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虚血性心疾患

動脈硬化や血栓などで心臓の血管が狭くなり、血液の流れが悪くなると、心臓の筋肉に必要な酸素や栄養がいきわたりにくくなります。急に激しい運動をしたり、強いストレスがかかると、心臓の筋肉は一時的に血液(酸素、栄養)不足となり主に前胸部、時に左腕や背中に痛み、圧迫感を生じます。これが虚血性心疾患の症状です。

  1. 心臓の働き
  2. 冠動脈の働き
  3. 心筋梗塞症
  4. 心筋梗塞症の合併症
  5. 心筋梗塞症の危険因子
  6. 狭心症
  7. 狭心症と心筋梗塞のちがい
  8. 狭心症発作時の対処
  9. 日常生活の留意点について
  10. 食事について
  11. 手術を受けられた方へ
  12. 緊急受診について

1. 心臓の働き

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心臓は心筋と呼ばれる筋肉からできており、血液を全身に送り出すポンプの働きをしています。血液は体をまわりながら酸素や栄養を運ぶ役目をしています。

2.冠動脈の働き

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心臓も働くためには酸素や栄養素が必要です。それらを心臓の筋肉へ運ぶ血管が冠状動脈です。冠状動脈には、太い3本の枝があり、心臓の回りを王冠のようにめぐっています。

3.心筋梗塞症

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心筋梗塞症とは、冠状動脈が完全につまってしまい、心臓の筋肉に酸素と栄養がいかなくなり、その部分の壁の動きが悪くなってしまう病気です。心臓の壁の動きが悪くなると、ポンプとしての力が落ちてしまいます。

症状としては、激しい胸の痛み、呼吸困難、冷汗、嘔気、嘔吐などがあります。

では、心筋梗塞症になるとどうなるのでしょう?

イラスト:心臓に負担をかけないで

心臓の筋肉は「豆腐」のようにもろくなっています。

心筋梗塞症を起こした直後は心臓の筋肉がもろくなっています。このもろくなった部分は日がたつにつれて少しずつ硬くなり1カ月程して固まっていきます。完全に固まるのは3カ月かかります。心筋梗塞症になった後の約1週間は、このもろい部分が破れないように安静にしていることが大切です。

心臓の働きが低下します。

心臓のもろくなってしまった部分の筋肉は、動かなくなります。動かなくなった部分の大きさにもよりますが、健康なときに比べると心臓の動きは弱くなっています。そのためにも、心筋梗塞症になった直後はできるだけ安静にして、心臓に過度の負担をかけないようにすることが大切です。

4. 心筋梗塞症の合併症

いろいろな合併症が起こることがあります。

  1. 不整脈
    脈がとんだり、乱れたり、一時的に脈が遅くなります。
  2. 心不全
    心臓のポンプの働きが弱くなり、必要なだけの血液を送り出せなくなります。血圧が下がったり、息が苦しくなったり、むくみが出たりします。
  3. 狭心症
    胸が締め付けられるように痛くなります。しかし心筋梗塞症の時の症状よりは軽く、持続時間もごく短いものです。

5.心筋梗塞症の危険因子

  • 高血圧
  • 高脂血症
  • 糖尿病
  • 肥満
  • 喫煙
  • 精神的ストレス

などがあります

6. 狭心症

動脈硬化や血栓などで心臓の血管が狭くなり、血液の流れが悪くなると、心臓の筋肉に必要な酸素や栄養がいきわたりにくくなります。急に激しい運動をしたり、強いストレスがかかると、心臓の筋肉は一時的に血液(酸素、栄養)不足となり主に前胸部、時に左腕や背中に痛み、圧迫感を生じます。
これが狭心症です。安静にしたり、ニトログリセリンを舌下すると血液不足が改善され痛みがとれます。痛みの持続時間は数分から15分前後で、ニトログリセリンが良く効きます。

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7. 狭心症と心筋梗塞のちがい

狭心症心筋梗塞
胸痛の特徴 突然、締め付けられるような重苦しさ、圧迫感がある痛み 締め付けられるような激しい痛み。不安感、重症感がある。
発作の持続時間 1~5分程度で長くても15分以内 15分以上。数時間続くこともある。
ニトログリセリンの効果 多くの場合著効 効果がない

8. 狭心症発作時の対処

すぐに医者からいわれている(ニトログリセリンなどの)舌下錠を舌の下に入れてとかして下さい。1~2分のうちで効果が現れ痛みがとまり胸が楽になります。
5分してもおさまらない時はもう1錠使って下さい。ただし、血圧を下げるおそれがありますので、1回の発作では3錠までにしておいて下さい。
狭心症の発作が起きた時は安静にするのが第一です。できれば静かに横になり衣服をゆるめて保温に気を付けます。いつ、どんな時に痛くなるかも知れません。外出するときは常に舌下錠を携帯しておきましょう。ただし、次のような時にはすぐに受診しましょう。

  • 今までにないひどい痛みの時
  • 薬を舌下しても30分以上痛みが続く時
  • 胸の痛くなる回数が以前より増えてきた時
  • 安静時にも痛みが起こる場合

受診する際には、「いつ」「何をしている時に」「どれくらいの痛みがおき」「薬の効果がどうだったか」覚えておくことが大切です。そのためにも胸痛の記録をつけておくと良いでしょう。

-注意-
発作時に使用する薬剤は、病状によって各自異なります。使用薬剤は、主治医により処方をうけられ、使用方法や注意事項について、あらかじめ確認しておくようにしましょう。

参考:「ニトロ製剤の正しい使い方」

9. 日常生活の留意点について

(1)運動、二重負荷について

運動

一度つまってしまった血管は、元には戻りませんが、少しずつ運動することにより、つまった血管の代わりとなる新しい血管ができてきます。そのためにも、運動療法は必要です。

二重負荷

心臓への負荷を少なくしましょう。食事をとる、排便をする、入浴をする、運動をするなどは一つ一つの動作だけでも心臓に負担をかけます。これらの動作をたて続けに行うと、心臓に大きく負担をかけ、発作の起こりやすい状態になります。これを二重負荷といいます。一つの動作を行った後は30分程休んで、その後次の動作を行うようにし、二重負荷を避けましょう。
また、薬を飲む前後は、薬の効果が十分に現れていない時です。この時も、発作が起こりやすい状態になっています。薬を飲む前後1~2時間は、動いたりせず安静にしていましょう。

(2)便通について

便をする時にいきみ過ぎると、血圧を上昇させ、心臓に負担をかけます。便通をよくするために、

  • 便意があるなしに関わらず時間を決めてトイレに行く習慣をつける。
  • 朝、起きたらコップ一杯の水や牛乳を飲む。(冷水は発作を誘発するおそれがあるので避けた方ががいいでしょう。)
  • おなかのマッサージをする。
  • 繊維の多い野菜をとる。

効果のない時は、医師に相談して便秘の薬を出してもらいましょう。寒い夜トイレに行く時は、暖かくして下さい。

(3)入浴について

お湯は、39~40℃位のぬるめにし、長湯をしないようにしましょう。また、寒暖の差を考慮して、脱衣所も含めて風呂場を暖めて入りましょう。また、湯冷めしないよう気を付けましょう。

(4)嗜好品について

イラスト:たばこはやめましょう

たばこ

たばこは、この際ぜひやめましょう。たばこが動脈硬化を招くことが確かめられています。また心臓の血管を収縮させ、血圧を上げることもあり、心臓に負担がかかります。

コーヒー、紅茶、緑茶

これらにはカフェインが入っているため心臓を興奮させる働きがあります。しかし、適量は心身をリラックスさせる働きもありますので飲み過ぎないようにすれば飲んでもかまいません。

(5)夫婦生活について

性生活は、一般的に一時的な急激な運動と同等に考えられます。
胸痛・息切れ・動悸を感じない程度にしましょう。同上の症状が、性交の間や直後持続するようであれば、出来るだけ早く医師に相談して下さい。ほとんどの場合、負荷となる行為をやめると不快感はおさまります。詳しくは医師にご相談下さい。

10. 食事について

日々の生活の糧となる食事は、循環器とも密接なかかわりを持っています。
このかかわりを知り、バランスのとれた食事をとることで、症状がおさえられることも少なくありません。
何に注意して、どのようにして食べたら良いのか、基礎知識をきちんと把握して、さっそく実践してみましょう。

詳しくは"食事について"をご参照下さい。

11. 手術を受けられた方へ

(1)胸骨の保護、筋肉痛

手術の時に切断した胸骨は、胸骨ワイヤーで固定しています。半年程で胸骨は自然にくっつきますが、それまでに強い負担をかけると、まれに骨がずれたりワイヤーが切れてしまったりすることがあります。

そのため、術後半年くらいは前胸部を強くよじるような運動(ゴルフ、重い荷物の持ち運び、布団の上げ下ろしなど)は、避けた方が良いでしょう。手術後の傷の治りや筋肉痛には、個人差があります。筋肉痛は半年~1年程でほぼ消失します。気候の変わり目や気温の変化によって痛むこともありますが、これは特に心配ありません。

痛みに対しては、湿布薬を貼ったり軽くマッサージなどをして対応します。

(2)術後合併症

肝炎

輸血を行った場合、手術後6ヶ月位までは、輸血による血清肝炎を起こす恐れがあります。自覚症状、定期検査で、早期発見・早期治療が可能です。

症状としては、全身倦怠感、食欲不振、悪心、嘔吐、掻痒感、黄疸があります。また、尿が濃褐色になったり、便が白っぽく灰色になったりします。

このような症状があれば、医師の診察を受けて下さい。

イラスト:肝炎の諸症状

創部感染

傷のかさぶたの残っている方、テープの残っている方は無理にはがさず自然にとれるのを待って下さい。汚れた手で無理にはがすと感染の原因となります。十分に傷が乾燥しておらずガーゼを当てている方は、消毒方法を練習して退院後行って下さい。

下肢循環不全

また、足に傷のある方は、足がむくむことがあります。これは、静脈をとったことで血液の流れが悪くなって生じたものです。時間はかかりますが自然になおります。

むくんだ足を高くして眠ったり専用のストッキング(弾性ストッキング・・・売店で売っています)を使用すると良いでしょう。

(3)抗凝固療法

人工血管をつまりにくくするためにワーファリンという抗凝固薬を内服します。

ワーファリンは、血液をサラサラにして、血液中に血のかたまり(血栓)が出来ないようにする働きがあります。

その他、パナルジン、プレタール、オパルモンなどの抗血栓剤もワーファリンと同様の作用があるので注意しましょう。

詳しくは"ワーファリンの正しい飲み方"をご参照下さい。

(4)運動

適切な運動を行うことは、血液循環を促し、心肺機能を高めるために大切なことです。運動を行う際に注意するのは、以下のようなことです。

  • 無理をしない・・・動悸・息切れ・胸苦しさのある時は行わない。中止する。
  • 準備体操を行う。
  • 高温・多湿・寒冷な状況での運動は避けて、散歩のような持久的な運動を行いましょう。

車や自転車の運転は、普通の日常生活が行えるようになれば支障ありません。しかし、職業的な業務運転は、カテーテル検査や運動負荷テストで十分評価してから決定する必要がありますので、医師と相談の上で行って下さい。

12. 緊急受診について

緊急受診の目安

  • 医師から処方されている(ニトログリセリンなどの)舌下錠を3回舌下しても症状があるとき
  • 発作が頻回に起こるようになってきたとき
  • 医師から処方されている(ニトログリセリンなどの)舌下錠を使うと症状が良くなるが、すぐに症状がでてくるとき
  • 夜中に苦しくなって目が覚めるようになったとき
  • 急に体重が増えたとき


※夜中でも「朝まで・・・」と我慢する必要はありません。

※外来の日が近くても、上記のような症状があったら、すぐにかかりつけの病院に連絡して下さい。

最終更新日 2011年11月04日

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