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心房中隔欠損/心室中隔欠損

心房中隔欠損

心房中隔欠損症は,左右心房を隔てている心房中隔が欠損している疾患をいう。最も多い二次口欠損型は,全先天性心疾患の約7~13%であり,女性に多く(2:1),小児期や若年成人では比較的予後のよい疾患である。

臨床所見

多くは思春期まで無症状であり,健診時に偶然発見される例が多い。肺体血流比(Qp/Qs)>―2.0を超える例では,加齢とともに労作時呼吸困難,動悸,息切れ,易疲労性などを認める。聴診では胸骨左縁第2~3肋間で,駆出性心雑音が聴取される。胸部X線では右房,右室容量負荷の程度により,種々の程度に心拡大が認められる。心電図では20~30%に右房負荷が認められる。心エコーでは右房,右室の拡大,心室中隔の奇異性運動,僧帽弁前尖Mモードエコーの収縮中期における前方運動,断層心エコー図上,心房中隔に断裂が認められる。断層カラードップラーで,左房血が欠損孔を通して,右房,右室に流入する。心臓カテーテル検査では右房内で,血液酸素飽和度が上,下大静脈よりも有意に上昇する。

形態学的特徴

欠損口の位置により,(1)二次口欠損型,(2)一次口欠損型,(3)静脈洞型,(4)単心房型に分類される。静脈洞型はさらに上大静脈付近が欠損している上位欠損型,下大静脈付近が欠損している下位欠損型がある。(5)肝静脈洞欠損型もまれにみられる。

治療

肺高血圧がなくQp/Qs比が2以上の場合には手術適応がある。手術は小児期から思春期の間に行う。乳児期に心不全症状をきたし内科的治療に反応しない例は,乳児期でも外科治療の適応となる。

心室中隔欠損

単独の心室中隔欠損症は大動脈二尖弁と左上大静脈遺残を除くと,先天性心疾患の中で最も多い疾患である。わが国での剖検例中13%を占めるとの報告があるが,出生時の全先天性心疾患の中での頻度はもっと多く,20~30%を占めるとされており,乖離の理由のひとつとして小さい欠損孔が高率に自然閉鎖することが考えられる。性別では2:3で女子にやや多い。

臨床所見

聴診では胸骨下部左縁第4肋間で逆流性(汎収縮期性)雑音が聴取される。胸部X線では肺血流量増加に伴い肺血管が太い。また心陰影は左房,左室,肺動脈の拡大により軽度ないし中等度に拡大している。肺高血圧と肺血流増加を伴う大欠損では右房と右室の拡大が加わる。心電図では膜様部欠損では左軸となる。左-右短絡により肺血流量が増加している例では左室肥大がある。肺高血圧のある場合には右室肥大も生じて両室肥大が認められる。心エコーでは左-右短絡が大きいほど程左房と左室が拡大し,左房/大動脈のdimensionの比が大きくなる。心臓カテーテル検査では右室内で血液酸素飽和度が有意に上昇する。乳児と幼児では肺血管抵抗の増加は軽度で,肺血流量は通常著しく増加している。

形態学的特徴

心室中隔欠損ができるには,2つの機序がある。第1は単純穿孔型であり,中隔の融合線上に欠損孔が残っている。第2は漏斗部中隔が左後方にずれて形成されており,漏斗部中隔と洞部中隔との整列の異常から心室中隔欠損が生じる場合であり,大動脈縮窄や大動脈離断を合併することが多い。
欠損孔の位置により部位別に,(1)肺動脈弁直下型,(2)漏斗部中央型,(3)膜様部中隔近傍型,(4)心内膜床欠損型,(5)筋性中隔型と分類される。
肺動脈弁直下と漏斗部中央部の心室中隔欠損では,大動脈弁の逸脱とそれによる大動脈弁閉鎖不全およびValsalva洞動脈瘤を合併する。膜様部中隔近傍欠損は膜様部とその周囲の筋性中隔にまたがる欠損孔であり,わが国では前上方(流出部)へ伸展する孔が全体の28%と最も多い。膜様部から後方の流入部中隔の大きな欠損は心内膜床欠損完全型の心室中隔欠損部分と同じ形なので,心内膜床欠損型と呼ばれる。筋性部の欠損孔はわが国では少ない。筋性部の欠損孔は多発性に生じることが多い。

治療

漏斗部の心室中隔欠損を除くと,小さい心室中隔欠損の経過は良好で,雑音が次第に小さくなり,高率に自然に閉鎖するため,手術しない。乳児期に心不全が生じたら,強心薬と利尿薬で治療する。大きい心室中隔欠損は時期を失せず手術する必要がある。肺血管閉塞病変の進行する前に手術するには2歳までに行う。

  • 図1 心房中隔欠損(二次口欠損型)と心室中隔欠損(肺動脈弁直下型)を伴う4歳男児例。右房-右房壁を展開した像。心房中隔に二次口欠損(12×12mm)が認められる(矢印)。右室壁厚4mmと右室肥大が認められる。
  • 図2 図1と同一例の右房壁を展開した像。心房中隔に二次口欠損(12×12mm)が認められる(矢印)。
  • 図3 図1と同一例の左室流出路を展開した像。肺動脈弁直下の心室中隔に欠損孔(7×5mm)が認められる(矢印)。動脈管は閉鎖していた。

最終更新日 2015年04月01日

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