックしましょう。

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十分な睡眠と休養について

無理な運動や働きすぎ、睡眠不足、精神的なストレスは、心不全が悪化するきっかけになります。過労を避け、十分な睡眠や休養をとるように心がけましょう。規則正しい生活を送ることが大切です。

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便通について

治療中、水分制限や利尿薬の内服などで便秘ぎみとなることがあります。便秘の際、排便時にいきむと血圧が上昇し、心臓への負担が増加します。いきまなくても排便できるように、食物繊維、果物、牛乳、ヨーグルトなどを摂り、規則正しい排便習慣を身につけましょう。

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入浴について

お風呂に入るときは、急にからだが冷えないように、脱衣所や洗い場を暖かくしてから入浴しましょう(入浴の30分前から浴槽のふたを開けておくと、湯気で風呂全体が暖まります)。また、熱いお湯は心臓に負担がかかり、血圧も上がりますから、40度位のややぬるめのお湯に入り、長湯をしないようにしましょう。

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寒さについて

暖かいところから急に寒いところへ出ると、血管が収縮し、血圧が上がります。とくに冬は室内と外気との温度差が大きいので、なるべく温度差を少なくするようにしましょう。外出時には、マスクやマフラー、手袋などで肌の露出部分を少なくし、室内では居間と浴室、トイレなどの温度差が少なくなるよう暖房器具を有効に活用しましょう。また、夏でも冷房が効きすぎた部屋から出ると血圧が上昇するので、外気との温度差が5度以上にならないように、冷房の設定温度を調整しましょう。

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お酒について

少量のお酒は精神的な緊張を和らげて睡眠をとりやすくし、ストレス解消にも良いとされています。しかし、多量のアルコールは心臓の負担になり、動脈硬化を促進します。かかりつけの医師の指示に従ってください。

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たばこについて

たばこに含まれるニコチンは、血管を収縮させるとともに心臓を必要以上に働かせる作用をします。必ず禁煙しましょう。

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感染予防について

風邪などの呼吸器感染は肺うっ血を起こし、発熱すると全身の代謝が進み、それに伴って心拍出量も増加し、心臓の負担になります。外出後はうがい、手洗いをし、風邪をひかないようこころがけましょう。歯を抜くときは、傷口から感染する可能性があるので、かかりつけの医師に相談してください。

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夫婦生活について

夫婦生活は普通にしてかまいませんが、心臓がドキドキしてしまうと心臓の負担となりますので、無理のないようにしましょう。また、次の項でご説明しますが、周産期心筋症の方の次回妊娠についてはリスクが高いため、かかりつけの医師と相談しながら、必要時には避妊をしっかり心がけてください。

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9. 次の妊娠について

妊娠や分娩が周産期心筋症の発症および症状の進行の原因になっていると考えられています。そのため、周産期心筋症になったことのある方が再び妊娠することには、高いリスクが伴います。そのリスクについて、見ていきましょう。

周産期心筋症を患った方のうち、次の子どもを分娩した方35人を対象に調査を行いました。35人を、周産期心筋症を患った後に心臓の機能が改善したグループ(改善群)の23人と、心臓の機能が改善しなかったグループ(非改善群)の12人に分けて解析しました。

次の子どもの妊娠の際にも心不全状態になった方が、改善群では6人(改善群の26%)、非改善群では6人(非改善群の50%)でした。改善群では死亡例はありませんでしたが、非改善群では3人(非改善群の25%)の方が亡くなられました。

一方、この方々の次の子どもについては、改善群で3人(改善群の13%)、非改善群で6人(非改善群の50%)が、妊娠37週以前での出産(早産)になりましたが、新生児死亡例はありませんでした。

周産期心筋症患者さんの次回妊娠・出産時におけるリスク

再度の心不全早産死亡
心機能改善群(23人) 6人(26%) 3人(13%) 0人
心機能非改善群(12人) 6人(50% 6人(50% 3人(25%

この結果を踏まえると、周産期心筋症を患った後、しばらくたってからも心臓の血液を押し出す機能が低下し続けている方では、再び妊娠することは避けるべきです。しかし、周産期心筋症を患った後に心臓の機能が回復している方が再び妊娠するのを避けるべきかどうかについては、一定した指針はまだありません。周産期心筋症を患った方で再び妊娠することを考えている方は、医療機関に相談されることをお薦めします。

現在、周産期心筋症全国調査事務局では、新たに前向き症例登録調査を行っています。
調査の詳細については、下記登録WEBをご参照ください。
登録WEB:http://www.周産期心筋症.com
ご意見・お問い合わせは、
事務局E-mail:ppcm@ml.ncvc.go.jp

最終更新日 2011年10月31日

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