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重症心不全患者さんの診療を支援する、コンピュータ制御循環管理システムの開発

さまざまな心臓疾患で、心臓の機能は障害を受けます。心臓機能が低下してしまった終末像が心不全で、高齢化の進行に伴い本邦における心不全患者数は今後爆発的に増加していくと予想されます。心不全が重症化すると手足がひどくむくみ、肺に水がたまってきます。ひどくなると息ができなくなり致死的になります。こうなると飲み薬だけの治療では改善せず、入院して点滴や酸素の投与が必要になり、循環器病の専門医による集中管理が必要になります。たまった水分をおしっこに出す利尿薬、心臓の負担をとる血管拡張薬、また一時的に心臓の機能を高める強心剤などの心臓血管作動薬が、専門医の厳格な管理下に患者さんへ投与され、状態を改善します。

しかしながら本邦において、循環器専門医(約12,000名)はすべての医師(約300,000名)の4%にしかすぎず、また国循があるような都市部に偏在しがちです。すべての重症心不全患者さんが、速やかに循環器専門医による診療に浴せないときがありえます。もし専門医による高度な管理が他科の非専門医にも可能になれば、専門医不在の医療機関で、あるいは専門医に橋渡しするまでの間でも重症心不全の適切な診療が可能になり、心不全患者さんの予後を改善しえます。国循の循環動態制御部上村和紀室長杉町勝部長らはこのような問題を改善するために、非専門医でも専門医レベルの心不全管理が可能な循環管理システムを開発してきました。

この循環管理システムでは、心不全患者さんの血圧・心拍出量(心臓が1分間に全身へ送り出す血液量)・肺静脈圧などを、制御コンピュータがモニターで監視し、患者さんの心臓機能や体内の血液量、血管の状態を算出します。そして必要に応じて、利尿薬や血管拡張薬などの薬剤投与量を自動制御し、低下した心臓機能や過剰な血液量(余分な水分量)を自動的に正常化させます。目標とする血圧値や心拍出量値などをシステムへ入力しさえすれば、制御の起動後は見守るだけで、自動的に心不全状態を改善してくれます。このシステムのプロトタイプを2000年代初頭に開発し、その後は臨床応用を目指して、患者さんにやさしい実用型システムへと改変してきました。例えば、心拍出量や肺静脈圧は、専門医が首の静脈から心臓へ導入するカテーテルで測られますが、非専門医や一般施設には不可能でした。そのような問題を解決し、どの病院にでもある超音波診断装置と血圧モニターだけで、心拍出量や肺静脈圧を計測するモニターも開発し、システムに統合してきました。

これまで動物実験でシステムの検証を行ってきましたが、システム臨床応用はすぐそこまで迫っています。


この記事に関連する部局
・国立循環器病研究センター研究所 循環動態制御部

最終更新日 2016年10月19日

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