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国循ってすごい(移植部門編)

ここはとある市民病院の重症患者さんの病室...

主治医:「あなたのご病気は心不全です。しかもかなり重症です。」
患者:「重症って...。先生、私は治るのですか?あとどのくらい生きられるのでしょう?」
主治医:「あなたのご病気は、今の医学では治らないと考えられています。ですが、がんばって治療すれば2年くらいは生きれるかと思います。」
患者:「そんな...たった2年...。では、その2年間は家族と暮らせますか?仕事は続けられますか?」
主治医:「重い心不全の治療には、強心剤の点滴や酸素吸入が必要になります。症状がとれて退院しても、また症状が出てきて、入退院を繰り返すようになるでしょう。また、呼吸困難や疲労感などで運動や労作に制限がかかることが予想されます。申し上げにくいのですが、入退院を繰り返したり、入院が長くなれば、ご家族と一緒に暮らすことやお仕事は難しくなります。」
患者:「...先生、私の子供はまだ小学生です。成長を見守ってやりたい...。仕事にだって夢があります。それなのに...家族とも暮らせず、仕事もあきらめなければならないなんて...。」
主治医:「...」
患者:「先生!私はまだ生きたい!なにかいい治療法はないのですか!?」
主治医:「...心臓移植と補助人工心臓による治療を考えましょう。国立循環器病研究センターの移植部門に紹介状を書きます。」
患者:「心臓移植と補助人工心臓...そんなことが本当にできるのですか?国立循環器病研究センター?移植部門?」
主治医:「補助人工心臓と心臓移植によって家族との暮らしも、お仕事も失わないですむ可能性はあると思います。どうしますか?」
患者:「先生。おねがいします!」

国立循環器研究センター 移植部門では、あらゆる段階の心不全の管理はもちろん、内科的治療の限界と判断された重症心不全患者さんの心臓移植適応の検討、補助人工心臓治療が必要な時期の判断、植込型補助人工心臓による在宅通院治療、さらに心臓移植手術の周術期から慢性期に至るまで、一貫した治療を行っています。

心臓移植へのつなぎとしての植込型補助人工心臓治療の成績は2年生存率98%と、国内はもちろん国際的に見てもトップクラスの成績です。心臓移植治療の成績も、国立循環器病研究センターで行われた心臓移植は70︎例(2015年5月1日現在)と国内有数の症例数を誇ります。10年生存率は90︎%以上で、最長17︎年経過し、元気にすごされている患者さんもおられます。心臓移植患者さんの社会復帰は90%(求職中・在学中・専業主婦(夫)を含む)と良好で、元々は重症心不全で苦労されていた患者さんとは思えない生活を送っておられます。

我々は、これらの治療を心臓内科、心臓外科、看護部、薬剤部、臨床検査部、事務部門などが協力したチームで行っています。医師、看護師、薬剤師、臨床工学技士、栄養士、理学療法士、検査技師、医療ソーシャルワーカー、レシピエント移植コーディネーター、人工心臓管理技術認定士など多くの職種と常に連携をとって、一丸となって補助人工心臓および心臓移植治療を行っています。また、植込型補助人工心臓治療には、患者さんを24時間見守る介護人が必要です。このため家族の支えなくして行えない医療であり、我々は患者さんだけでなく患者さんのご家族とも向き合いながら、この治療に取り組んでいます。

我々は冒頭のような患者さんが、社会(生活)に戻れるようにしたいと願っています。このことは、心臓移植を進めるにあたって、心臓を提供してくださったドナーとそのご家族の思いに応えることになり、移植医療が我が国に定着することにつながると思っています。それが国立循環器病研究センター 移植部門の誇りでもあります。

(注)補助人工心臓治療が必要な重症心不全患者さんの2年生存率は、残念ながら10%以下と言われています。

(注)我が国では現在、図に示す非拍動流植込型左心補助人工心臓の4機種が、心臓移植へのつなぎとしての治療に保険償還されています。

(注1)累積症例数は、非拍動流植込型補助人工心臓が心臓移植へのつなぎとして保険償還されてからの症例数です。

(注2)① 現在治験中。②先の図に示すもの。③体外設置型

(注)2年生存率が10%以下と言われた患者さんの90%以上が、植込型補助人工心臓によって3年以上生存しています。

(注)在宅治療を行っている植込型補助人工心臓装着患者さんです。24時間患者さんを支えてくれる介護人の方が撮影してくれました。


この記事に関連する部局
・国立循環器病研究センター病院 移植医療部

最終更新日 2015年06月29日

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